圧巻の睡蓮! 『モネ睡蓮のとき』国立西洋美術館 ― 2024年10月20日 18時37分33秒
1874年にパリで第1回印象派展が開かれてから、今年は150年になります。
その「印象派」の名の由来となった作品、《印象・日の出》を描いたクロード・モネの展覧会『モネ 睡蓮のとき』が、上野の国立西洋美術館で開催されています。世界最大級のモネ・コレクションを誇るパリのマルモッタン・モネ美術館より、日本初公開作品を含む、厳選されたおよそ50点が来日し、日本国内に所蔵される作品も加えて計64点の名画が集結しました。
第1章「セーヌ河から睡蓮の池」
1890年、50歳になったモネは、7年前に移り住んだノルマンディー地方の小村ジヴェルニーの土地と家を買い取り、これを終の棲家としました。
数多くの《睡蓮》の名作が生まれたのもこの池からですが、この頃に描かれたのは、ロンドンの風景や、身近なセーヌ川の風景でした。
第2章「水と花々と装飾」
第2章「水と花々と装飾」
池の周囲に植えられた多種多様な花々をモティーフとして描かれた作品が紹介されています。
第3章「大装飾画への道」
睡蓮の池を描いた巨大なパネルによって楕円形の部屋の壁面を覆うという大装飾画の構想は、モネが長年にわたり追い求めたテーマでした。
モルマッタン・モネ美術館での展示を再現し、湾曲した壁面に《睡蓮》の装飾壁画が並びます。
第4章「交響する色彩」
1908年ごろからしだいに顕在化しはじめた白内障の症状は、晩年の画家の色覚を少なからず変容させることになりました。
1918年の終わりごろから最晩年には、死の間際まで続いた大装飾画の制作と並行して、複数の独立した小型連作が手掛けられました。激しい筆遣いと鮮烈な色彩は穏やかなモネの作品とは程遠いものに感じられます。でも、これらの作品が、のちの抽象表現主義の先駆に位置づけられていると聞くと、パリを代表する大芸術家の存在を改めて再確認することができるのです。
エピローグ「さかさまの世界」
1914年に第1次世界大戦が勃発し、戦火の中、モネは心を痛めます。その頃からジヴェルニーの池に植えられた枝垂れ柳をモチーフにした、水への反映を多く描くようになりました。
1914年に第1次世界大戦が勃発し、戦火の中、モネは心を痛めます。その頃からジヴェルニーの池に植えられた枝垂れ柳をモチーフにした、水への反映を多く描くようになりました。
枝垂れ柳はその姿から服喪、悲しみの象徴とされていました。
本展では、《睡蓮》連作を中心に、モネ晩年の芸術を紹介しています。《睡蓮》が一堂に会した展覧会としては日本で最大のものとなります。
1914年以降のモネは大装飾画の製作において、睡蓮は池の周囲に植えられた枝垂れ柳やその反映像と共に、極めて重要な位置を占めるようになります。刻々と変化する光と影をとらえ、柳と空と水の反映の中に睡蓮の花が浮かぶ、モネを象徴するような作品です。
クロード・モネ 《睡蓮》 1916-1919年頃 油彩、カンヴァス マルモッタン・モネ美術館蔵
国立西洋美術館のコレクションの基礎を築いた松方幸次郎が、ジヴェルニーのモネの家を訪れ、モネから直接購入した作品です。
第2次世界大戦を経て行方不明になっていましたが、2016年にルーブル美術館において、画面の大半が損傷した状態で発見されました。
クロード・モネ 《睡蓮、柳の反映》 1916年? 油彩、カンヴァス 国立西洋美術館所蔵
モネの代表作である《印象・日の出》を所蔵するマルモッタン・モネ美術館からの出展ですが、さすがに《印象・日の出》は展示されていませんでした。来年1月19日までニューヨークのナショナルギャラリーに貸し出されているようです。
(《印象・日の出》は2015年9月19日から10月18日まで、東京都美術館「マルモッタン・モネ美術館蔵 モネ展」で展示されたことがあります)
図録はA4変型(約W220×H260mm)280ページ、3,200円(税込)で、国内外の研究者による充実のテキストを収録した、読み応えのある一冊です。
ハードカバーの表紙に、シルバーで箔押しされた展覧会タイトルが、睡蓮の池にきらりと光ります。
『モネ 睡蓮のとき』開催概要
開催会場:国立西洋美術館
開催期間:2024年10月5日[土]-2025年2月11日[火・祝]
以降の休館日:月曜日、11月5日[火]、 12月28日[土]-2025年1月1日[水・祝]、 1月14日[火]
※11月4日[月・休]、2025年1月13日[月・祝]、 2月10日[月]、2月11日[火・祝]は開館
開館時間:9:30 〜 17:30(金・土曜日は21:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
観覧料金:一般 2,300円 大学生 1,400円 高校生 1,000円
※中学生以下、心身に障害のある方及び付添者 1 名は無料
※12月12日[木]-27日[金]、2025年1月2日[木]-17日[金]は高校生無料観覧日
※一般以外は証明できるものが必要
※観覧当日に限り本展の観覧券で常設展も観覧できます
詳細は公式チケットサイトへ(こちら)
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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