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Yamanote Line Museum NiJi$uKe氏のWALL ART2023年10月05日 11時16分42秒

JR上野駅の改札内連絡通路で展開している「Yamanote Line Museum」で、 NiJi$uKe(土居虹亮)氏のWALL ART(ウォールアート)が展示されていました。
Yamanote Line Museum

NiJi$uKe氏の作品は昨年に続き、第2弾になります。(昨年の展示はこちら
Yamanote Line Museum NiJi$uKe氏のWall Art
各作品は販売もしています。
場所は、上野駅公園改札に近い改札内の連絡通路で、駅舎としては3階になります。公園改札を入ってすぐの通路を右に曲がった所なので、感覚的には1階だと錯覚します。

前回に引き続き、上野動物園で飼育されている動物たちがカラフルなタッチで描かれています。
ジャイアントパンダとハシビロコウ、これは欠かせませんね。
ゾウ、キリン、パンダ、ハシビロコウ

私は上野駅へ時々行く割には連絡通路はあまり使わないので気付かなかったのですが、サインには2023.8.7 とあります。来年2月7日まで展示される予定です。
この花束は、上の写真一番左にいるゾウさんの鼻が持っている花です。

JR東日本の本展に関する広報サイトはこちら(PDF)。
「Yamanote Line Museum」公式サイトはこちら
「NiJi$uKeの自己紹介!」はこちら
NiJi$uKe氏公式サイトはこちら



今日もご覧いただき、ありがとうございました。

仮囲い芸術「KYOBASHI ART WALL」2023年09月24日 14時08分47秒

東京都中央区京橋一丁目で建設中の「TODA BUILDING」(2024年秋グランドオープン予定)は、『人と街をつなぐ』をコンセプトにするオフィスビルです。
地下3階地上28階建てビルの1階から4階は、現代の表現者をキーワードに掲げるミュージアムやホール、ギャラリー、アートスクエアなど、「芸術文化エリア」として設計されています。

現在建設中の「TODA BUILDING」の北面仮囲いで、「KYOBASHI ART WALL」という新進アーティストの公募優秀作品展が開催されています。
計4回ある公募での優秀作家は「KYOBASHI ART ROOM」で作品展示の機会が与えられ、「TODA BUILDING」完成後には館内で歴代の入選作家の展示が行われます。
仮囲いでの展示は実物ではなく、優秀作品の紹介のような形になっています。(作品を写真撮影し、大判シートに印刷して仮囲いに貼り付け)

「KYOBASHI ART WALL」

2022年5月のブログでも紹介しましたが(こちら)、招待作家の作品が2点展示されています。

【招待作家作品】

瀬戸 優 《水源-ウサギ-》 2021年 テラコッタ、彩色、玉眼 H30×W16×D40cm
瀬戸 優 《水源-ウサギ-》 2021年 テラコッタ、彩色、玉眼 H30×W16×D40cm
瀬戸優は、「彫刻表現における自然科学との融合性」をテーマとし、野生動物をモチーフとしたテラコッタ(素焼きの土器) による実物大の彫刻作品を制作しているアーティストです。

yutaokuda 《Abstract Bouquet(Cobalt Blue x Red)》 2021年 キャンバスにアクリル、顔料インク H91×W91cm
yutaokuda 《Abstract Bouquet(Cobalt Blue x Red)》 2021年 キャンバスにアクリル、顔料インク H91×W91cm
本作では、中央区の色であるコバルトブルーを背景にし、色とりどりの花は街中にアートが芽吹く京橋の様子を表現したということです。

【第1回 優秀作品】

Kokeshisky / コケシスキー 《Hole》 2021年 キャンバスにアクリル H65.2×W65.2cm
Kokeshisky / コケシスキー 《Hole》 2021年 キャンバスにアクリル H65.2×W65.2cm
本作では、堆積物からなる山に対しての穴であり、加えて、時間の積み重なり、同じ場所でありながら違う時間の一瞬が融合した画面を表現したということです。

