Google
WWW を検索 ほしのつぶやき を検索

第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)2024年03月17日 14時00分17秒

川崎市岡本太郎美術館で、「第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展」が開催されています。

岡本太郎現代芸術賞は、岡本太郎の精神を継承し、自由な視点と発想で現代社会に鋭いメッセージを突きつける作家を顕彰するべく設立されました。作品ジャンル、年齢、国籍は不問で、誰でも応募することが出来ます。
今回は621点の応募があり、創造性あふれる22組の作家が入選を果たしました。
本展では、岡本太郎賞(1点)、岡本敏子賞(1点)、特別賞(10点)など全入選作22作品が展示されています。
第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)

【岡本太郎賞】 つん 《今日も「あなぐまち」で生きていく》
第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)
「あなぐまち」は、作者「つん」が幼少の頃から「生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊が宿っている」という考え方の中で、ずっと共に生きてきた「まち」の名前。段ボールで出来た空想の「まち」に住む住人たちは、作者の心を救い続けているといいます。
積み重ねたボックスの中の本は、取り出して自由に読むことが出来ます。
第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)


【岡本敏子賞】 三角 瞳 《This is a life. This is our life.》
第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)
人の顔を刺しゅうした布が幾重にも並べられています。裏側は遺伝子を表す赤い糸で、人間の存在意義を問うています。
第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)

【特別賞】 小山 久美子 《三月、常陸國にて鮟鱇を食ふ》
岡本太郎現代芸術賞
スマホのパノラマモードで左から右へ180度転回しながら撮影した写真のような、座標が離れた違和感のある画面構成です。
鮟鱇(あんこう)が有名な大洗港で、行軍中の武士団が足を休めて地のものを楽しんでいる図です。
岡本太郎現代芸術賞

【入選】 横岑竜之 《ハッピーモンスター》
第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)
作者自身が生み出したオリジナルキャラクター「ハッピーモンスター」の絵が壁面を埋め尽くし、捨てられた古い物などにもハッピーモンスターを直接書き込んでいます。
見る人を元気にするのがハッピ-モンスターであり、自身のアートであるといいます。
第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)


「第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展」開催概要
開催期間:2024年2月17日(土)~2024年4月14日(日)
休館日:月曜日、3月21日(木)
開館時間:9:30-17:00(入館16:30まで)
観覧料金:一般 700円、 高・大学生・65歳以上 500円、 中学生以下は無料
  ※この料金で常設展も観覧できます



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

鳥山明さんが死去されました2024年03月09日 09時24分24秒

漫画家の鳥山明さんが3月1日に死去されたと、8日に集英社が発表しました。
1980年に『週刊少年ジャンプ』で連載が始まった「Dr.スランプ」での「アラレちゃん」のハチャメチャな天然ぶりには大いに癒されて、『ジャンプ』の発売日を心待ちにしていたものです。
ペンギン村に住んでいる発明家の「則巻千兵衛(のりまきせんべい)」さんが作ったアンドロイドの女の子「則巻アラレ」ちゃんなど、登場人物(?)の設定もとても楽しいものでした。んちゃ
アラレちゃん人気は絶大で、テレビアニメでは『Dr.スランプ アラレちゃん』というタイトルになりました。
1984年末に「Dr.スランプ」の連載終了後、空虚な気持ちになって3ヶ月くらいして「ドラゴンボール」の連載が始まっています。

そういえば、今から約30年前の1993年12月から94年1月にかけて「川崎市市民ミュージアム」で開催された「鳥山明の世界」展の図録(カタログ)があったなぁと本棚を探したら、ありました。
297㎜×297㎜のスクエアサイズで、144ページです。
中には鮮やかなカラー印刷で鳥山明の世界が羽ばたいています。
(C)バード・スタジオ/集英社 (C)「鳥山明の世界」展実行委員会
展覧会はその後1995年8月まで1年8ヶ月程をかけて、北海道から熊本県まで計6ヵ所を巡回しています。

図録の間にチケットの半券が挟まっていました。
週末はこの本を読みながら過ごして、鳥山先生の死を悼むことにしよう・・・・・

ご冥福をお祈りいたします



今日もご覧いただき、ありがとうございました。 ばいちゃ

「中平卓馬 火―氾濫」東京国立近代美術館2024年03月03日 18時43分15秒

「中平卓馬 火―氾濫」展が、東京国立近代美術館で開催されています。
東京国立近代美術館
中平卓馬(なかひら たくま、1938年7月6日 - 2015年9月1日)は、「アレ・ブレ・ボケ」の写真表現や、評論集『なぜ、植物図鑑か』などで知られる写真家、写真評論家です。
「中平卓馬 火―氾濫」東京国立近代美術館
東京生まれで、1963年東京外国語大学スペイン科を卒業。月刊誌『現代の眼』編集部に勤務していましたが、1965年に同誌を離れ写真家、批評家として活動を始めます。1966年には森山大道と共同事務所を開設、1968年に多木浩二、高梨豊、岡田隆彦らと季刊誌『PROVOKE』を創刊しています。
1970年頃までは森山大道とともに「アレ、ブレ、ボケ」の作風で一世を風靡しました。しかし、1973年発表の『なぜ、植物図鑑か』では一転してそれまでの姿勢を自ら批判し、「植物図鑑」というキーワードをかかげて新たな方向性を模索します。
そのさなか、1977年に急性アルコール中毒で倒れ、記憶の一部を失い活動を中断しましたが、療養の後写真家として再起。2010年代始めまで活動を続け、2015年に逝去されました。

