仮囲いの現代アート「KYOBASHI ART WALL」 ― 2022年05月22日 10時58分13秒
東京都中央区京橋1丁目に建設中の地下3階・地上28階のビル「TODA BUILDING(仮称)」。
ビルの低層部にはミュージアムやホール、ギャラリー、ショップ等の芸術文化を支える様々な施設を構える予定だといいます。
その工事中の仮囲い壁面で展開するのは、戸田建設が昨年11月に始めた新進アーティストの活動支援プロジェクト「KYOBASHI ART WALL -ここから未来をはじめよう」です。
新進アーティストの作品を公募し、優秀作家には賞金のほか、TODAビル建設中の仮囲いでの受賞作品ビジュアルの掲出に加え、京橋エリアでの個展開催の機会を提供、そして2024年11月以降にはTODAビルでの歴代の入選作家の展示を行います。
招待作家 瀬戸優 《水源 - ウサギ - 》 2021年 テラコッタ、彩色、玉眼 H30×W16×D40cm
(作品を写真撮影し、大判シートに印刷して仮囲いに貼り付け)
招待作家 yutaokuda(奥田雄太) 《Abstract Bouquet (Cobalt Blue×Red) 》 2021年 キャンパスにアクリル、顔料インク H91×W91cm
(原画を写真撮影し、大判シートに印刷して仮囲いに貼り付け)
第1回優秀作品 Kokeshisky(コケシスキー) 《 Hole 》 キャンパスにアクリル H65.2×W65.2cm
(原画を写真撮影し、大判シートに印刷して仮囲いに貼り付け)
第1回優秀作品、奨励作品発表についてはこちら。
「KYOBASHI ART WALL」では、5月16日から7月28日までの間、第2回作品募集を行っています。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
「ボテロ展 ふくよかな魔法」 Bunkamuraザ・ミュージアム ― 2022年05月18日 17時20分00秒
南米コロンビア出身の美術家、フェルナンド・ボテロ(1932~)の、日本では26年ぶりとなる大規模な絵画展「ボテロ展 ふくよかな魔法」が、渋谷の Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されています。
東急百貨店本店のショーウインドウにコラボグッズなどが展示してありました。
会場入り口のフォトスポットです。
展覧会チラシの表と裏、《コロンビアの聖母》1992年と、《モナ・リザの横顔》2020年です。
ボテロに注目が集まったのは1963年、ニューヨークのメトロポリタン美術館でレオナルド・ ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》が展覧されたとき、ニューヨーク近代美術館のエントランス・ホールにボテロの《12歳のモナ・リザ》(※本展には出展されていません)が展示されたことに始まります。
ボテロ作品を特徴づけているのは、あらゆるかたちがふくらんでいるということです。
下はボテロが17歳の頃の作品です。女性の体はクローズアップされて紙のほぼ全体を占め、《泣く女》を描いていながら、初期作品から「ふくよかな」描写の片鱗を見せています。
フェルナンド・ボテロ 《泣く女》 1949年 水彩/紙 56×43cm
もともと洋梨はふっくらとしていますが、さらにぽっちゃりと美味しそうになりました。右上の少しかじったような跡と、左の方で顔を出している虫が、甘くて美味しい感を増幅しています。
虫のいる右の方にも小さな穴が見えます。「ここから入って食べながら中を通って出てきたんじゃないかな?」と、想像も「ふくらみ」ます。
フェルナンド・ボテロ 《洋梨》 1976年 油彩/カンヴァス 241×196cm
ボテロが描くと楽器もぽっちゃりとなります。ギターの非常に小さなサウンドホールが楽器をさらにふくよかに見せます。
フェルナンド・ボテロ 《楽器》 1998年 油彩/カンヴァス 133×172cm
高さが約2メートルもある花の絵を黄、青、赤と3色描いています。
フェルナンド・ボテロ 《黄色の花》《青の花》《赤の花》 (3点組) 2006年 油彩/カンヴァス 各199×161 cm
展示風景
キリストの磔刑を描いています。手足には釘が打たれ血を流しながらも、ふくよかなキリストが緊迫感を消し去り、なぜか安心感さえをも与えます。
フェルナンド・ボテロ 《キリスト》 2000年 油彩/カンヴァス 255×192cm