佐々木 香輔 《space -under the ground-》 2020年 デジタルタイプCプリント H53×W79.5cm
佐々木 香輔 《space -under the ground-》 2020年 デジタルタイプCプリント H53×W79.5cm
写っているのは「地震の研究装置」で、普段は真っ暗闇の地下空間にライトを持ち込み、光源の位置を何度も変えながら複数枚撮影。そしてそれらを重ね合わせて、1枚の画像に合成したということです。可視化された風景は現実には存在せず、この写真にのみ映し出されます。

【第2回 優秀作品】

高橋 喜代史 《POSTER》 2018年 写真(映像作品《POSTER》のスチール写真) H75×W100cm
高橋 喜代史 《POSTER》 2018年 写真(映像作品《POSTER》のスチール写真) H75×W100cm
英語・日本語・アラビア語、3つの言語で「助けて!」と描かれた大きなポスターを、1人で貼ろうとする映像作品《POSTER》のスチール写真です。日本の難民認定問題を背景に、日本に助けを求めて難民申請をする人々の状況と、ポスターを貼るには助けが必要な状況を重ねたということです。

チャン・ジンウェン(張 静雯・Ching Wen Chang) 《冬夜》 2022年 雲肌麻紙、墨 H41×W41cm
チャン・ジンウェン(張 静雯・Ching Wen Chang) 《冬夜》 2022年 雲肌麻紙、墨 H41×W41cm
《冬夜》(とうや)は、見慣れた喫煙所をモチーフにしています。チャン・ジンウェンは、無機質な風景を描写し、現代人の「孤独」、「記憶」、「コロナの不安感」などの感情を伝えたいと考えているといいます。

【第3回 優秀作品】

大竹 奨次郎 《Untitled》 2022年 キャンバスに油彩 H60.6×W72.7cm
大竹 奨次郎 《Untitled》 2022年 キャンバスに油彩 H60.6×W72.7cm
2020年武蔵野美術大学油絵学科を卒業後、高校の美術教師として勤めた大竹は、どうしたら絵が描けるのかという問いに真摯に向き合い、描くことを続ける若手アーティストです。


SAKAMOTO ENTERTAINMENT  《Re:Orange_Peel_Piece》 2023年 キャンバスに油彩、アクリル H72.7×W60.6cm
SAKAMOTO ENTERTAINMENT  《Re:Orange_Peel_Piece》 2023年 キャンバスに油彩、アクリル H72.7×W60.6cm
素材を研究し、新たな視点からものを見つめ直しデザインやアートに落とし込んでいるアーティストの作品です。

【第4回 優秀作品】は1点のみになります。

ネルソン・ホー(Nelson Hor) 《編むこと、思い出すこと》 2022年 雲肌麻紙に岩絵具 H116.7×W91.5cm
ネルソン・ホー(Nelson Hor) 《編むこと、思い出すこと》 2022年 雲肌麻紙に岩絵具 H116.7×W91.5cm
マレーシア、ペナン生まれで、2021年多摩美術大学日本画専攻卒業。メンタルヘルスやLGBTQに対する差別など現代の社会問題をテーマにした絵画、刺繍、インスタレーションなどの作品を制作しているアーティストです。垂らした髪を編んでいる様を和紙に朱色の岩絵具の線だけで表した作品です。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

読書する女性たち2023年09月18日 15時12分47秒

ブリヂストンの創業者である実業家・石橋正二郎の収集した美術品を展示するため、1952年、東京・京橋のブリヂストン本社ビル内に開館した「ブリジストン美術館」が、2020年1月に23階建てビルに建て替えられた「ミュージアムタワー京橋」の、1階から6階を使用して「アーティゾン美術館」としてリニューアル開館しました。
アーティゾン美術館

アーティゾン美術館が所蔵する、約3000点からなる収蔵品の中から厳選された作品を定期的に入れ替えて展示する「石橋財団コレクション選」の特集コーナー展示として、「読書する女性たち」が開催されています。
石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 読書する女性たち
ヨーロッパでは18世紀以降、読書する女性の姿が描かれるようになります。西洋に学んだ日本近代の画家たちも、同じ画題を取りあげました。本展では、石橋財団コレクションから、女性が読者として描かれたマティスやカサット、山下新太郎らの作品を紹介しています。