会場風景:プロジェクターによる作品投影

本展は、
第1章 来たるべき言葉のために
第2章 風景・都市・サーキュレーション
第3章 植物図鑑・氾濫
第4章 島々・街路
第5章 写真原点
の5つの章で構成され、初期から晩年にいたる約400点の作品・資料から、中平卓馬の写真をめぐる思考と実践の軌跡をたどっています。

中平卓馬ポートレイト 1968年頃 撮影:森山大道  東京国立近代美術館
《中平卓馬ポートレイト》 1968年頃 撮影:森山大道  東京国立近代美術館 蔵

《夜》『デザイン』125号 1969年9月 美術出版社 個人蔵
《夜》『デザイン』125号 1969年9月 美術出版社 個人蔵

ここに展示されているのは、1971年に開催された「第7回パリ青年ビエンナーレ」の出品作です。
「写真によって個人の内面を世界に投影するのではなく、世界の側が個人に与える影響を示す」というコンセプトの基、「一日一日ぼくが触れるすべてを写真に写し、その日のうちに現像し、焼き付け、その日のうちに会場に展示する」という行為全てが作品でした。
中平卓馬 《「サーキュレーション―日付、場所、行為」より》 1971年(2012年にプリント) ゼラチン・シルバー・プリント 東京国立近代美術館蔵

1971年のパリ青年ビエンナーレにおける「サーキュレーション」の再現展示を試みた、2017年シカゴ美術館での「Takuma Nakamura Circulation」の開催に際して制作された作品です。
中平卓馬《「サーキュレーション―日付、場所、行為」より》1971年、ゼラチン・シルバー・プリント、32.0×48.0cm 東京国立近代美術館
中平卓馬 「サーキュレーション ― 日付、場所、行為 【シカゴ美術館での再現展示(2017年)の際のプリント】》 1971年(プリントは2016年) ゼラチン・シルバー・プリント 中平元氏蔵

『なぜ、植物図鑑か』は、自らの初期の写真が厳しく否定されたことに対する、新たな実践のための宣言でした。
「(写真家が主観的にいだく)イメージを捨て、あるがままの世界に向き合うこと、事物(もの)を事物として、また私を私としてこの世界内に正当に位置付けること」こそ目指すべき方向であり、そのための方法として「白日の下の事物(もの)をカラー写真によって捉え、植物図鑑に収めて」いくことが宣言されます。
『なぜ、植物図鑑か 中平卓馬映像論集』(晶文社、1973)
『なぜ、植物図鑑か 中平卓馬映像論集』 晶文社、1973年

《氾濫》は、1974年に東京国立近代美術館で開催された「15人の写真家」展の出品作です。
1971年から翌年にかけて雑誌で発表された作品が、都市をめぐる断片的なイメージを中心に、樹脂ボードに直貼りされたカラー写真48点で構成されています。
中平卓馬《氾濫》1974年、発色現像方式印画、169.5×597.5cm(48点組、各42.0×29.0cm) 東京国立近代美術館
中平卓馬 《氾濫》 1974年 発色現像方式印画 169.5×597.5cm(48点組、各42.0×29.0cm) 東京国立近代美術館蔵

中平卓馬「奄美」より 1975年(2023年にプリント) インクジェットプリント
中平卓馬「奄美」より 1975年(2023年にプリント) インクジェットプリント


中平卓馬《街路あるいはテロルの痕跡【『現代詩手帳』掲載作の原稿プリント】》 1976年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京国立近代美術館蔵
中平卓馬 《街路あるいはテロルの痕跡【『現代詩手帳』掲載作の原稿プリント】》 1976年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京国立近代美術館蔵
中平卓馬《街路あるいはテロルの痕跡【『現代詩手帳』掲載作の原稿プリント】》 1976年 ゼラチン・シルバー・プリント 東京国立近代美術館蔵

中平卓馬存命中最後の重要な個展「キリカエ」(2011年)に展示されたカラーの大判プリント64点が展示されています。
中平卓馬《キリカエ【「キリカエ」展出品作】》2011年 発色現像方式印画 東京国立近代美術館蔵 (株)コム・デ・ギャルソン寄贈
中平卓馬 《キリカエ【「キリカエ」展出品作】》 2011年 発色現像方式印画 東京国立近代美術館蔵 (株)コム・デ・ギャルソン寄贈
中平卓馬《無題 #437》2005年、発色現像方式印画、90.0×60.0cm 東京国立近代美術館
「キリカエ」出品作より 中平卓馬 《無題 #437》 2005年 発色現像方式印画 東京国立近代美術館蔵

