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たましいってどこ?2019年07月05日 11時44分42秒

「塩田千春展 魂がふるえる」
ベルリンを拠点に国際的に活躍するアーティスト、塩田千春の約25年間にわたる活動を網羅した過去最大規模の展覧会『塩田千春展 魂がふるえる』が、六本木ヒルズ・森タワー53階の森美術館にて開催されています。

副題の「魂がふるえる」には、言葉にならない感情によって震えている心の動きを伝えたいという作家の思いが込められています。
大型インスタレーションを中心に、立体作品、パフォーマンス映像、写真、ドローイング、舞台美術の関連資料などを加え、25年にわたる活動を網羅的に体験できる初めての機会になります。
塩田千春はこれまで、記憶や不安、夢など形のないものをインスタレーションやパフォーマンスで表現してきました。「不在のなかの存在」を一貫して追究した作品のなかでも、黒や赤の糸を空間全体に張りめぐらせた大規模なインスタレーションは、彼女の代表的なシリーズとなっています。


会場入口エスカレーター下に展示されているのは、
《どこへ向かって(Where are we going?)》 2017年/2019年 です。
高さ11メートルの天井から吊られた65艘の舟が、来場者を会場へと誘います。観客はこの下を通って展示室に向かい、またここから日常に帰っていくことになります。どこへ向かって?

塩田千春は大阪出身。アーティストを志し、京都精華大で洋画を専攻したが、1年生で絵が描けなくなった。「絵のために絵を描いているようになってしまって。半年ぐらい何もできない時期が続いて、『美術をやめることがこんなに苦しいなら、何でもいいからやろう』と」。そうして始めたのが、インスタレーションだった。空間に線を引くドローイングの感覚で、糸を使い始めた。
(7月2日付朝日新聞夕刊より引用)


「2年前、この展覧会のお話をいただいたのですが、その翌日には入院して再発したガンの治療を受けることになっていたんです。ここまで死と寄り添いながらつくってきた展覧会は初めてでした。」
と、塩田千春が語るとおり、言葉にならない感情によって震えている心の動きを伝えたいという作家の思いが展示作品に込められています。

今回の展覧会では作者の言葉が重要と思い、作品だけではなくその言葉も紹介させていただきます。クリックして拡大画面でご覧ください。


塩田千春 《不確かな旅》 2016年/2019年



塩田千春 《ウォール》 2010年 ハイビジョンビデオ




塩田千春 《赤と黒》 2019年


2017年の癌再発と闘病以降、塩田の作品に身体のパーツが使われるようになります。その背景には、治療のプロセスでベルトコンベアーに乗せられるように、身体の部位が摘出され、抗がん剤治療を受けるなか、魂が置き去りにされていると感じた経験があります。不在のなかに生命の営みの存在を感じてきた塩田にとって、身体を作品に使うことは、その不在を想像することなのかもしれません。
(作品解説より)

塩田千春 《外在化された身体》 2019年
腕や脚など、ブロンズで鋳造された作家自身の身体のパーツが足元にちらばり、内臓あるいは剥がされた皮膚のように見える網状の赤い牛革が天井からつり下げられています。


《小さな記憶をつなげて》は、塩田の世界観がミニチュアの世界を通して凝縮されているような作品です。
東京の街を見下ろす会場に並べられたミニチュアは、赤い糸で結ばれています。

塩田千春 《小さな記憶をつなげて》 2019年




塩田千春 《静けさの中で》 2008年/2019年


《時空の反射》 ドレスは皮膚のように、身体の内部と外部の境界を暗示する。
白いドレスが Alcantara の黒い糸で囲まれた枠の中に置かれているのですが、見ているうちに不思議な世界に気付きます。
向こう側がちゃんと見えるのに、作品の中に自分が映っているのです。
下の写真、画面右の女性が作品に映り込んでいます(黄色い矢印)。
どう見ても白いドレスが2枚置かれているだけなのですが・・・
この種明かしは、会場で解いてみて下さい。
塩田千春 《時空の反射》 2018年/2019年
注)Alcantaraはイタリアのアルカンターラ社(東レの子会社)が製造・販売する繊維素材です。




塩田千春 《内と外》 2009年/2019年



440個のスーツケースが天井からつり下げられて振動しています。

塩田千春 《集積-目的地を求めて》 2016年/2019年

《行くべき場所、あるべきものー写真》 2010年


塩田千春自身が、「ここまで死と寄り添って、構想を続けないといけない展覧会はなかった。生きていくこと、自分が死ぬということを、考え続けた2年間だった」と語る、魂を揺さぶる展覧会です。

このほかにも感動する作品が多数展示されています。是非、会場まで足を運んでご覧ください。
ついつい力が入って長くなってしまいました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。


開催場所:森美術館 (六本木ヒルズ森タワー53階)
開催期間:2019年6月20日(木)~ 10月27日(日) 
休館日:会期中無休
開館時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)
       ※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30)
       ※ただし10⽉22⽇(⽕)は22:00まで(最終⼊館 21:30)
観覧料金:一般 1,800円  学生(高校・大学生)1,200円  子供(4歳~中学生)600円  シニア(65歳以上)1,500円
本展のチケットで、「MAMコレクション010」「MAMスクリーン011」「MAMリサーチ007」および展望台 東京シティビュー「PIXARのひみつ展(9月16日まで開催)」にも入館できます。


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