山下新太郎(YAMASHITA Shintaro)《読書》 1908年 油彩・カンヴァス 100.0×73.1cm
山下新太(YAMASHITA Shintaro)《読書》 1908年 油彩・カンヴァス 100.0×73.1cm
山下は、東京美術学校(東京藝術大学美術学部の前身)西洋画科を卒業と同時に、東京外国語学校フランス語専科に入学、後日フランス語を第一外国語または第二外国語とする暁星高等学校に転校しています。 この作品はフランス留学当時の作品です。

メアリー・カサット (Mary CASSATT) 《娘に読み聞かせるオーガスタ》 1910年 油彩・カンヴァス 116.2×88.9cm
メアリー・カサット (Mary CASSATT) 《娘に読み聞かせるオーガスタ》 1910年 油彩・カンヴァス 116.2×88.9cm
この作品は、カサットが晩年を過ごしたパリ近郊、ル・メニル=テリビュにあるボーフレーヌ館の緑豊かな庭園で描かれた母子像です。

展示風景

アンリ・マティス(Henri MATISSE) 《オダリスク》 1926年 油彩・カンヴァス 55.5×46.8cm
アンリ・マティス(Henri MATISSE) 《オダリスク》 1926年 油彩・カンヴァス 55.5×46.8cm
オダリスク(Odalisque)とは、オスマン帝国においてスルターンなどイスラームの君主のハレムで奉仕する女奴隷を指します。18世紀から19世紀にかけてヨーロッパでは絵画の題材として好んで描かれました。

ヘンリー・ムーア(Henry MOORE) 《本を持つ女(『生誕80年記念版画集』より)》 1976年 リトグラフ 20.2×14.0cm
ヘンリー・ムア(Henry MOORE) 本を持つ女(『生誕80年記念版画集』より) 1976年 リトグラフ 20.2×14.0cm

ジョージ・スミス(George SMITH) 《婦人像》 1866年 油彩・板 56.0×40.1cm
ジョージ・スミス(George SMITH)《婦人像》 1866年 油彩・板 56.0×40.1cm

本展はこの特集コーナーに加えて、「石橋財団コレクション選」としてロダンやマネ、ルノワール、ピカソ、ゴッホ、ゴーギャン、マティス、カンィンスキー、岸田劉生、藤島武二など、国内外の著名な芸術家の作品60点余りで構成されています。


「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 読書する女性たち」開催概要
開催会場:アーティゾン美術館 4階 展示室
開催期間:2023年9月9日[土] - 11月19日[日] 休館日:月曜日(9月18日、10月9日は開館)、9月19日、10月10日
開館時間:10:00ー18:00(11月3日を除く金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
観覧料金:一般 窓口販売 1,500円 WEB予約チケット 1,200円  大学・専門学校・高校生 無料(要WEB予約) 中学生以下 無料(予約不要)
  ※障がい者手帳をお持ちの方と 付き添いの方1名は無料(予約不要)
  ※一般と中学生以下以外は要証明   ※この料金で同時開催の展覧会を全て観覧できます。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

創造の現場―映画と写真による芸術家の記録2023年09月17日 11時42分42秒

東京・京橋のアーティゾン美術館で開催されている「創造の現場―映画と写真による芸術家の記録」展。
昨日アップした「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」との同時開催になります。
アーティゾン美術館「創造の現場―映画と写真による芸術家の記録」

アーティゾン美術館の前身となるブリヂストン美術館は、1953年に映画委員会を発足し、「美術映画シリーズ」と冠し、1964年までに61人の芸術家を取材して17本の記録映画を製作しています。
また、当館では近年、1970年代からアーティストのポートレイトや、一過性のインスタレーション、パフォーマンスなど、現代美術の現場を記録し続けた写真家、安齊重男(1939-2020)の作品を収集しています。
「創造の現場―映画と写真による芸術家の記録」展は、「美術映画シリーズ」の全貌を紹介するとともに、その取材対象となった芸術家たちによる作品、そして安齊による写真作品を展観し、アーティゾン美術館のコレクションに他の美術館からの借用作品を加えた約80点で構成されています。