中平卓馬 《「日常」展出品作》 1997年 銀色素漂白方式印画 中平元氏蔵
中平卓馬 《「日常」展出品作》より 1997年 銀色素漂白方式印画 中平元氏蔵

本展のチラシは、4つ折りを開くとA4・4枚分より少し小さいくらいの横長サイズになります。
開くと全面に《氾濫》48点が印刷されています。

公式カタログは3月末迄には刊行しますと言われました。
A4変形 448ページで3,500円です。
郵送されてくるのを待つしかないので、なんとなく家の本棚を漁ったら、『まずたしからしさの世界をすてろー写真と言語の思想ー』(天野道映/岡田隆彦/高梨豊/多木浩二/中平卓馬/森山大道 共著 1970年)と、『なぜ植物図鑑か 中平卓馬映像論集』(1973年)が出てきました。
これでも読み直しながら待っていることにしましょう・・・


中平卓馬 火―氾濫」開催概要
開催会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
開催期間:2024年2月6日(火)~ 4月7日(日)
休館日:月曜日
開室時間:10:00-17:00 (金曜・土曜は10:00-20:00)  入館は閉館30分前まで
観覧料金:一般 1,500円   大学生 1,000円
  ※高校生以下および18歳未満、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。(要証明)
  ※本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)、コレクションによる小企画「新収蔵&特別公開|ジェルメーヌ・リシエ《蟻》」(2F ギャラリー4)も観覧できます。
  ※料金詳細は展覧会公式チケットサイトへ(こちら
  ※当日窓口販売もあります



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

麗子 110歳2024年02月28日 09時53分37秒

岸田 劉生(きしだ りゅうせい、1891年〈明治24年〉6月23日 - 1929年〈昭和4年〉12月20日)は、東京・銀座生まれの洋画家です。

東京国立近代美術館は岸田劉生の作品を数多く所蔵しています。中でも国重要文化財に指定されている《道路と土手と堀(切通之写生)》は有名です。
この作品は、異なる遠近法で描かれた石堀、土の道、造成地が異様な遠近感を観る者に与え、道がまくれあがって迫ってくるような錯覚を起こします。
右から伸びてくる電柱の影も遠近法の攪乱を起こしています。
岸田劉生《道路と土手と堀(切通之写生)1915年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵
岸田劉生《道路と土手と堀(切通之写生)》 1915年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵 国重要文化財

岸田劉生で一般的に広く知られているのは《麗子像》ではないでしょうか。
1914年に生まれた愛娘「麗子」の肖像を、麗子4歳の頃から描き始め、油絵や素描など約70点の作品を遺しているといわれます。
その岸田麗子(きしだ れいこ、1914年(大正3年)4月10日 - 1962年(昭和37年)7月26日)が今年、生誕110年を迎えます。
それを記念して東京国立近代美術館では、所蔵作品の中から岸田麗子に関する絵画や写真、日記、資料など45点を展示して「麗子像」を追っています。

岸田劉生の自画像です。作品の右上に「APR・9th.1914.」と書かれています。麗子が生まれる前日の日付で、岸田劉生22歳の作品です。
岸田劉生《自画像》1914年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵
岸田劉生 《自画像》 1914年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵

愛娘、「麗子」を描く有名なシリーズの最初の1点です。当時は「かぞえ」で年齢を表していました。
アーチ状の額が描かれ、「『額に入った麗子の絵』を描いた絵」という、だまし絵のようになっています。それほど大切に想っていたんでしょうね。
岸田劉生《麗子肖像(麗子五歳之像)》1918年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵
岸田劉生 《麗子肖像(麗子五歳之像)》 1918年 油彩・カンヴァス 東京国立近代美術館蔵

紙に水彩で描かれていますが、まるで油絵のような立体感があります。
岸田劉生《麗子六歳之像》1919年 水彩・紙 東京国立近代美術館蔵
岸田劉生《麗子六歳之像》1919年 水彩・紙 東京国立近代美術館蔵

展示風景

麗子満1歳の記念写真です。(1915年) 写真館で撮影してもらったもののようです。
麗子満1歳の記念写真 1915年

上:家族アルバム(1929年以降)と、下:岸田麗子アルバム(1914年以降)も展示されています。

岸田劉生から妻・蓁(しげる)への葉書です。(1919年)
岸田劉生から妻・蓁(しげる)への手紙
麗子(満5歳の頃)の顔が描かれていて、深い愛情を感じます。

劉生は麗子が2歳の時から絵の手ほどきを始めました。ただ技法を教えるのではなく、対話を通じて麗子の心に「美」を認識させることを重んじたといいます。
展示風景  麗子の描いた絵が展示されています。

岸田劉生は1925年に「図画教育論」を出版しました。そこには麗子が子供の頃に描いた44点を載せ、劉生が解説を書いています。
この作品に関しては、「この絵は中々美くしい。右端に立ってゐるお姫様の顔の如きは決して偶然に出た美しさとのみは云えない。又 髪飾りのビラビラした前ざしなどにもとも角も描写の片影があり それが顔の美しさと相助けてゐる。」と書かれています。
岸田麗子《お姫様》1919年 墨・紙 東京国立近代美術館蔵
岸田麗子《お姫様》1919年 墨・紙 東京国立近代美術館蔵

