佐藤可士和展@国立新美術館 ― 2021年04月06日 16時54分54秒
東京都港区六本木にある国立新美術館で「佐藤可士和展」が開催されています。
佐藤可士和は、誰でも知っているユニクロ、Tポイント、セブン&アイ、今治タオルなどのロゴを創り出した、クリエイティブディレクター、アートディレクター、グラフィックデザイナーです。
1965年東京生まれで成城高等学校卒業後、お茶の水美術学院を経て多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン科を卒業。株式会社博報堂に入社後2000年に独立し、クリエイティブスタジオ「株式会社SAMURAI」を設立しました。
可士和(かしわ)という名前は本名ですが、母親が名古屋育ちの私は「かしわ」というと鶏肉を思ってしまいます。
因みに、「SAMURAI」という社名は自分の名前、可士和の「士」に由来しているということです。
「佐藤可士和展」は6つの章で構成されています。
1、 THE SPASE WITHIN
1989年の博報堂入社当時、Macintosh IIciを用いて初めてコンピュータでデザインした作品です。
《 6 ICONS 》 1989年 シルクスクリーン
2、 ADVERTISING AND BEYOND
佐藤可士和は、CDジャケットや飲料のパッケージから、ショッピングバッグ、駅の連貼りポスター、ビルボード、街路を巡るラッピングバス、そして道端で通行人に配られるポケットティッシュまでもメディアととらえ、それら全てを統一性のある明快なデザインで貫きました。
《 HONDA ステップワゴン 屋外広告 ポスター3種 》 上から1998年/1998年/1999年 オフセット
《 LOFT クリスマスキャンペーン 屋外広告 ポスター》 2006年 オフセット
《 SMAP CDアルバム 》 屋外広告 ビルボード 2000年 グラフィックシート
《 SMAP 》 キャンペーングッズ 2000―2003 2005―2006年
《 T.M. Revolution CDアルバム 『1000000000000』 》 屋外広告 ポスター 2006年 オフセット
《 T.M. Revolution CDアルバム 『1000000000000』 》 キャンペーングッズ 2006年
《 TSUTAYA TOKYO ROPPONGI 》 オリジナルグッズ 2003年
《 YANMAR(ヤンマー)》
コンセプトトラクター「Y-CONCEPT YT01 ADOVANCED TRACTOR」 1/49スケール(トミカ)パッケージ 2014年
プレミアムブランドプロジェクトブック 2013年
YT TRACTOR ビジュアルブック 2015年
3、 THE ROGO
このコーナーでは、佐藤可士和は展覧会ならではの趣向として、私たちが日々慣れ親しんでいる数々のロゴを巨大な絵画やオブジェへと物質化し、壮大なインスタレーションに展開しています。
本展が開催されている国立新美術館のシンボルマークやロゴタイプも佐藤可士和の手によるものです。
《 国立新美術館 シンボルマーク 》 2006年
楽天の公式キャラクター「お買い物パンダ」が順路案内をしていました。
4、 THE POWER OF GRAPHIC DESIGN
このコーナーでは、選りすぐられたポスターと装丁デザインの傑作を紹介しています。
シンプルで明快、鮮烈でパワフルにして、洗練された美しさが際立つ佐藤可士和のグラフィックデザインは、見る者の目をとらえて離しません。
5、 ICONIC BRANDING PROJECTS
佐藤可士和は2000年代半ばから、企業、教育機関、文化施設、病院、地域産業、伝統文化、アパレルブランドなどさまざまな領域で、クリエイティブディレクターとしてブランディングのプロジェクトを数多く手がけてきました。
このセクションでは数々のプロジェクトを一挙に紹介し、進化を続ける佐藤独自の「アイコニック・ブランディング」の革新性に迫ります。
《 日清食品 》
《 日清食品グループ 名刺 》
《 くら寿司 大提灯》 2020年
《三輪山本 HAKURYU 》 そうめん「白龍」パッケージ 2021年
《 今治タオル 》
今治の頭文字「 i 」をかたどったロゴは2002年2月に発表されました。
赤・青・白の3色は、今治のタオル生産を支える自然(太陽、海と豊かな水源、雲)を表します。佐藤はこのロゴを品質保証マークのように、今治タオル工業組合(当時は四国タオル工業組合)が定める基準を満たしたタオルだけに付ける運用を提案しました。
《 楽天 「UNLIMITED SPACE」》
長年にわたり楽天のチーフクリエイティブディレクターをつとめてきた佐藤が、楽天のテクノロジーをテーマとして構想したインタラクティブデジタルインスタレーションです。
展示空間に足を踏み入れた人の動きに即時に反応して、世界中の楽天サービスサイトで検索されている単語が次々と投影され、一人ひとりの人型を形成します。