アーティゾン美術館「創造の現場―映画と写真による芸術家の記録」

展示風景 
アーティゾン美術館「創造の現場―映画と写真による芸術家の記録」

「美術映画シリーズ」は、梅原龍三郎(1888~1986)や坂本 繁二郎(1882~1969)、川合 玉堂(1873~1957)、高村光太郎(1883~1956)、前田青邨(1885~1977)といった日本の芸術家たちの制作風景や日常の様子を記録した、大変貴重な映像資料になります。
展覧会会場では、「美術映画シリーズ」61名の映像を全て鑑賞することができるとともに、その芸術家たちの作品も展示されています。

梅原龍三郎 《脱衣婦》 1912年 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵
梅原龍三郎《脱衣婦》1912年油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵

坂本繁二郎 《放牧三馬》 1932年 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵
坂本繁二郎 《放牧三馬》 1932年 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵

「美術映画シリーズ」『川合玉堂』より。

川合玉堂 《秋郊帰雁》 制作年不明 紙本墨画淡彩 石橋財団アーティゾン美術館蔵

展示風景 『写真のなかの芸術家たち─安齊重男の眼』
アーティゾン美術館「創造の現場―映画と写真による芸術家の記録」


公式カタログ(図録)では、映像作品の一部静止画と並んで絵画や彫刻の出品作品、安齊重男の写真作品に加え、作家解説、論考等も掲載しています。
B5変形/本文128頁/並製本で、税込2,310円です。
アーティゾン美術館「創造の現場―映画と写真による芸術家の記録」


開催会場:アーティゾン美術館 5階 展示室 
開催期間:2023年9月9日[土] - 11月19日[日] 休館日:月曜日(9月18日、10月9日は開館)、9月19日、10月10日 
開館時間:10:00ー18:00(11月3日を除く金曜日は20:00まで)
  *入館は閉館の30分前まで 
観覧料金:一般 窓口販売 1,500円 WEB予約チケット 1,200円  大学・専門学校・高校生 無料(要WEB予約) 中学生以下 無料(予約不要)
  ※障がい者手帳をお持ちの方と 付き添いの方1名は無料(予約不要)
  ※一般と中学生以下以外は要証明
  ※この料金で同時開催の展覧会を全て観覧できます。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン2023年09月16日 19時02分03秒

ブリヂストン美術館がアーティゾン美術館として2020年に開館して以来、石橋財団コレクションと現代美術家の共演として企画されてきた「ジャム・セッション」。
第1回は鴻池朋子
第2回は森村泰昌
でした。

今回はジャムセッション第4弾として、大和絵や浮世絵のようなタッチで、非常に緻密に人物や建築物などを描き込む画風で知られる、山口晃を迎えました。

今回のジャム・セッションでは、「近代」、「日本的コード」、「日本の本来性」とは何かを問い、歴史や美術といった個人を圧する制度のただ中にあっても、それらに先立つ欲動を貫かんとする山口晃を紹介しています・
ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン

「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」

最初の部屋、《汝、経験に依りて過つ》では、視覚と脳の感覚が交錯し自身の異常な動きを誘い出す、一種のアトラクションのようなインスタレーションです。
正に 《汝、経験に依りて過つ》で、一度体験するとクセになりそうな作品ですが、吐きそうになる人もいるかも・・・
心配な人はパスすることが出来ます。 私は大好きです。この部屋にずっと居たい。


山口晃 《さんさしおん》 2023年 墨、鉛筆、紙 作者蔵
山口晃 《さんさしおん》 2023年 墨、鉛筆、紙
正面から見ると何と書かれているか分からない作品です。横から見ると「さんさしおん」と読めます。
山口晃 《さんさしおん》 2023年 墨、鉛筆、紙
「さんさしおん」?どういう意味?
フランス語で感覚とか知覚というような意味だそうです。あっ「Sensation」。英語でセンセーションじゃん。