こちらには「・・・・・色も形も衣装もともに美くしい。」と評しています。愛情あふれる作品解説というより、親ばかみたいですね。
岸田麗子《下町娘》1923年 色鉛筆・紙 東京国立近代美術館蔵
岸田麗子《下町娘》1923年 色鉛筆・紙 東京国立近代美術館蔵

鎌倉女学院在学中に15歳で父を喪った麗子は、画家としての活動を始めましたが、1962年(昭和37年)7月に蜘蛛膜下出血で急逝しました。享年48歳で、墓所は多くの著名人が埋蔵され父劉生も眠る「多磨霊園」です。


「東京国立近代美術館所蔵作品展 MOMATコレクション」開催概要
開催会場:東京国立近代美術館本館所蔵品ギャラリー(4F-2F)
  ※岸田劉生、麗子に関する展示「麗子、生誕110年」は「第3室」
開催期間:2024年1月23日(火)~4月7日(日)
休館日:月曜日(ただし3月25日は開館)
開館時間:10:00–17:00(金曜・土曜は10:00–20:00) 入館は閉館30分前まで
入室料金:一般 500円  大学生 250円
  ※5時から割引(金曜・土曜) :一般 300円 大学生 150円
  ※高校生以下および18歳未満、65歳以上、「MOMATパスポート」をお持ちの方、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。(要証明書類)
  ※企画展観覧者は当日に限り企画展のチケットで鑑賞できます。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

和田礼治郎《FORBIDDEN FRUIT》国立新美術館2024年02月25日 14時44分44秒

国立新美術館では、美術館のパブリックスペースを使った小企画シリーズ「NACT View」を、2022年から開催しています。
第4回となる今回は、和田礼治郎(わだれいじろう)の《FORBIDDEN FRUIT》という作品です。
和田礼治郎は1977年広島県生まれで現在はベルリンで活動する彫刻家です。
物理的な現象や力学による独自の手法を通じて、宇宙、生命、時間などの形而上学的な主題に取り組んでいます。

和田礼治郎《FORBIDDEN FRUIT》国立新美術館
建築家の黒川紀章が設計した美術館のエントランス前パブリックスペースには円形の庭があり、そこにはザクロやイチジク、レモンの果樹が生えています。中央には美術館の壁面に溶け込むような強化ガラスの構造体が放射状に配置され、ガラスのあいだにはリンゴ、ブドウ、パイナップルなど、様々な生の果実が挟まり空中で静止しています。
和田礼治郎《FORBIDDEN FRUIT》国立新美術館

和田礼治郎《FORBIDDEN FRUIT》国立新美術館
これらの瑞々しい果実は時間が経つにつれ徐々に萎んでいき、最終的にはガラスの間から滑り落ちてしまい、地面で朽ち果てていきます。
和田礼治郎《FORBIDDEN FRUIT》国立新美術館
和田は、「生命が突然世界のなかに投げ入れられて存在し、突然落下する。生命が明滅する瞬間を果実に置き換えている」といいます。
和田礼治郎《FORBIDDEN FRUIT》国立新美術館
本作は、建築と庭園の要素を統合しつつ、生命と時間という根源的なテーマを風景として結晶化させています。
《FORBIDDEN FRUIT》は日本語で「禁断の果実」。旧約聖書の『創世記』の中でアダムとイブの話で知られる、「善悪の知識の木」を思い出します。



最後までご覧いただき、ありがとうございます。

ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ×マティス展2024年02月24日 20時20分31秒

国立新美術館の中、逆円錐型の上部に広がる円形のレストラン「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)」で、「マティス 自由なフォルム」展とのコラボメニューを提供しています。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)
黒川紀章設計による国立新美術館の建物3階にあり、中空に浮かぶように輪を描く「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」は、フランスのポール・ボキューズの正統派フランス料理を気軽なスタイルで楽しめるブラッスリーです。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)
座席は全て逆円錐形の外周にあり、全面ガラス張りの窓から六本木のビル群を望むことが出来ます。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)
案内された席からは、ちょうど六本木ヒルズ森タワーが見えました。雨にけぶっています。

料理は、「前菜」、「魚料理」、「肉料理」、「デザート」のコースになります。国立新美術館で開催されている「マティス 自由なフォルム」展に展示されているアンリ・マティスの絵画の中から、4点をオマージュした料理になっています。

フランスパンのバゲットをカットしたものと、リエットです。リエットはほのかなカレー風味で、これだけでも全部食べられるほど美味しいです。パンはなくなりそうになると、「パンをお持ちしますか?」と聞いてくれます。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)


前菜は、「鴨フォアグラのポワレと玉ねぎのロースト ポルト酒のソースとビーツのピューレ」です。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)
コクのあるポルト酒(ポートワイン)のソースが、玉ねぎの甘味にマッチして絶妙な風味を醸し出します。
鴨のフォアグラは口の中でトロ~と とろけて無くなってしまいます。舌を包み込んでくれるような優しい味です。
背景の赤茶色と肘掛けの緑色、椅子の黄色が印象的な作品、《ロカイユ様式の肘掛け椅子》をイメージしたものです。
アンリ・マティス 《ロカイユ様式の肘掛け椅子》 1946年 油彩/カンヴァス