よく見ると大量の涙を流しているコロンビアの聖母。幼子イエスは現代的な服装で、手にはごく小さなコロンビアの国旗を持っています。
当時のコロンビアの政治的、社会的状況を表したものだと思いますが、すべてがふっくらと描かれているので、逆に温かみを感じるのです。
フェルナンド・ボテロ 《コロンビアの聖母》 1992年 油彩/カンヴァス 230×192cm
展示風景
片足を上げてレッスンをするバレリーナ。これだけの体を片足のつま先だけで支えるのは至難の業です。
フェルナンド・ボテロ《バーレッスン中のバレリーナ》 2001年 油彩/カンヴァス 164×116cm
展示風景
ボテロはサーカスの絵も多く描いています。
太った象が台の上で芸をしています。猛獣使いが象に比べて極端に小さいのに、このぽっちゃりとした像には威圧感が無く、ユーモラスな感じさえ与えます。
フェルナンド・ボテロ 《象》 2007年 油彩/カンヴァス 112×84cm
展示風景
ボテロは、美術史における主要な芸術家たちへ造形的なオマージュを数多く捧げてきました。
過去の巨匠たちの名作を基にした一連の作品では、ボテロ独自の様式により他の芸術家たちの作品を全く異なるものへと変容させています。
フェルナンド・ボテロ 《モナ・リザの横顔》 2020年 油彩/カンヴァス 136×100cm
展示風景
人物も動物も、楽器や日用品さえもが膨らんでいるボテロの作品群。 そこからは、官能、ユーモア、アイロニー(皮肉)などのニュアンスが複雑に絡み合い、独特の世界を作り上げています。
皮肉を込めた作品からも、ほっこりとした温かさが感じられ、心癒される作品群を堪能することができました。
会場の外、Bunkamura B1F テラスには雨の中、圧倒的な存在感を持つ鳥が舞い降りていました。
こんなに筋肉質で大きいのに、タイトルは《小さな鳥》です。
フェルナンド・ボテロ 《小さな鳥》 1988年 ブロンズ 広島市現代美術館蔵
公式図録(カタログ)も表紙が分厚く角を丸くし、中身も充実した「ふくよかな」一冊です。
「ボテロ展 ふくよかな魔法」開催概要
開催会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
開催期間:2022/4/29(金・祝)~7/3(日)
休館日:5/17(火)のみ
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
※毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで) (状況により変更あり)
観覧料金:一般1,800円、大高1,100円、中小800円
会期中すべての土日祝は事前に【オンラインによる入館日時予約】が必要となります。
詳細は公式サイトでご確認ください。
本展終了後、名古屋と京都へ巡回します。
名古屋 2022年7月16日(土)~9月25日(日) 名古屋市美術館(予定)
京都 2022年10月8日(土)~12月11日(日) 京都市京セラ美術館
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
岡本太郎記念館の庭 ― 2022年05月13日 14時58分05秒
1998年5月、岡本太郎が戦後42年にわたって住まい、作品をつくりつづけた南青山のアトリエが「岡本太郎記念館」として公開されました。
館内では定期的に企画展が開催され、企画に沿った作品が展示されますが、庭に常設展示してある彫刻作品は植物に埋もれて、常に自然の中に溶け込んでいます。
「芸術は太陽と同じだ。太陽は熱も光も、無限に与える。日なたぼっこしても、“おい、あったかかったろう。じゃ、いくら寄越せ”なんて、手を差し出したりしないだろ?」
芸術とは太陽のようなもの。岡本太郎はそう考えていました。根底にあったのは「芸術は民衆のもの」という信念です。
《若い太陽》 1980年代後半
「芸術は一握りのスノッブや金持ちのものじゃない。さまざまな矛盾や困難と闘いながら毎日を生きる平凡な民衆のものであり、そうしたなんでもない暮らしの中でこそ生かされるべきなんだ」という芸術思想から、岡本太郎は数々のパブリックアートを制作しています。
この「庭」は、そんな岡本太郎の美意識を伝えるための重要なメディアとしての存在であり、私はここに来るとなぜか安心感に包まれて、新しいパワーが湧いてくるのです。
《河童像》 1981年
特に手が加えられていない「庭」は、バショウ(芭蕉)やシダ類、雑草が自然のままに生い茂っています。
そのなかに放り出されたように展示されている作品は、植物たちと渾然一体となり調和がとれています。