山口晃 《東京圏1・0・4 輪の段》 2018-2023年 墨・油彩・水彩・アクリル絵具・カンヴァス 作者蔵 
山口晃 《東京圏1・0・4 輪の段》 2018-2023年 墨・油彩・水彩・アクリル絵具・カンヴァス 
2019年に放映されたNHK大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺~」のオープニングタイトルバックの原画です。 よく見ると米粒のような人間まで緻密に描かれています。
山口晃 《東京圏1・0・4 輪の段》 2018-2023年 墨・油彩・水彩・アクリル絵具・カンヴァス 作者蔵

参考作品として、《洛中洛外図屏風》が展示されていました。
《洛中洛外図屏風》 江戸時代 17世紀 紙本金地着色 石橋財団アーティゾン美術館蔵
《洛中洛外図屏風》 江戸時代 17世紀 紙本金地着色 石橋財団アーティゾン美術館蔵 
《洛中洛外図屏風》 江戸時代 17世紀 紙本金地着色 石橋財団アーティゾン美術館蔵 (下は部分)

展示風景

山口晃 《馬からやヲ射る》 2019年 墨、水彩、紙 作者蔵
山口晃《馬からやヲ射る》2019年 墨、水彩、紙


日本の近代絵画に向き合いながらも、ジャム・セッションの対象として山口が選んだのは、セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》と、雪舟《四季山水図》です。

ポール・セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》 1904-06年頃 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵
ポール・セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》 1904-06年頃 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵
山口は過去にセザンヌのアトリエやサント=ヴィクトワール山を訪れているということです。

山口晃 《セザンヌへの小径(こみち)》 2019年 油彩・鉛筆・カンヴァス 作者蔵
山口晃 《セザンヌへの小径(こみち)》・鉛筆・カンヴァス 作者蔵


雪舟 《四季山水図・春幅》 室町時代 15世紀 絹本墨画淡彩 4幅対 (重要文化財) 石橋財団アーティゾン美術館蔵
雪舟 《四季山水図・春幅》 室町時代 15世紀 絹本墨画淡彩 4幅対 (重要文化財)石橋財団アーティゾン美術館蔵

山口晃 《盧山吟行》 2023年 墨、水彩、カンヴァス 作者蔵
山口晃 《盧山吟行》 2023年 墨、水彩、カンヴァス 作者蔵


山口晃 《来迎圖》 2015年 油彩・墨・カンヴァス 作家蔵
山口晃 《来迎圖》 2015年 油彩・墨・カンヴァス 作家蔵

黒田清輝 《鉄砲百合》 1909年 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵
黒田清輝 《鉄砲百合》 1909年 油彩・カンヴァス 石橋財団アーティゾン美術館蔵


公式図録もセンセーショナル(Sensational)です。 フランス語だとサンサシオネル(Sensationnel)でしょうか。
細部まで精緻に描き込まれた山口の描写を再現するため、A3の大判印刷を採用。
開くとA2サイズになり、ページが綴じられていないため、ポスターとして使うこともできます。(バラバラになります)
A3変形/56ページ。税込2,200円です。
また、記載のQRコードからアクセスすることで、山口晃によるインスタレーション・アートをオンライン閲覧することができます。(閲覧期間は2023年9月15日〜2026年9月15日)


開催会場:アーティゾン美術館 6階 展示室
開催期間:2023年9月9日[土] - 11月19日[日]
休館日:月曜日(9月18日、10月9日は開館)、9月19日、10月10日
開館時間:10:00ー18:00(11月3日を除く金曜日は20:00まで)*入館は閉館の30分前まで
観覧料金:一般 窓口販売 1,500円 WEB予約チケット 1,200円  大学・専門学校・高校生 無料(要WEB予約) 中学生以下 無料(予約不要)
  ※障がい者手帳をお持ちの方と 付き添いの方1名は無料(予約不要)
  ※一般と中学生以下以外は要証明
  ※この料金で同時開催の展覧会を全て観覧できます。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

和のあかり×百段階段 2023 @ホテル雅叙園東京2023年08月30日 18時00分00秒

ホテル雅叙園東京の百段階段で「和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~」が開催されています。
ホテル雅叙園東京

