和田礼治郎《FORBIDDEN FRUIT》国立新美術館 ― 2024年02月25日 14時44分44秒
国立新美術館では、美術館のパブリックスペースを使った小企画シリーズ「NACT View」を、2022年から開催しています。
第4回となる今回は、和田礼治郎(わだれいじろう)の《FORBIDDEN FRUIT》という作品です。
和田礼治郎は1977年広島県生まれで現在はベルリンで活動する彫刻家です。
物理的な現象や力学による独自の手法を通じて、宇宙、生命、時間などの形而上学的な主題に取り組んでいます。
建築家の黒川紀章が設計した美術館のエントランス前パブリックスペースには円形の庭があり、そこにはザクロやイチジク、レモンの果樹が生えています。中央には美術館の壁面に溶け込むような強化ガラスの構造体が放射状に配置され、ガラスのあいだにはリンゴ、ブドウ、パイナップルなど、様々な生の果実が挟まり空中で静止しています。
これらの瑞々しい果実は時間が経つにつれ徐々に萎んでいき、最終的にはガラスの間から滑り落ちてしまい、地面で朽ち果てていきます。
和田は、「生命が突然世界のなかに投げ入れられて存在し、突然落下する。生命が明滅する瞬間を果実に置き換えている」といいます。
本作は、建築と庭園の要素を統合しつつ、生命と時間という根源的なテーマを風景として結晶化させています。
《FORBIDDEN FRUIT》は日本語で「禁断の果実」。旧約聖書の『創世記』の中でアダムとイブの話で知られる、「善悪の知識の木」を思い出します。
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