この彫刻(↓)は《めばえ》という作品で、大型レジャー施設のモニュメントとして高さ120mの規模で計画されていたものの原型(1991年)です。施設の建設は実現しませんでした。
バショウ(芭蕉)には花と、バナナのような形をした未熟な実がついています。下の写真はアップにしてみました。
《歓喜》(1965年) は、お寺の梵鐘を依頼されて作ったものです。叩く場所で音の響きが違うといいます。
《犬の植木鉢》(1955年) には、植木鉢というより、自然にシダ類が生えています。
《エラン》(1976年) エランは、フランス語で躍動を意味します。
現在、川崎市岡本太郎美術館のシンボルとなっている高さ約30mの《母の塔》の原型(部分)です。(1971年)
《午後の日》(1967年) という作品で、自画像だといわれています。この作品のバリエーションが岡本太郎の墓石に選ばれました。
建物入口横に置かれた《未来を拓く》 (1987年)。 1988年に開催された「ぎふ中部未来博覧会」のシンボルモニュメントとして、 高さ約16mのスケールで制作されました。
《動物》(1959年) は岡本太郎が初めて手掛けた本格的な彫刻作品で、設置場所がレジャー施設だったことから、「無邪気なものをねらった」といいます。
《乙女》(1988年) 長野県・野沢温泉村の村庁舎前に作られた作品の原型です。
どこが「乙女」なんだか分かりませんが、「シュウペイで~す」ってやろうとしてる?
記念館入口のドアハンドルもユニークで思わず笑ってしまいます。
私が一番好きなのは、ベランダから身を乗り出して覗く「太陽の塔」です。ベランダの手すりに両手を乗せて庭の様子を窺っています。
ちょこんと乗せた両手と、半分だけ顔を出した「太陽の顔」が子供みたいでかわいいのです。
余談ですが、太陽の塔は3つの「顔」を持っています。現在を象徴する「太陽の顔」、金色に輝いて未来を象徴する「黄金の顔」、そして背面に描かれた「黒い太陽」は過去を象徴しています。
岡本太郎記念館 (東京都港区南青山6-1-19)
休館日:火曜日 ※祝日の場合は開館
開館時間:10:00〜18:00 (最終入場時間 17:30)
入館料金:一般 650円 小学生 300円
※庭だけの観覧でも入館料が必要です
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
岡本太郎「赤と黒」岡本太郎記念館 ― 2022年05月12日 19時00分11秒
東京メトロ・表参道駅から徒歩8分程のところにある、「岡本太郎記念館」に行ってきました。
ここは、1996年に84歳で亡くなるまで40年余りにわたって、岡本太郎のアトリエ兼住居でした。
このアトリエで、「太陽の塔」をはじめ、数えきれないほどの、幅ひろいジャンルにわたる作品を生み出し、世に挑み続けたのです。
1954年以降の岡本絵画はすべてここから生まれました。テーブル上の道具、床に飛び散った絵具、棚に押し込まれた描きかけの作品…、すべてが当時のままに、純度100%の TARO空間 が残されています。
大きな掃き出し窓が庭との一体感・連続感を演出している、応接や打ち合わせに使われていたスペースです。
岡本太郎記念館では、7月18日(月)まで、「赤と黒」展が開催されています。
「赤の中から生まれ、赤の中に生きているという感じがする」というほど幼い頃から“赤”が好きだった岡本太郎が好んだのは「血を思わせる激しい赤」。この“血の赤”が、岡本絵画のアイデンティティを支える重要な要素になっていることは疑いありません。
いっぽう1960年代になると、岡本太郎は「己れを滅びに導く、というより死に直面させるような方向、黒い道を選ぶのだ。」という言葉のように積極的に“黒”を描きはじめます。
本展では未完成作品も含め、「赤」と「黒」に焦点を合わせて岡本太郎の世界を掘り下げていきます。
岡本太郎 《 落日 》 未完成 油彩
岡本太郎 《 暗く透明な日 》 1963年 油彩
岡本太郎「赤と黒」開催概要
開催会場:岡本太郎記念館 東京都港区南青山6-1-19
開催期間: 2022年3月18日(金)〜7月18日(月・祝)
休館日:火曜日 ※祝日の場合は開館
開館時間:10:00〜18:00 (最終入場時間 17:30)
観覧料金:一般 650円 小学生 300円
※館内はスリッパに履き替えての入館になります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