百段階段というのは通称です。1935年(昭和10年)に建てられ目黒雅叙園3号館といわれた雅叙園で唯一現存する木造建造物で、99段の階段が結ぶ豪華絢爛な装飾の7つの部屋で構成されています。
下から「十畝(じっぽ)の間」、「漁樵(ぎょしょう)の間」、「草丘(そうきゅう)の間」、「静水(せいすい)の間」、「星光(せいこう)の間」、「清方(きよかた)の間」、「頂上(ちょうじょう)の間」といいます。
この7つの部屋をフルに使って、「日本のあかり」をテーマにした展覧会を開催しています。

今回は「百鬼夜行」をストーリーテーマに、 部屋を進むごとに現世から異界へと旅をするかのような、美しくも妖しい世界へ誘う展示演出で、東京都指定有形文化財「百段階段」を彩ります。

和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京

会場入り口に展示されている、山口県柳井市の民芸品「金魚ちょうちん」と、「小田原風鈴」です。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京
金魚ちょうちんには、今回のテーマ「百鬼夜行」に合わせたような怖い金魚もいます。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京

「百鬼夜行」へのプロムナードです。伏谷商店の「名古屋ちょうちん」が並びます。
名古屋ちょうちん

「十畝(じっぽ)の間」は「異界へと続く道」をテーマに、一葉式いけ花 四代目家元・粕谷 尚弘氏の作品が展示されています。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京
両側には、中野形染工場×ハナブサデザイン制作の、和柄模様を真鍮板にエッチングし円筒状にした型を、そのままの状態で使用した内照式オブジェ「籠染灯籠」が、美しい模様を描き出します。
中野形染工場×ハナブサデザイン

「漁樵(ぎょしょう)の間」のテーマは「鬼の住処」。ペットボトルアーティストの本間 ますみ氏がペットボトルを使って、おどろおどろしい鬼の住む世界を創り上げました。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京

和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京

「草丘(そうきゅう)の間」は「異界の四季(歌舞伎に観る四季)」をテーマにしています。
歌舞伎座舞台株式会社(旧 長谷川大道具株式会社)の松竹衣裳「歌舞伎に見る四季」より、《藤娘》と《紅葉狩りです。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京

部屋の中央には、七夕飾り作家 桜井駿氏が描いた、龍や鳳凰の巨大な七夕飾りが展示されています。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京

造形作家・人形師、よねやまりゅう氏の作品《猫鬼(みょうき)》です。異形の作品5点が並び、88万円~220万円で販売も受け付けています。 こんなの枕元にでも置いておいたら、怖くて寝られません。
よねやまりゅう《猫鬼》(みょうき)

「静水(せいすい)の間」は、「白き狐の世界」と化しています。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京
白き世界は狐の世界。寂しく悲しいその思いを 知っているのは月だけ。
浄瑠璃「義経千本桜」に出てくる義経の通称源九郎の名を譲られた源九郎狐。親狐の皮で作られた、静御前の持つ「初音の鼓」を慕って、佐藤忠信に化け静御前を守る物語。

「星光(せいこう)の間」のテーマは「水が紡ぐ詩」。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京
田島硝子の伝統工芸「江戸切子」の他、「吹き硝子」、 優しい色合いの「津軽びいどろ」、海のように輝く「琉球ガラス」などが展示されています。

「清方(きよかた)の間」です。
この部屋は、近代日本画の巨匠「鏑木清方(かぶらぎ きよかた)が手掛けた部屋です。
(展示品の無い下の写真のみ2020年7月に撮影)

「清方(きよかた)の間」のテーマは「対岸の現世」。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京
薄暗い部屋の中で、照明作家 弦間康仁氏の作品が鏑木清方の絵画を照らします。

倉敷切子灯篭をモチーフに切子の造形美を残しつつ、灯篭とは異なる和のあかりとして発展させた「切子あかり」が進化した「希莉光あかり」。倉敷光作所の作品です。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京

一番上の部屋「頂上(ちょうじょう)の間」のテーマは「神々の園」です。美しくも妖しい妖怪の群れを抜けると、神々しい世界が待ち受けていました。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京
大島エレク総業によるライティングデコレーションは、「頂上の間」の空間を埋め尽くすように華々しい曼荼羅模様を描きます。
もしかしたら、私は天国に召されてしまったかも・・・・