魚料理は、「真鱈と帆立貝のポワレとホワイトアスパラガス ブールブランソース」です。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)
真鱈のポワレにブールブランソースの上品な味がよく合います。ブールブランソースは白ワインとバターを使ったソースで、ホワイトアスパラの味も引き立てます。ベーコンの下にホタテ貝が隠れていました。トマトも湯煎をしたようになっていて、酸味のある甘さがとても美味しい。
これは、《森の中のニンフ(木々の緑)》をイメージした料理です。
アンリ・マティス 《森の中のニンフ(木々の緑)》 1935-1943年 油彩/カンヴァス


肉料理は「牛頬肉の赤ワイン煮込み ニース風 マカロニグラタンとポーチドエッグ添え」です。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)
ポーチドエッグにナイフで切れ目を入れると、黄身が中からあふれ出してきました。えっ、どうしてこんなに黄身が多くて白身が薄いの? 赤ワインで煮込んだ牛頬肉に、その黄身を付けていただきます。ほのかにオリーブの香りがします。
牛肉の赤ワイン煮込み(ブッフ・ブルギニヨン)は、フランスのブルゴーニュ地方やニースの郷土料理です。上の写真では暗くてよく分からないのでアップにしてみました。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)
《本のある静物》をイメージした料理で、牛肉を茶色い本に見立てています。全体的になんとなく似ていますね。
アンリ・マティス 《本のある静物》 1890年 油彩/カンヴァス

デザートは「昔ながらのゴーフルと色々な果実 /バタフライピーのクリームとフランボワーズのクーリー」です。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)
ゴーフルというと風月堂のゴーフルを想像しますが、フランス語のゴーフル(Gaufre)を英語で言うとワッフル(Waffle)です。日本風ゴーフルではありません。上にフランボワーズをはじめ色々な果実が載っています。めちゃくちゃ美味しい❣ この味のバランスはどうやって創り出すんでしょうか・・・フランス料理にしては甘さ控えめで、すごく上品な味です。
紫色のものはバタフライピーのクリーム、赤いソースはフランボワーズのクーリーです。クーリーは、フランス料理でよく用いられるどろっとしたソースを言います。
この料理は、切り紙絵の大作《花と果実》をイメージしています。
アンリ・マティス 《花と果実》 1952-1953年 切り紙絵

ポール・ボキューズのロゴが入った、かわいいデミタスカップです。
ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)
反対側は「BRASSERIE PAUL BOCUSE」の文字と、Paul Bocuse のサインが入っています。

デザートを食べた後のプレートが、絵具を塗りたくったようになっていました。これも芸術です。

全ての料理のソースの味が料理にぴったり合っていて、美味しかったです。 食材も上質の物を使っています。 絵画とのコラボも楽しませてもらいました。
この味で税込8,800円はとても安いと思います。 ごちそうさまでした。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

「マティス 自由なフォルム」国立新美術館2024年02月23日 13時02分41秒

「マティス 自由なフォルム」展が、六本木の国立新美術館で開催されています。
マティス 自由なフォルム
本展は、アンリ・マティス(1869~1954年)が長い芸術家人生で最後に到達した記念碑的な表現、「切り紙絵」に焦点を当てた展覧会で、フランスのニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵だけでなく絵画、彫刻、版画、テキスタイル等の作品や資料、約160点を紹介しています。

Section1:色彩の道
Section2:アトリエ
Section3:舞台装置から大型装飾へ
Section4:自由なフォルム
Section5:ヴァンスのロザリオ礼拝堂
の5つのセクションで構成されています。

マティスがその60年以上におよぶ創造の歩みにおいて、熟慮と試行を重ねた末に到達したのは、アシスタントに色を塗ってもらった紙をハサミで切り抜き、それらを組み合わせて活き活きとした構図に仕立てあげる切り紙絵でした。
本展の目玉である、切り紙絵《花と果実》は、マティスの切り紙絵の作品の中でも巨大な部類に入り、5枚のカンヴァスが繋がって構成されています。ニース市マティス美術館のメインホールで来場者を迎える切り紙絵の大作です。
アンリ・マティス《花と果実》
壁面の一面を覆う広大な画面はタペストリーのようで、鮮やかな色彩によって装飾的豊かさが加わっています。
アンリ・マティス《花と果実》
アンリ・マティス 《花と果実》 1952-1953年 切り紙絵 410×870 cm ニース市マティス美術館蔵

こちらも目玉のひとつ、オルセー美術館所蔵の《ブルー・ヌード IV 》です。
彩色された紙を切り貼りする切り紙絵の技法は、厳密な色面の構成を可能とし、印刷物やテキスタイルなどの表現媒体にも適応します。
アンリ・マティス《ブルー・ヌード IV 》1952年 切り紙絵 103×74cm オルセー美術館蔵
アンリ・マティス 《ブルー・ヌード IV 》 1952年 切り紙絵 103×74cm オルセー美術館蔵

アンリ・マティス《蜜蜂》1948年
アンリ・マティス 《蜜蜂》 1948年 グワッシュで彩色、裁断、張り合わせた紙/厚紙に糊付け(カンヴァスで裏打ち) ニース市マティス美術館蔵