横浜美術館「Wall Project」村上早「Stray Child」 ― 2022年05月10日 18時43分13秒
改修工事の為休館中の横浜美術館です。
この建物は丹下健三都市建設設計事務所の設計で、1989年(平成元年)3月の横浜博覧会のパビリオンとして使用され、博覧会終了後の同年11月に美術館として正式開館しました。
開館から30余年を経た横浜美術館は、2021年3月から大規模改修工事に入っています。
工事中の横浜美術館正面の、グランモール公園「美術の広場」に面した仮囲いを利用して、横浜美術館「Wall Project」が開催されています。
これは、将来活躍が期待される若手アーティストを紹介する小企画展「New Artist Picks」の屋外版として企画されたもので、第1回は、村上 早(むらかみ さき)「Stray Child」です。
村上 早は、ポスターカラーを使い筆で銅版に直接描いた線を腐食させるリフトグランド・エッチングなどの技法で、自身の記憶やトラウマから生まれたモチーフを描く作家です。
銅版画の製作は版に傷をつける行為。銅板に刻まれた線は心の傷であり、線を埋めるインクは血、インクを載せる紙はガーゼ だという、村上 早の作品18点が展示されています。
子供たちも遊ぶ広場なので、観覧は無料です。
第1回 村上 早 は11月6日まで。
第2回は浦川 大志(うらかわ たいし)で、11月から2023年8月までの予定です。
横浜美術館公式ホームページはこちら。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
最後の印象派「シダネルとマルタン展」SOMPO美術館 ― 2022年05月03日 20時20分20秒
最後の印象派、二大巨匠「シダネルとマルタン展」が、新宿のSOMPO美術館で6月26日(日)まで開催されています。
本館は東郷青児の美術作品コレクションを中心とする美術館として発足しており、2020年に新築・移転した建物は、優美な女性像が人気を博した東郷青児の作品を彷彿とさせる、柔らかい曲線美のデザインになっています。
アンリ・マルタンの《腰掛ける少女》という作品が本展のポスターになっていますが、遠目には東郷青児の作品かと思ってしまいました。
本展のチラシに使われているのは、アンリ・マルタンの《腰掛ける少女》と、アンリ・ル・シダネルの《ジェルブロワ、テラスの食卓》です。
アンリ・ル・シダネル(Henri Le Sidaner、1862年 - 1939年)と、アンリ・マルタン(Henri Jean Guillaume Martin、1860年 - 1943年)は、共に20世紀初頭に活躍したフランスの画家です。
1870年代から1880年代に全盛だった印象派は、その後の 新印象派、ポスト印象派、フォービズム、キュビズムの先駆けになった芸術運動です。
シダネルとマルタンは、印象派の技法をベースに、光の表現や色彩に強い関心を持っていた画家で、「最後の印象派」といわれています。
フランス北部のダンケルクで10代を過ごしたシダネル、南仏トゥールーズ生まれのマルタン。
パリでの修行後再び北と南へ向かった二人は、同じ芸術観を共有しながらも、それぞれの活動拠点に由来して、対照的で異なる光の表現を追求しています。
北を拠点としたシダネル は、黄昏時や月明かりに浮かび上がる静謐な情景を、他方南のマルタンは、眩い陽光に照らし出される南仏の風景を色鮮やかに描き出しました。
本展では、「最後の印象派」二大巨匠の足跡を、油彩を中心とする約70点の作品をを通して辿っています。
アンリ・ル・シダネル 《ジェルブロワ、テラスの食卓》 1930年 油彩/カンヴァス 100×81 cm フランス 個人蔵
アンリ・マルタン 《腰掛ける少女》 1904年以前 油彩/カンヴァス 96.4×56.5 cm ランス美術館所蔵
展示風景
左:アンリ・マルタン 《二番草》 1910年 油彩/板 69×100 cm フランス 個人蔵
右:アンリ・マルタン 《ガブリエルと無花果の木 [エルベクール医師邸の食堂の装飾画のための習作 ] 》 1911年 油彩/厚紙で裏打ちされた紙 70×126cm フランス 個人蔵
公式図録の表紙は、アンリ・マルタン 《二番草》と、アンリ・ル・シダネル 《ジェルブロワ、テラスの食卓》です。
SOMPO美術館は、フィンセント・ファン・ゴッホによって描かれた「ひまわり」を所有していて、常設展示しています。
1987年3月、当時の安田火災海上(現:損害保険ジャパン)が、イギリス・ロンドンで行われたクリスティーズ主催のオークションで目玉として出品されたゴッホの「ひまわり」を約4千万ドル(当時の為替レートで、手数料込・約58億円)で落札しています。