《 ふじようちえん リニューアルプロジェクト トータルプロデュース》 2007年
リニューアルを総合プロデュースした東京都立川市の「ふじようちえん」では、ユニークな楕円形の園舎の建物(設計:手塚貴晴・手塚由比)が、「園舎自体が巨大な遊具」という佐藤のグランドコンセプトを体現し、幼稚園そのもののアイコンとなっています。
《 G-SHOCK KASHIWA SATO Collaboration Model Limited Edition 》 2021年
EXILEの初期メンバーが設立した「エグザイルエンタテインメント」を基とするエンタテインメント企業「LDH JAPAN」。
2020年、佐藤はEXILE HIROと共に若手アーティストの応援プロジェクトに取り組み始めました。
本展では、LDHの若手ダンス&ボーカルグループ「FANTASTICS」のミュージックビデオが流されています。
《 LDH JAPAN STOP FOR NOTHING 》 2020年
6、 LINES/FLOW
このセクションでは、佐藤自身の「アイコン」とも言うべき二つのアートワークのシリーズ、「LINES」と「FLOW」の対比的なインスタレーションを展開しています。
DISSIMILAR 2016年~
《 球型五段重 》 2016年 有田焼 呉須/金
呉須(ごす)は、焼物の染付に用いるコバルト化合物を含む鉱物の名で、藍色(あいいろ)に発色します。
FLOW 2016年~
《 FLOW 》 2020年 岩絵具/和紙 各194×255㎝ 展示風景
LINES 2017年~
《 LINES 》 2020年 吹付塗装/ステンレススチール/アルミ樹脂複合版 各160×240cm 展示風景
「UT STORE @ THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO」
『ネーミングやロゴからストアデザインまでを担うことは、ブランドを認知してから商品を購入するところまでをデザインすること。そういったエクスペリエンスを通して、ブランドの本質を感じてもらうトータルプロデュースが自分の仕事である』 と述べる佐籐可士和の代表作の一つ、ユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」。
「UT」のプロジェクトそのものを一つの作品として提示する新しい試みとして、買い物ができる「UT STORE」が展覧会の一部として登場しました。
公式グッズショップでは、図録の他、 楽天の公式キャラクター「お買いものパンダ」とのコラボ商品など、いろいろなオリジナルグッズを販売しています。
公式図録では、佐藤可士和の約30年にわたる活動を一冊に凝縮。展覧会で紹介した数々のロゴ、50件近くのプロジェクト、そして最新のアートワークを豊富な写真と詳細な解説により紹介しています。
A4判正寸 390ページという見ごたえたっぷりの内容ですが、税込4,180円は家計に響きます。
スマホのQRコードでの入場なのに、紙のチケットが貰えるのは嬉しいですね。
佐藤可士和は、2011年発売の「N-BOX」に始まるHONDAの軽自動車「Nシリーズ」のプランディングを、発売当初から担当しています。
展示会場外の1階ロビーには、本展のために特別に制作されたクロームメッキ仕上げの「N-BOX」が展示されています。
この「N-BOX」は、ブランドやプロダクトのアイデンティティーを示す「ロゴ」の役割をテーマにした作品です。 えっ、どういうこと?・・・・・
全体が銀色にキラキラと輝く車は未知の物体のよう。 しかし、銀色の中に浮かび上がる黒い「 N 」のロゴが、その正体を明かしてくれます。
「佐藤可士和展」開催概要
開催会場:国立新美術館
開催期間:2021年2月3日(水) - 5月10日(月)
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00 - 18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
※開館時間は変更することがあります
観覧料金:一般1,700円 大学生1,200円 高校生800円
※中学生以下、障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
当日のチケット販売もありますが、日時指定オンライン予約の方が確実です。
音声ガイドは無料です。スマホとイヤホンをお持ちください。QRコードを読み込むことによって音声ガイドを自分のスマホで聴くことができます。(音声ガイド機の貸し出しも行なっています。)
かなり長くなってしまいました。 最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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