所蔵作品展「MOMATコレクション」 ― 2024年08月22日 18時22分54秒
閉会間近ですが8月25日まで、東京国立近代美術館で所蔵作品展「MOMATコレクション」が開催されています。
「MOMATコレクション」展は、19世紀末から今日に至る日本の近現代美術のながれを海外作品も交えて、1,3000点余りの所蔵作品の中からテーマを変えながら常時200点ほどを紹介する、国内最大規模のコレクション展示です。
所蔵品ギャラリーは4階から2階まで12の部屋で構成されます。
1室 ハイライト
「ハイライト」では日本画の名品の他、日本近代洋画の人気作品や日本の前衛美術に大きな影響を与えた西洋の作家たちの作品を展示しています。
鏑木清方の《墨田河舟遊》は当館収蔵品でありながら、観る機会はあまり有りません。
鏑木清方 《墨田河舟遊》 1914年 絹本彩色 (下は部分)
2室 1910年代 ― 個への目覚めと多様性
ヨーロッパで学んだ美術家たちが相次いで帰国し、ヨーロッパの新しい美術や考えが盛んに紹介された明治時代の末頃には、画家個人の資質を活かした題材や表現の探究がみられます。
岸田劉生 《道路と土手と塀(切通之写生) 》 1915年 油彩・キャンバス 重要文化財
3室 大戦とバブル
第一次世界大戦当時、軍需品の輸出によって日本は好景気を迎え、「成金」と呼ばれる企業家が続々と登場していました。海外から影響を受けて日本で前衛傾向が高まるのもこの時代です。
第一次世界大戦当時、軍需品の輸出によって日本は好景気を迎え、「成金」と呼ばれる企業家が続々と登場していました。海外から影響を受けて日本で前衛傾向が高まるのもこの時代です。
藤田嗣治 《パリ風景》 1918年 油彩・キャンバス
4室 長谷川利行 東京放浪
1921年に関西から上京してきた長谷川利行のアトリエとなったのは、関東大震災(1923年)後の東京の盛り場や下町でした。ときに「肖像画の押し売り」をしながら街をうろつきまわっていた長谷川の絵は、スピードに満ちた迫力がある一方で、ナイーブで詩的な印象を覚えさせます。
展示風景
5室 パリのサロン
第一次世界大戦終結後の1920年代には世界中の芸術家たちがパリに集いました。この部屋では、サロンの常連だった西洋の画家の作品とともに、サロンに挑んだ日本人画家たちの滞欧作を中心に展示しています。
マルク・シャガール 《ふたり》 1976-77年 油彩・キャンバス
6室 興亜のまぼろし
第二次世界大戦下の日本は、いわゆる「大東亜共栄圏」構想を掲げ、インドネシアやフィリピン、ビルマ(現在のミャンマー)など南方に進出しました。そして画家たちは「彩管報国」(絵筆で国に報いること)の理念のもと、戦争画を描いたのでした。各地の戦闘場面や風俗を描いた絵画は、観衆の領土拡大への意欲を後押しし、戦意高揚に貢献しました。
鈴木良三 《衛生隊の活躍とビルマ人の好意》 1944年 油彩・キャンバス 米国から無期限貸与
7室 プレイバック「日米抽象美術展」(1955)①
1955年に国立近代美術館で開催された「日米抽象美術展」を振り返る展示です。当時1階では日本の彫刻作品、2階にはアメリカ側の作品、3階には日本側の作品が展示されました。
8室 プレイバック「日米抽象美術展」(1955)②
8室では、所蔵品の中から「日米抽象美術展」の出品作家による作品を展示しています。
8室では、所蔵品の中から「日米抽象美術展」の出品作家による作品を展示しています。
9室 『 20 Photographs by Eugène Atget』
ベル・エポックに華やぎ、近代化と都市改造が進むパリとその郊外で、失われるかもしれない風景や街路、労働者、商店、室内装飾、庭園等を写真で記録し続けたウジェーヌ・アジェ。
今回の展示では、アジェのガラス乾板ネガから、写真家ベレニス・アボットによってプリントされた20点組ポートフォリオ作品が並びます。
※ベル・エポック(仏: Belle Époque:美しい時代)は、主に19世紀末から第一次世界大戦勃発(1914年)までのパリが繁栄した華やかな時代を指します。
撮影から120年、プリントから60年以上経った今もなお、見る者の心を引き付けます。
ウジェーヌ・アジェ 『20 Photographs by Eugène Atget』より 《ランプの傘売り》 1899-1900年 (printed 1956年) ゼラチン・シルバー・プリント
10室 東西ペア/三都の日本画
日本と西洋、東西のペアと、東京、京都、大阪の三都にかかわりの深かった日本画家の作品から、描かれた主題や風俗、表現などに地域性が見いだせるか否かを考えさせる展示になっています。
パブロ・ピカソ 《ラ・ガループの海水浴場》 1955年 油彩・キャンバス
11室 黙(らない)、認(めない)
このコーナーでは、日本とアメリカという国家に抑圧される沖縄を起点に、暴力やジェンダーなどのテーマを扱う山城知佳子、自身が歴史や社会の中で構成されてきた「女」であることを引き受けながら個々の生きる営みを眼差す石内都、戦後に日本国籍を失った在日韓国人として日韓のはざまでアイデンティティを問い続ける郭徳俊の作品を紹介してます。
このコーナーでは、日本とアメリカという国家に抑圧される沖縄を起点に、暴力やジェンダーなどのテーマを扱う山城知佳子、自身が歴史や社会の中で構成されてきた「女」であることを引き受けながら個々の生きる営みを眼差す石内都、戦後に日本国籍を失った在日韓国人として日韓のはざまでアイデンティティを問い続ける郭徳俊の作品を紹介してます。
展示風景 石内都
12室 作者が語る
作者の言葉が聞けるアーティスト・トーク。制作にまつわる考えを作者本人から聞くことができるのは、現代の美術ならではの大きな恩恵です。12室では、畑茂久馬、辰野登恵子、堂本右美、中村宏の4作家のトーク映像とともに、作品を紹介しています。
当館では、これまで開催されたアーティスト・トークを、WEBサイトでも公開しています。(こちら)
2階ギャラリー4では、「新収蔵&特別公開|ジェルメーヌ・リシエ《蟻》 インターナショナル編」が展示されています。
フランスの彫刻家ジェルメーヌ・リシエの彫刻 《蟻》 など、リシエの作品を中心に、フランス、イタリア、アメリカほか当館所蔵の海外作家の作品を紹介しています。
ジェルメーヌ・リシエ 《蟻》 1953年
所蔵作品展「MOMATコレクション」&「新収蔵&特別公開|ジェルメーヌ・リシエ《蟻》 インターナショナル編」開催概要
開催会場:東京国立近代美術館所蔵品ギャラリー(4F-2F)
開催期間:8月25日(日)まで
開館時間;10:00–17:00(金曜・土曜は10:00–20:00) 入館は閉館30分前まで
観覧料金:一般 500円 大学生 250円
※5時から割引(金曜・土曜) :一般 300円 大学生 150円
※高校生以下および18歳未満、65歳以上、「MOMATパスポート」をお持ちの方、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料(要証明)
※本展の観覧料で入館当日に限り、コレクションによる小企画 「新収蔵&特別公開|ジェルメーヌ・リシエ《蟻》インターナショナル編」も観覧できます
※企画展「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」観覧の方は、当日に限り上記2つの展覧会が無料で観覧できます
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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