ゴッホは生涯で7枚、花瓶に生けられたひまわりの絵を描いていますが、「ひまわり」として5番目の作品になります。
現在日本で所有されているゴッホの「ひまわり」はこの1点のみです。
最後の印象派、二大巨匠「シダネルとマルタン展」開催概要
開催会場:SOMPO美術館
開催期間:2022年3月26日(土)~6月26日(日)
休館日:月曜日
開館時間:午前10時~午後6時(最終入館は午後5時30分まで)
観覧料金:一般1,600円、大学生1,100円、高校生以下 無料
※チケットは公式電子チケット「アソビュー!」(日時指定券)、ローソンチケット、イープラス、チケットぴあなどでも購入できます。詳細は美術館ホームページをご確認ください。
※身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳を提示の本人とその介助者1名は無料
※被爆者健康手帳を提示の方は本人のみ無料
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち ― 2022年04月22日 18時03分22秒
上野の東京都美術館で「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」展が今日から始まったので行ってきました。
スコットランド国立美術館は、1859年の開館以来、購入や地元名士たちの寄贈や寄託などによってコレクションの拡充を続け、世界最高峰の美術館の一つとなりました。上質で幅広い、世界でも指折りの西洋絵画コレクションを有する美の殿堂です。
そのスコットランド国立美術館が誇る至宝の中から、ラファエロ、エル・グレコ、ベラスケス、レンブラント、ブーシェ、スーラ、モネ、ドガ、ルノワール、ゴーガンなど、ルネサンス期から19世紀後半までの西洋絵画史を彩る、美の巨匠たち(THE GREATS)の作品が日本にやってきました。
油彩画・水彩画・素描など約90点を通じて西洋美術の流れを知ることができます。
会場内は撮影禁止ですが、出口に巨大なフォトスポットがあります。
フレデリック・エドウィン・チャーチ 《アメリカ側から見たナイアガラの滝》 が原寸大で展示されていました。
公式図録の表紙の作品は、英国絵画史上最も重要な画家の一人で、ロイヤル・アカデミーの初代会長だったジョシュア・レノルズの代表作 《ウォルドグレイヴ家の貴婦人たち》(部分)です。
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開催場所:東京都美術館 企画展示室
開催期間:2022年4月22日(金)~7月3日(日)
休室日:月曜日 ※5月2日(月)は開室
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室:金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
観覧料金:一般 1,900円 / 大学生・専門学校生 1,300円 / 65歳以上 1,400円
※本展は日時指定予約制です。
※高校生以下無料(日時指定予約が必要です)
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方1名は無料(日時指定予約は不要です)
※未就学児は日時指定予約不要です
※高校生、大学生・専門学校生、65歳以上の方、各種手帳をお持ちの方は、いずれも証明できるものの提示が必要です
その他詳細は展覧会公式サイトをご覧ください
本展は次のように巡回されます。
2022年4月22日(金)― 7月 3日(日)東京都美術館
2022年7月16日(土)― 9月25日(日)神戸市立博物館
2022年10月4日(火)―11月20日(日)北九州市立美術館 本館
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。
ひまわり ― 2022年04月13日 18時00分43秒
ロシアのプーチン大統領によるジェノサイド。ウクライナへの侵攻が続いています。
ウクライナで撮影された広大なひまわり畑が印象的な、1970年公開のイタリア映画(イタリア・フランス・ソビエト連邦・アメリカ合衆国の合作)「ひまわり」が、50年以上の時を超えて「50周年HDレストア版」としてリバイバル上映され、話題を呼んでいます。