1948年から1951年にかけての4年間、マティスはヴァンスにあるドミニコ会の修道女のためのロザリオ礼拝堂の建設に専心します。マティスはこの礼拝堂の室内装飾から典礼用の調度品、そして典礼のさまざまな時期に対応する祭服に至るまで、デザインのほとんどを指揮し、総合芸術作品として練り上げました。
マティス芸術の集大成とも言えるこの礼拝堂を体感できる空間が、展示室内に再現されています。

展示風景

アンリ・マティス《ステンドグラス、「生命の木」のための習作》1950年 ステンドグラス
アンリ・マティス 《ステンドグラス、「生命の木」のための習作》 1950年 ステンドグラス 78.5×91.2×2cm(左)、62.3 × 91.5 × 2 cm(右) ニース市マティス美術館蔵

アンリ・マティス《祭壇のキリスト磔刑像》1949年
アンリ・マティス 《祭壇のキリスト磔刑像》 1949年 鋳造:ヴァルスアーニ 1965年 ブロンズ ニース市マティス美術館蔵
アンリ・マティス 《聖ドミニクス》 1949年 筆と墨/紙 300×134.5 cm ニース市マティス美術館蔵

ステンドグラスの窓から透過する光は、壁面や床面に、豊かな色彩が反映されるように設計されています。



今から70年以上前の1951年3月、現在の東京国立博物館(上野)で、日本で初めてのマティス展が開催されました。東京、大阪(大阪市立美術館)、岡山(大原美術館)を巡回し、戦争を経て長く西洋文化との交流が無かった時代に、熱狂的に迎え入れられました。本展では当時の様子も資料などで紹介しています。

展覧会の主催者の一つであった読売新聞社に、マティスは3点の《顔》を寄贈しました。
展示風景 《顔》

「別冊 文芸春秋」誌では、4回にわたり表紙と裏表紙にマティスの切り紙絵が掲載されています。

本展の図録はB5変形、本文336ページ、ハードカバー上製本で、全出品作品161点のオールカラー画像に加え専門家による論文・解説を日本語とフランス語で収録しています。私はフランス語は読めませんが・・・
税込3,300円です。最近公式図録も値段が高くなりました。


開催会場:国立新美術館 企画展示室 2E (東京都港区六本木7-22-2)
開催期間:2024年2月14日(水)~5月27日(月)
休館日:毎週火曜日 ※ただし4月30日(火)は開館
開館時間:10:00 ~ 18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
観覧料金:一般:2200円/大学生:1400円/高校生:1000円
  ※中学生以下は入場無料
  ※ 障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料 
  ※2024年4月3日(水)~8日(月)は高校生無料観覧日(要学生証提示)

2023年4月には、上野の東京都美術館で「マティス展 Henri Matisse: The Path to Color」が開催されました。ブログはこちら



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

川合玉堂の《昭和度 悠紀地方風俗歌屏風》皇居三の丸尚蔵館2024年02月10日 10時39分38秒

皇居三の丸尚蔵館で開催されている「皇室のみやびー受け継ぐ美ー」の第2期「近代皇室を彩る技と美」で、展示替えが行われました。

私の推しである川合玉堂の作品は2点が替えられました。

「悠紀屏風(ゆきびょうぶ)」は、新しい天皇が即位した際に行う儀式で用いられる屏風のことです。
「悠紀」とは「清浄なる地」を意味し、占いによって選ばれます。儀式ではこの悠紀地方から収穫された穀物が用いられます。
悠紀屏風には悠紀地方の名所を詠んだ和歌と、その土地の様子が絵画として表されます。昭和度の悠紀地方には滋賀県が選ばれました。
昭和度は川合玉堂が描いています。
川合玉堂《昭和度 悠紀地方風俗歌屏風》
川合玉堂 《昭和度 悠紀地方風俗歌屏風》 昭和3年(1928年) 6曲1双 紙本着色

他の展示物があって画面に収まりきらないので、左隻と右隻に分けて撮ってみました。
川合玉堂《昭和度 悠紀地方風俗歌屏風》(左隻)
川合玉堂《昭和度 悠紀地方風俗歌屏風》(右隻)

美しい風景と人々の生活を描くのが得意な川合玉堂らしい、生活感があふれた滋賀の絶景が広がります。
川合玉堂 《昭和度 悠紀地方風俗歌屏風》 (部分)

春夏秋冬の季節に分けて名所が描かれ、歌が詠まれています。冬は琵琶湖西岸に連なる比良山地です。
声さむき雁のゆくへに初雪の光つらなる比良の遠山

川合玉堂の作品で、巻物も展示替えがされています。
香淳皇后(昭和天皇の皇后)は、川合玉堂から絵画の指導を受けていました。玉堂が愛した御岳渓谷にある「玉堂美術館」の設立にも、香淳皇后の支援があったといいます。
玉堂は絵画だけではなく和歌にもすぐれた作品を遺しています。これらの作品は、香淳皇后が玉堂との交流の記念に大切にしていたものだといいます。
「昭和廿三年四月四日青梅の植樹祭に行幸啓檜苗を御手植遊はさる ゝを拝して」とあります。
川合玉堂《植樹祭》昭和23年(1948年)部分
川合玉堂 《植樹祭》 昭和23年(1948年) 部分
川合玉堂《植樹祭》昭和23年(1948年)部分
御途次に於てはからすも皇后陛下より御言葉をたまはりて
草の中の ぼけに 玉歩を とめたまひ 春の ひかり か ゝやき 老の目に なみた

