ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展 ― 2022年10月15日 18時40分58秒
上野の国立西洋美術館で、「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」が開催されています。
ベルリン国立ベルクグリューン美術館は、ドイツ生まれの美術商ハインツ・ベルクグリューン(1914-2007年)が収集したコレクションの主要作品をドイツ政府が購入し、ベルリン国立美術館群ナショナルギャラリーに属する「ベルクグリューン美術館」としたものです。
ベルクグリューンが最も敬愛した同時代の4人の芸術家たち、パブロ・ピカソ、パウル・クレー、アンリ・マティス、アルベルト・ジャコメッティの作品に重点が置かれています。ベルクグリューン美術館の改修を機に実現した今回の展覧会は、この個性的で傑出したコレクションから精選した97点の作品に、日本の国立美術館の所蔵・寄託作品11点を加えた合計108点で構成されています。
ベルクグリューン美術館の設立後、館外でまとめてコレクションを紹介する展覧会は今回が初めてで、97点のうち76点が日本初公開という、見ごたえのある展覧会になっています。
看板やチラシ、公式図録などに使われている、《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》です。
パブロ・ピカソ 《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》 1936年 油彩、カンヴァス
こちらも、1936年から43年までピカソの恋人だった写真家ドラ・マールの肖像画です。
パブロ・ピカソ 《女の肖像》 1940年 油彩、カンヴァスに貼った紙
展示風景
1940年6月から1944年8月まで続いたナチス・ドイツによる占領下のパリで制作された、最も重要な大作の一つであり、ピカソの最も困難な時代を象徴する作品です。
パブロ・ピカソ 《大きな横たわる裸婦》 1942年 油彩、カンヴァス
シレノスが、古代ローマの海神ネプトゥヌス(ギリシャ神話のポセイドン)とともに穏やかな海から現れた場面が描かれています。シレノスは、予言術や音楽に精通していますが、酒を飲むと歌い踊り、ヘラなどの女神やニンフを追い回します。
パブロ・ピカソ 《踊るシレノス》 1933年 グアッシュ・墨、紙
アルベルト・ジャコメッティが戦後に繰り返し取り組んだ、細長く引き伸ばされた女性立像のヴァリエーションのひとつに位置付けられる作品です。
後ろの絵は、パブロ・ピカソの《男と女》と、《闘牛士と裸婦》です。
アルベルト・ジャコメッティ 《ヴェネツィアの女 Ⅳ》 1956年 ブロンズ
ポール・セザンヌの妻、マリー=オルタンスの肖像です。
ポール・セザンヌ 《セザンヌ夫人の肖像》 1890年頃 水彩・鉛筆、紙
パウル・クレー 《青の風景》 1917年 水彩・鉛筆・ペン・インク、地塗りをした紙、厚紙に貼り付け
描画材や支持体から技法など、クレーは様々な独自の工夫を凝らし続けました。
1920年代から下地に接着剤として使用していた糊を、1930年代になると水彩絵具、パステル、油彩絵具の発色や性質の変化を狙って、それらの顔料に直接混ぜ、特製の糊絵具を使用するようになります。
パウル・クレー 《子どもの遊び》 1939年 糊絵具・水彩、厚紙
手前の女性の顔が描かれていません。マティスはこの時期、その相貌を見る者の想像力に委ね、普遍的なものとすると同時に、相貌を通して眼差しを感情的に惹き留めることなく人物の存在を室内の一部へと溶け込ませようとしていたようです。
アンリ・マティス 《青いポートフォリオ》 1945年 油彩、カンヴァス
展覧会は、
序、ベルクグリューンと芸術家たち
Ⅰ、セザンヌ― 近代芸術家たちの師
Ⅱ、ピカソとブラック― 新しい造形言語の創造
Ⅲ、両大戦間のピカソ― 古典主義とその破壊
Ⅳ、両大戦間のピカソ― 女性のイメージ
Ⅴ、クレーの宇宙
Ⅵ、マティス―安息と活力
Ⅶ、空間の中の人物像―第二次大戦後のピカソ、マティス、ジャコメッティ
の8つの章で構成されています。
公式図録はA4変型判、363ページに及ぶ豪華版です。(税込2,800円)
開催会場:国立西洋美術館
開催期間: 2022年10月8日(土)~2023年1月22日(日)
休館日:月曜日、10月11日(火)、12月30日(金)-2023年1月1日(日)、1月10日(火)
※10月10日(月・祝)、2023年1月2日(月・休)、1月9日(月・祝)は開館
開催時間:9:30〜17:30 毎週金・土曜日:9:30〜20:00 ※入館は閉館の30分前まで
観覧料金:一般2,100円、大学生1,500円、高校生1,100円
※中学生以下は無料 ※心身に障害のある方及び付添者1名は無料
※一般以外は要証明書
本展覧会は事前予約制(日時指定券)を導入しています。詳細は公式サイトへ。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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