(C)1970 − COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT) − FILMS CONCORDIA(FR) − SURF FILM SRL
映画の公開劇場情報はこちらの公式サイトから「Theatre」へ。
動画配信サービス「GYAO」では、4月30日までの期間限定で「ひまわり」の無料配信サービスを行っています。
戦争に引き裂かれた、ジョヴァンナ(ソフィア・ローレン)と アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)、二人の愛と苦しみの物語です。
現在、ウクライナだけでなくロシアの人たちにも同じような悲劇が各所で起こっているであろうことを考えると、「戦争」という行為の悲惨さを改めて思い知らされます。
「ひまわり」といえば、「ひまわりの画家」とも呼ばれるゴッホは生涯で7枚、花瓶に生けられた《ひまわり》の絵を描いています。
その7枚のうちの1枚が日本にあります。新宿にある「SOMPO美術館」です。
《ひまわり》として5番目の作品を1987年3月に39,921,750ドル(当時の為替レートで約58億円)で購入しています。
ファン・ゴッホ、フィンセント 《ひまわり》 1888年 100.5×76.5cm 油彩・キャンヴァス SOMPO美術館蔵 (SOMPO美術館にて撮影)
SOMPO美術館では、世界的に平和の象徴とされる「ひまわり」に関連して、SOMPO美術館が収蔵しているゴッホ《ひまわり》を通じて、ウクライナおよび近隣国における人道支援活動への寄付を行っています。
3月26日(土)から開催している「シダネルとマルタン展」の会期中、館内へ募金箱を設置し、ミュージアムショップで販売する当館のゴッホ《ひまわり》ポストカードの売上の一部を、ウクライナ全域と近隣国で脆弱な立場にある子供たちとその家族、避難民などの支援のために活動する団体に寄付し、又、SOMPOホールディングスでは、本企画展の入場者数および紹介動画の視聴数に応じて1億円を上限額として寄付。SOMPOグループの役職員で構成する ボランティア組織からも寄付をするということです。
ロシアによるウクライナへの侵略が早く収束してくれることを祈ります。
プーちん!早く目を覚ませ!
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
「没後50年 鏑木清方展」東京国立近代美術館 ― 2022年04月08日 18時55分20秒
東京国立近代美術館で「没後50年 鏑木清方展」が開催されているので行ってきました。
鏑木 清方(かぶらき きよかた、1878年(明治11年) - 1972年(昭和47年))は、明治から昭和にかけて活躍した日本画家です。
浮世絵系の挿絵画家からスタートした清方は、その出自を常に意識しながら、晩年に至るまで庶民の暮らしや文学、芸能のなかに作品の主題を求め続けました。
希代の美人画家として知られる清方ですが、本展では近代東京の庶民の生活を きめ細やかに描いた側面にも光をあてています。
第1章 生活をえがく
第2章 物語をえがく
第3章 小さくえがく
という3つの章で構成され、それぞれの章の中で年代を追って作品を紹介しています。
本展の注目作品は、鏑木清方の代表作として知られ、切手にもなりながら、1975年以来長きにわたり所在不明だった 《築地明石町》 です。

《築地明石町》と合わせて三部作となる《新富町》、《浜町河岸》も、《築地明石町》と共に2018年に再発見され、翌年に東京国立近代美術館のコレクションに加わりました。
『美術手帳』の記事によれば、この3作品をあわせた購入額は5億4千万円だったということです。
左から、鏑木清方 《浜町河岸》1930(昭和5)年 《築地明石町》1927(昭和2)年 《新富町》1930(昭和5)年
公式図録は、A4変形判(290×225mm)、両観音ページ付き、総頁数:312ページで、作品解説はもちろん、多数の論文やコラム、清方の絵をすみずみまで味わうためのブックガイド等を収録した没後50年の節目にふさわしい決定版の一冊です。コデックス装なので、180度きれいに開きます。税込2,800円です。
表紙カバーを開くとこんな感じになります。
美術館4階には「眺めのよい部屋」という休憩室があります。
今日は春らしい、ポカポカした陽気でした。 まだ、桜がきれいに咲いています。
同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」では、春らしい展示がたくさんありました。