川合玉堂の作品を含めて、計11点の作品が展示替えされています。

明治天皇と昭憲皇太后の銀婚を祝して献上されたものです。おめでたいモチーフを組み合わせており、慶事を彩るものとなっています。
荒木寛畝、野口小蘋《旭日双鶴松竹梅図》明治27年(1894)
荒木寛畝、野口小蘋 《旭日双鶴松竹梅図》 明治27年(1894年) 絹本着色

ガチョウの卵の殻で作られた盃です。
ガチョウの卵で作った盃
《鵞鳥卵蒔絵盃(がちょうのたまご まきえさかずき)》 明治時代(20世紀)  鵞鳥卵殻、蒔絵

加茂競馬とは、寛治7年(1093年)、天下泰平と五穀豊穣を祈って宮中で行われていた競馬会を神社に移したことに始まる神事です。現在も京都の上賀茂神社に引き継がれています。
この作品は、皇太子裕仁親王(後の昭和天皇)の御成婚を祝って三井家総代より献上されたものです。
山崎朝雲《加茂競馬置物》大正13年(1924年)
山崎朝雲 《加茂競馬置物》 大正13年(1924年) 銀、鋳造


「皇居三の丸尚蔵館 開館記念展 皇室のみやび―受け継ぐ美―」 開催概要 
開催会場:皇居三の丸尚蔵館 
開催期間:令和5年(2023)11月3日(金・祝)〜令和6年(2024)6月23日(日) 
 ●第1期:「三の丸尚蔵館の国宝」 令和5年(2023)11月3日(金・祝)〜12月24日(日) (終了しました)
 ●第2期:「近代皇室を彩る技と美」 令和6年(2024)1月4日(木)〜3月3日(日) (開催中)
 ●第3期:「近世の御所を飾った品々」 令和6年(2024)3月12日(火)〜5月12日(日)
 ●第4期:「三の丸尚蔵館の名品」 令和6年(2024)5月21日(火)〜6月23日(日) 
   ※各期で会期中、一部展示替えあり 休館日:月曜日(ただし月曜が祝日または休日の場合は開館し、翌平日休館) 、天皇誕生日および展示替え期間 
開館時間:午前9時30分〜午後5時 (入館は午後4時30分まで) 
入館料金:一般1,000円、大学生500円 
  ※高校生以下及び満18 歳未満、満70 歳以上の方は無料。入館の際に年齢のわかるものをご提示ください。
  ※障がい者手帳をお持ちの方とその介護者各1 名は無料。 
  ※事前に日時指定予約が必要です。
  ※無料入館対象の方、割引入館対象の方も予約が必要です。 ただし、障がい者手帳等をお持ちのご本人および介護者各1 名の予約は不要です。
  ※その他セット券などあります。詳細は公式チケットサイトへ。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展2024年02月04日 15時42分47秒

上野の東京都美術館で、「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展が開催されています。
東京都美術館「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展

2月6日(火)までの平日入場者には、チャイルド・ハッサム《花摘み、フランス式庭園》の絵柄のクリアファイルが、各日先着100名に配布されます。
A4サイズが入る持ち手付きの袋で、切り取るとクリアファイルになります。
2月7日(水)から22日(木)までの平日入場者は、5.7cm×5.7cmの展覧会オリジナルステッカーが貰えます。(各日先着100名)


19世紀後半、大都市パリには国外からも多くの画家が集いました。パリで印象派に触れ、学んだ画家たちは、新しい絵画の表現手法を自国へ持ち帰ります。
本展は、西洋美術の伝統を覆した印象派の革新性とその広がり、とりわけアメリカ各地で展開した印象派の諸相に焦点をあてた展覧会になっています。
東京都美術館「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展

アメリカ・ボストン近郊に位置するウスター美術館は、1898年の開館当初から印象派の作品を積極的に収集してきました。
本展では、ウスター美術館の印象派コレクションを中心に、モネやルノワールなどのフランス印象派やアメリカ印象派を代表するハッサムなどの油彩画約70点を展示します。クールベ、コロー、シスレー、ピサロ、カサット、サージェント、ホーマー、セザンヌ、シニャックら40人以上の画家の作品が集結しています。

連作であるモネの《睡蓮》は世界中の美術館で愛されていますが、ウスター美術館は1910年にモネの《睡蓮》を美術館として世界で初めて購入しました。
本展では、ウスター美術館が《睡蓮》を購入するにあたっての交渉・手続きの際の、手紙などの資料も展示されています。
クロード・モネ 《睡蓮》 1908年 油彩、カンヴァス 94.8×89.9 cm ウスター美術館蔵

