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アーティゾン美術館 石橋財団コレクション選2021年01月06日 09時31分00秒

ブリヂストンの創業者である実業家石橋正二郎の収集した美術品を展示するため、1952年、東京・京橋に新築されたブリヂストン本社ビル内に開館した「ブリジストン美術館」。
2015年5月より、ビルの建替えに伴ない長期休館していましたが、「アーティゾン美術館」と改称され、2020年1月に23階建ての新しいビル「ミュージアムタワー京橋」の1階から6階を利用してリニューアルオープンしました。

アーティゾン美術館は都市型の美術館として縦に層を重ねる6階建ての構成で、大きく下3階部分(1F~3F)をミュージアムショップやカフェなどのフリーゾーン、また上3階部分(4F~6F)を展示室ゾーンに分けています。
「ARTIZON」(アーティゾン)は、「ART」(アート)と「HORIZON」(ホライゾン:地平)を組み合わせた造語で、時代を切り拓くアートの地平を多くの方に感じ取っていただきたい、という意志が込められています。
古代美術、印象派、日本の近世美術、日本近代洋画、20世紀美術、そして現代美術にまで視野を広げた、幅広い収蔵品を誇ります。

そのアーティゾン美術館では今、「琳派と印象派 東⻄都市文化が生んだ美術」展と同時開催で、「石橋財団コレクション選」が開催されています。
アーティゾン美術館が所蔵する、2,800点余りからなる収蔵品の中から厳選された作品54点(同時開催の特集コーナー「久留米をめぐる画家たち」の約30点は除く)が展示されています。


アンリ・ルソー《 牧場 》1910年 油彩・カンヴァス 46.0×55.3cm


スペイン出身のピカソはブラックと共に、対象を基本的な形だけで表し、複数の視点から描く前衛芸術運動「キュビズム」を創り出しました。
この作品はキュビズム探求の後半期のもので、新聞紙や壁紙の切り抜きなどを絵に張り付ける手法、「コラージュ」が使われています。
パブロ・ピカソ《 ブルゴーニュのマール瓶、グラス、新聞紙 》1913年 油彩、砂、新聞紙・カンヴァス 46.3×38.4cm


パウル・クレー 《 羊飼い 》 1929年 油彩・合板に貼られたカンヴァス 49.8×67.0cm


カンディンスキーは絵画制作を精神活動とみなし、色彩によって内面に直接働きかける作品を探求しました。
ヴァシリー・カンディンスキー《 自らが輝く》 1924年 油彩・カンヴァス 69.5×59.5cm


ジョルジョ・デ・キリコ 《 吟遊詩人 》 1948年 油彩・カンヴァス 62.4×49.8cm


赤を印象的に使ったこの絵は私の好きな絵画の一つです。
この絵は、ピカソがイタリアの影響を受けて制作した時期の終わり頃に描かれたもので、その集大成としての完成度を持っています。
サルタンバンクと呼ばれる大道芸人は、イタリア語で「椅子の上で飛び跳ねる人」を意味する言葉が語源になっています。
パブロ・ピカソ《 腕を組んですわるサルタンバンク 》 1923年 油彩・カンヴァス 130.8×98.0cm


展示風景


1930年代のマティスは、対象の余分な要素を排除し、単純化した色の面と線で画面を創りあげることを追求しました。
この頃のマティスは、制作の過程を写真に撮らせ、それを見ながらより満足のいく造形を求めて作品を修正しました。この作品にも3枚の写真が残されており、対象が次第に単純化され、表現が誇張されていった過程を知ることができるということです。
アンリ・マティス《 青い胴着の女 》 1935年 油彩・カンヴァス 46.0×33.0cm


日本人の作品も多く紹介されています。
日本の現代美術家を代表する草間彌生の作品です。
始まりも終わりもなく、ただ網目が反復する絵画シリーズ「無限の網」は、抽象表現主義が隆盛するニューヨーク・アート界でその独自性が高く評価され、草間は前衛芸術家としてのキャリアを彼の地で華々しくスタートさせました。
草間彌生 《 無限の網(無題)》 1962年頃 油彩・カンヴァス 132.1×132.1cm


藤田嗣治《 ドルドーニュの家 》1940 年 油彩・カンヴァス 45.5 × 53.3cm


岸田劉生《 麗子像 》1922 年 テンペラ・カンヴァス 41.0 × 31.9cm


法律を学ぶためにパリへ留学した黒田清輝は画家に転向し、28歳で帰国するまでの間に、大きな展覧会で女性像が入選するほどの、伝統的な技術を身に付けました。
窓辺で無心に針仕事に勤しむ女性は、黒田がパリの南東70kmにある村、グレー=シュル=ロワンで部屋を借りていた農家の娘、当時19歳のマリア・ピヨーです。
黒田清輝《 針仕事 》 1890 年 油彩・カンヴァス 81.2 × 65.0cm


40歳をはさむ4年間、ヨーロッパ留学をした藤島武二は、後半の2年をローマで過ごしました。この絵は、現地のイタリア人モデルを描いたものです。
黒い扇や白いベールは、当時のスペイン趣味を反映させたものだと思われます。
この絵は、藤島が帰国の際に持ち帰ったまま、最晩年までずっとアトリエの奥で誰の目にも触れずにしまわれていたということです。
国の重要文化財に指定されています。
重要文化財 藤島武二《 黒扇 》1908-09 年 油彩・カンヴァス 63.7 × 42.4 cm


「石橋財団コレクション選 」開催概要
開催会場:アーティゾン美術館4階展示室
開催期間:2020年11月3日[火] - 2021年1月24日[日]
休館日:月曜日(1月11日は開館)、年末年始(12月28日 - 1月4日)、1月12日
開館時間:10:00 - 18:00  ※入館は閉館の30分前まで
入館料(税込):「琳派と印象派展」を同時開催しています(5階・6階展室)。
 ウェブ予約チケット 1,700円 当日チケット(窓口販売)2,000円 学生無料(要ウェブ予約・中学生以下予約不要)
 *この料金で同時開催の展覧会を全て観覧できます。
 *ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ、美術館窓口でも当日チケットを販売します。
 *スマートフォンとイヤホンをお持ちください。アプリで声優の細谷佳正さんによる所蔵作品の無料音声ガイドを楽しめます(無料)。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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