菊池芳文 《小雨ふる吉野 》 1914年 絹本彩色
川合玉堂 《行く春》 1916年 紙本彩色 重要文化財 ↓下は部分
春の陽気に誘われて、気が緩むとコロナにやられてしまいますね。
「没後50年 鏑木清方展」開催概要
開催会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
開催期間:2022年3月18日(金)~5月8日(日)
休館日:月曜 ※5月2日は開館
開場時間: 9:30~17:00(金・土曜は9:30~20:00) *入館は閉館30分前まで
※「鏑木清方展」以外の展覧会は10:00開場
観覧料: 一般/1,800円 大学生/1,200円 高校生/ 700円
※中学生以下無料。 障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。それぞれ証明できるものが必要。
※オンラインチケットはこちらから。
※本展の観覧料で入館当日に限り、所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)、コレクションによる小企画「新収蔵&特別公開|ピエール・ボナール《プロヴァンス風景》」(2F ギャラリー4)も観覧できます。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
美術館で桜満開!「ダミアン・ハースト 桜」 ― 2022年03月20日 20時03分42秒
今日、東京都で桜の開花が発表されました。
平年より4日早く、昨年より6日遅い開花です。 満開になるのは26日頃だということです。
東京の満開より一足早く、東京・六本木の国立新美術館で、満開の桜が来館者の目を楽しませています。
国立新美術館では今、イギリスの現代美術家ダミアン・ハーストの日本初となる大規模個展「ダミアン・ハースト 桜」を開催中です。
この展覧会は、2021年7月から2022年1月までパリのカルティエ財団現代美術館で開催され、日本に巡回してきました。
本展では、107点から成る《桜》のシリーズから、作家自身が選んだ24点の大型絵画が展示されています。
チラシとチケットの半券です。いつもは日時指定のオンラインチケットを購入するので半券が無いのですが、今回は近くに行ったときに《桜》の看板に誘われて窓口購入で入館したので、半券が手に入りました。
会場入口です。
展示風景。
満開の桜が360度鑑賞者を取り囲みます。
全面が鮮やかな色で覆われた巨大なキャンバスが並び、鑑賞者は具象と抽象の境界を揺れ動く広大な花の風景を楽しむことができます。
ダミアン・ハースト 《生命の桜 SAKURA LIFE BLOSSOM》 2019年 三連画 各305×224cm 個人蔵
ダミアン・ハースト 《真実の桜 TRUTH'S BLOSSOM 》 2018年 274×183cm 個人蔵
《桜》の制作風景をとらえた映像を見ると、巨大なキャンバスに繊細な点描画のように描いたり、一定の距離から大きな絵筆を使って絵具をキャンバスに投げつけたりと、計算された描写と偶然生まれた表現が混合して、迫力と繊細さを生み出しています。 (下の2枚は作品の一部分)
展示風景
ダミアン・ハースト 《この桜より大きな愛はない GREATER LOVE HAS NO-ONE THAN THIS BLOSSOM 》 2019年 549×732cm 個人蔵
「ダミアン・ハースト 桜」 開催概要
開催会場:国立新美術館 企画展示室2E
開催期間:2022年3月2日(水)- 5月23日(月)
休館日:毎週火曜日 ※ただし5月3日(火・祝)は開館
開館時間: 10:00-18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで
観覧料:1,500円(一般) 1,200円(大学生) 600円(高校生)
※中学生以下、または障害者手帳を持参の方(付添の方1名含む)は無料
チケット取扱い:国立新美術館(開館日のみ)、オンラインチケット
東京で満開のソメイヨシノを見られるのももうすぐです。 楽しみですね。
桜の開花に浮かれている私たちですが、ウクライナの人たちの惨状は常に心に留めていたいと思います。
日本が外国から侵攻されるのも、そんなに遠い将来ではないかもしれません。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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