展覧会は、
Chapter 1 伝統への挑戦
Chapter 2 パリと印象派の画家たち
Chapter 3 国際的な広がり
Chapter 4 アメリカの印象派
Chapter 5 まだ見ぬ景色を求めて
の5つの章で構成され、フランスの印象派だけではなく、これまで日本で紹介される機会の少なかった、知られざるアメリカ印象派の魅力に触れることが出来ます。

1880年代半ばには、アメリカの画家や収集家の間でフランスの印象派が流行し始めていました。
アメリカの画家たちは、自国の風景や生活の描写に印象派の明るく自由な色彩を取り入れ、アメリカらしい主題をうまく表現する方法を学びました。彼らは、印象派の技法に手を加えながら独自の絵画を創り上げていったのです。
ジョゼフ・H・グリーンウッド 《リンゴ園》 1903年 油彩、カンヴァス 50.8×76.2 cm ウスター美術館蔵

章の間などに、フォトスポットがたくさん用意されていて、絵画(ポスターやタペストリー)と一緒に記念撮影をすることが出来ます。
東京都美術館「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展

東京都美術館「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展

東京都美術館「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展

東京都美術館「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展

著名なフランス印象派の画家たちの作品から、日本ではあまり知られていないアメリカ印象派の世界まで、そのつながりを知ることが出来る貴重な展覧会になっています。

図録の表紙は、クロード・モネ《睡蓮》と、チャイルド・ハッサム《花摘み、フランス式庭園にて》の2種類から選べます。
サイズはA4変形(横およそ23cm×縦およそ20cm)262ページで、見やすい横長サイズになっています。税込3,000円です。


ウスター美術館と聞くと、ウスターソースを連想してしまいますが、グッズの中に、やっぱりありました。
「ウスター展ソース」です。
ウスター展ソース
ウスターソースはイギリスのウスター市が発祥の地です。そのウスター市と姉妹都市であるアメリカのウスター市にウスター美術館があります。
そんな、こじつけのようなダジャレコラボ商品がこちらです。マークは◎に「象(ゾウ)」ではないです。印象派の「象(ショウ)」です。税込972円で売っていました。
ウスター展ソース

三つ折りケースも買ってきました。チケットケースやマスクケースとして使えます。
以前は人にチケットを渡すときなどに使っていましたが、今はQRコードの電子チケットをスマホ上で分配出来ちゃうので、使わなくなりました。税込550円です。

開催会場:東京都美術館
開催期間:2024年1月27日(土)~ 4月7日(日)
休館日:月曜日、2月13日(火) ※ただし2月12日(月・休)、3月11日(月)、3月25日(月)は開室
開室時間:9:30-17:30 金曜日は20:00まで (入室は閉室の30分前まで)
観覧料金:一般 2,200円  大学生・専門学校生 1,300円  65歳以上 1,500円
  ※高校生以下無料。 日時指定予約は不要。
  ※18歳以下(2005年4月2日以降生まれ)の方は、3月1日(金)~4月7日(日)に限り無料。
  ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料。日時指定予約は不要。
  ※一般以外は、いずれも証明できるものを提示。

本展は、以下の通り巡回します。
2024年4月20日(土)~ 6月23日(日):郡山市立美術館(福島県郡山市)
2024年7月6日(土)~ 9月29日(日) : 東京富士美術館(東京都八王子市)
2024年10月12日(土)~ 2025年1月5日(日): あべのハルカス美術館(大阪府大阪市)



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

東京藝術大学 卒業・終了作品展2024年02月01日 16時32分00秒

東京都美術館へ行ったら、「東京藝術大学 卒業・終了作品展(美術学部/大学院美術研究科 修士課程)」という展覧会をやっていました。
東京都美術館だけではなく大学構内各棟でも開催されているようです。
東京藝術大学 / 先端芸術表現科 卒業・終了作品展

東京藝術大学は東京都美術館のすぐ傍にあるのですが、東京都美術館の展示分だけ、ざっくりと観てきました。美術学部の展示になります。
東京藝術大学 / 先端芸術表現科 卒業・終了作品展

東京藝術大学 / 先端芸術表現科 卒業・終了作品展

東京藝術大学 / 先端芸術表現科 卒業・終了作品展

東京藝術大学 / 先端芸術表現科 卒業・終了作品展

東京藝術大学 / 先端芸術表現科 卒業・終了作品展

東京藝術大学 / 先端芸術表現科 卒業・終了作品展

東京藝術大学 / 先端芸術表現科 卒業・終了作品展

東京藝術大学 / 先端芸術表現科 卒業・終了作品展

東京藝術大学 / 先端芸術表現科 卒業・終了作品展

東京藝術大学 / 先端芸術表現科 卒業・終了作品展

この他にも力作がたくさん展示されています。
楽しいですね。 若い人たちのエネルギー溢れる作品群を観るのは、元気が貰えます。

第72回東京藝術大学 卒業・終了作品展(美術学部/大学院美術研究科 修士課程)」開催概要
開催会場:東京都美術館・東京藝術大学大学美術館・大学構内総合工房棟/絵画棟/中央棟
開催期間:1月28日(日)~2月2日(金)
開催時間:9:30~17:30
観覧料金:無料



今日もご覧いただき、ありがとうございました。
Copyright © 2005-2024 M-Hoshino All Rights Reserved.