「時」展覧会2020 ― 2020年07月03日 17時59分00秒
「時の記念日(6月10日)」が制定されてから今年は100年を迎えました。
展示は地球館2階の常設展示室と日本館地下1階多目的室の2会場に渡り、1920年に開催された「時」展覧会や「時の記念日」についての紹介や、時計の歴史を写真や関連資料と合わせ魅力的な製品の数々で紹介しています。
6月10日の「時の記念日」は、671年に天智天皇が漏刻(水時計)を使って日本で初めて報時を行った故事に由来しています。
日本の時計産業は、この100年間、時間の正確さと携帯性の向上を限りなく求め続け、世界市場を席巻するクオーツ時計を次々に開発するなど、世界をリードしてきました。
1日を12時間2組に分けたのは古代エジプト人で、巨大なオベリスク(方尖塔:神殿などに立てられた塔のようなモニュメント)の影を日時計に見立てたことが起源だといわれます。
西洋式の機械時計が日本にもたらされたのは1551年にフランシスコ・ザビエルが大内義隆に献上したものが最初とされています。
17世紀(1600年代)には西洋時計の改良が日本独自で行われ、和時計と呼ばれました。
西洋では季節によらず、1日を24時間に分けるため、同じ時計が1年を通して使用できました。
しかし、日本では室町時代ごろから日昇から日没までの時間を6等分する、いわゆる「不定期法」が使われるようになったため、季節によって「一刻」の長さが変わり、西洋時計をそのまま使うことはできませんでした。
下の写真は「二挺てんぷ櫓時計」の上の部分です。重錘駆動式時計なので、下の方に錘が入った円錐形の櫓台があります。
調速機として、昼用・夜用の2本のてんぷがあり、明け六つ・暮れ六つで自動的に切り替わるようになっています。
太鼓時計です。
江戸時代に遊女の労働時間を図るために用いられたという線香時計です。
松平出羽守(まつだいら でわのかみ )が所持したとされる「割駒式尺時計」。螺鈿のケースで装飾されています。
江戸時代に旅で使用された「携帯式日時計」。
明治に入ると海外からの機械式時計の輸入が大幅に増え、1887年(明治20年)以降には輸入時計を模倣した掛け時計の製造が日本で始まりました。
ニューヘブン社(アメリカ)の「四つ丸型掛時計」です。国産掛時計のお手本となりました。
当時の掛時計と懐中時計が陳列されています。
精工舎の「二ツベルつき目覚時計」。
昭和25~昭和35年に製造された、愛知時計電機製の「七宝装飾置時計」。
国重要文化財 「万年自鳴鐘」です。1851年(嘉永4年)に、「東洋のエジソン」「からくり儀右衛門」と呼ばれた田中儀右衛門久重によって製作されました。東芝の基礎となる田中製作所の創業者です。
江戸期の和時計技術の最高峰といわれ、不定時法に合わせた割駒式文字盤などの各種表示や、太陽や月が自動運行する天象儀が供えられ、日本独自の創意工夫が随所に見られます。
六角柱様の本体の各面に7つの機能が配置され、それらが底部のぜんまい動力によって連動して動くのですが、一度巻けば一年動くという機械式時計としては驚異的な持続時間を実現していました。
美術工芸品としても珍重されるものです。
昭和初期から約30年間、東京天文台の報時室で中央標準時のマスタークロックの一つとして使われていた「リーフラー天文時計」(部分)です。
日本の標準時を測る標準時計は1951年(昭和26年)から水晶時計になり、現在ではより精度の高い原子時計が使われています。
本展では、日時計から掛時計、懐中時計、天文時計、水晶時計、セシウム原子時計、光格子時計と、正確さで大きく進歩する時計の歴史を学ぶことが出来ます。
腕時計では機械式、自動巻き、クオーツ、ソーラー電池、デジタル腕時計、電波時計、位置情報や時刻情報を受信するGPS腕時計などと進化してきました。
初代グランドセイコーです。
1960年(昭和35年)12月に発売され、価格は25,000円でした。当時の上級国家公務員の初任給が1,2000円位なので、今でいえば50万円位の値段でしょうか。
音叉型水晶振動子を使った、世界初のクオーツ腕時計、「セイコー クオーツアストロン」です。
世界に先駆けて、1969年(昭和44年)12月に発売されました。
価格は45万円です。当時の大卒初任給が34,000円位なので、今でいえば、300万円位でしょうか?。中型車1台分くらいの値段だったというので、大体合っていると思います。
セイコーでは、2012年に発売した世界初のGPSソーラーウオッチにも「セイコー アストロン」の名を冠しています。 地球上のどこにいてもGPS 衛星からの電波を受信して、緯度・経度・高度を特定し、すばやく現在地の正確な時刻を表示します。
時計の機能はどんどん進化しているのに、私の機能はどんどん退化しています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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