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東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密2023年04月01日 16時10分01秒

1952年12月に開館し、2022年度は開館70周年にあたる東京国立近代美術館で、「東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密」が開催されています。
東京国立近代美術館の収蔵品だけではなく日本各地から重要文化財が集結しました。
東京国立近代美術館

明治以降の絵画・彫刻・工芸については、2022年11月現在で68件が重要文化財に指定されていますが、まだ国宝はありません。
本展ではそのうち、51点の重要文化財で構成された、超豪華な展覧会になっています。(一部展示替えがあります)

高橋由一 《鮭》(部分) 1877年頃 油彩・キャンバス 東京藝術大学蔵

本展はただの名品展では済ませません。
今でこそ「傑作」の呼び声高い作品も、発表された当初は、それまでにない新しい表現を打ち立てた「問題作」でもありました。そうした作品が、どのような評価の変遷を経て、重要文化財に指定されるに至ったのかという美術史の秘密にも迫っています。

菱田春草 《黒き猫》(部分) 1910年 永青文庫(熊本県立美術館寄託) (5月9日ー5月14日展示)


瀟湘八景(しょうしょう はっけい)とは、中国湖南省の洞庭湖に流れる瀟水と、湘江の周辺に由来する山水画の画題であり、またその8つの名所のことです。
横山大観はこれを4つの対幅として構成しました。
横山大観 《瀟湘八景》より 1912年 絹本彩色・軸(八幅) 東京国立博物館蔵 重要文化財 (4月9日まで展示)


私は、点景人物を描くことにより美しい風景の中に生活感も漂わせる、川合玉堂の画風が好きです。
岸壁そそり立つ山峡の渓流に、桜吹雪が舞っています。渓流には水車舟が繋がれ、縄を綯う人が小さく描かれています。
川合玉堂 《行く春》 1916年 紙本彩色、屏風(六曲一双) 東京国立近代美術館蔵 重要文化財


作者の原田直次郎はドイツで油彩画を学び、帰国後、観音像を西洋の技法で描くことを本作で試みました。当時は賛否を呼びましたが、その後、西洋絵画受容の初期のすぐれた作品として再評価が進み、2007年に重要文化財に指定されました。272㎝×181㎝という迫力のある大作です。
原田直次郎  《騎龍観音》 1890年 油彩・キャンバス 護国寺(東京国立近代美術館寄託) 重要文化財


高橋由一は本格的な油絵技法を習得し、江戸後末期から明治中頃まで活躍した洋画家です。
《鮭》は、1967年に油絵として最初の重要文化財のひとつに指定された、高橋由一の代表作のひとつとしてあげられる作品です。
高橋由一 《鮭》 1877年頃 油彩・キャンバス 東京藝術大学蔵 重要文化財


女性が持っている楽器は「箜篌(くご)」と呼ばれ、正倉院にその残欠が伝わるものです。藤島武二はこの作品発表の前年に奈良を訪れて仏像、仏画などを見て回り、正倉院宝物の「箜篌」(くご)を見る機会もあって、天平時代に空想をめぐらし、本作品の着想に至ったということです。
藤島武二 《天平の面影》 1902年 油彩、カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵 重要文化財


展示風景
(左)鈴木長吉 《鷲置物》 1892年 銅 東京国立博物館蔵  重要文化財
(奥)鈴木長吉 《十二の鷹》 1893年 青銅の地に金、銀、赤銅、朧銀による象嵌、鋳造 国立工芸館蔵 重要文化財


上野恩賜公園の西郷隆盛像の作者として知られる、高村光雲の作品です。高村光雲は彫刻家の高村光太郎や鋳金家の高村豊周の父親になります。
高村光雲 《老猿》(部分) 1893年 木 東京国立博物館蔵 重要文化財


展示風景
東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密


天平風のまげを結い、薄布を手にした控えめなポーズをとる日本人をモデルとして、ヨーロッパ風の理想化された人体像を示しています。
当時はまだ裸体表現が風紀取締りの対象となることがしばしばあったため、薄布はそれを避けるための工夫とみられています。
新海竹太郎 《ゆあみ》 1907年 石膏 東京国立近代美術館蔵


鉢の体部正面に大小二匹のほぼ実物大に作り出した渡り蟹を連なって貼り付け、褐・黒・青・紫などの上絵具で賦彩しています。香山はこの台付鉢のように貼り付ける、あるいは浮き彫りにするといった装飾法を用いて海外の万国博覧会で人気を博しました。
初代宮川香山 《褐釉蟹貼付台付鉢》 1881年 陶器 東京国立博物館蔵 重要文化財

東京国立近代美術館所蔵の重要文化財全17件がまとめて公開されるのは、今回が初めてになります。
2022年11月に重要文化財に新たに指定された鏑木清方《築地明石町》《新富町》《浜町河岸》三部作も公開しています。(鏑木清方三部作の展示期間は4月16日迄)


公式図録はA4変型判(303×231mm)、280ページで、税込3,300円です。
本展出品作品だけでなく、重要文化財全68件の作品をオールカラーで収録し、解説や論文、コラムも充実しています。

値段が1,800円で変わらないので、プレスリリース(非売品)付きチケットを買いました。

ぜひ観て、記憶に留めておきたい展覧会です。



開催会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
開催期間:2023年3月17日(金)~ 5月14日(日)
休館日:月曜日(ただし5月1日、8日は開館)
開館時間:9:30-17:00(金曜・土曜は9:30-20:00)  入館は閉館30分前まで
  ※本展会期中に限り9:30開館(ただし「MOMATコレクション」は10:00開場)
観覧料金;一般 1,800円 / 大学生 1,200円 / 高校生 700円
  ※中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。(要証明書提示)
  ※本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)、コレクションによる小企画「修復の秘密」(2F ギャラリー4)も観覧できます。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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