反対側では、栃木ダボ製作所による「神々のお面」が壁面を埋め、その前には神話・伝説の生きもの「黄金の龍」が私を待ち受けていました。
和のあかり×百段階段 2023 ~極彩色の百鬼夜行~ ホテル雅叙園東京
この「黄金の龍」、金彫刻のように見えますが、実は水引で作られています。水引作家 山富繁子氏の作品です。
そういえば、金価格が1g1万円を超えたそうですね。


ホテル雅叙園東京と百段階段についてのブログはこちら。(2020年7月のブログ)


開催会場:ホテル雅叙園東京・百段階段
開催期間:2023年7月1日(土)~9月24日(日)
休館日:会期中無休
開室時間:11:00~18:00(最終入館 17:30)
観覧料金:一般 1,500円 学生 800円
  ※障がい者手帳ご呈示の方は、優待料金(1名様¥1,200)でご入場いただけます。(介護者1名含む、当日受付へお声かけください)
  ※オンライン限定セットチケットもあります。詳細は公式オンラインチケットサイト(こちら)へ。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

草間彌生の自己消滅、あるいはサイケデリックな世界 YAYOI KUSAMA MUSEUM2023年08月20日 11時18分16秒

東京都新宿区にある草間彌生美術館(YAYOI KUSAMA MUSEUM)で「草間彌生の自己消滅、あるいはサイケデリックな世界」展が開催されています。
草間彌生美術館


草間彌生は、単一モチーフの強迫的な反復と増殖から生じる、自他の境目が消えていくような感覚を“自己消滅” と呼び、さまざまな制作手法で表現しています。

草間彌生 《草間の自己消滅》 1967年 16ミリフィルム カラー サウンド
草間の自己消滅

本展は、草間彌生作品のサイケデリック性に着目したもので、彼女が幼い頃からの幻覚の恐怖を克服しようとする過程で必然的に生み出された、さまざまな時代の豊かな創作のバリエーションを紹介しています。

草間彌生 《平和への願望はひとつひとつ輝くばかり》 2023年 ミクストメディア
草間彌生《平和への願望はひとつひとつ輝くばかり》2023年
220×214×185cmの鏡のボックスで、今回初公開となるミラールームシリーズの最新作(2003年)です。
丸い穴の中を覗くと、鏡の反射と反復により表現される映像が映し出され、奇抜で強烈な色の光が明滅する万華鏡のような視覚体験と、サイケデリックな没入感をもたらします。
幻覚剤がもたらす知覚の変容を追体験させるような視覚効果と重なり合うものがあります。
草間彌生《平和への願望はひとつひとつ輝くばかり》2023年
草間彌生《平和への願望はひとつひとつ輝くばかり》2023年
草間彌生《平和への願望はひとつひとつ輝くばかり》2023年
草間彌生《平和への願望はひとつひとつ輝くばかり》2023年

草間彌生 《I’m Here, but Nothing》 2000 / 2022年 蛍光ステッカー、ブラックライト、家具、日用品 サイズ可変
草間彌生 《I’m Here, but Nothing》 2000 / 2022年
部屋の中は日常生活するリビングや書斎のようですが、色とりどりの水玉で覆い尽くされた空間は、幻覚と草間彌生の言う自己消滅を自ら体感することができます。
草間彌生 《I’m Here, but Nothing》 2000 / 2022年

草間彌生 《真夜中に咲く花》 2010年 F.R.P. ウレタン塗料、鉄 190×244×122cm
草間彌生《真夜中に咲く花》2010年
草間彌生の代表的なモチーフでもある花の巨大彫刻です。花の中心には“目”があり、サイケデリックな水玉模様が作品を覆いつくします。

エレベーターの中も、全面の鏡に水玉模様が描かれていて、奥の方へ消えて行ってしまいそうな自己消滅感があります。

美術館の屋上は開放的で、現実に戻った解放感を味わえます。遠くに新宿のビル群が見えます。

図録は20.8×23cm、56ページで、税込2,200円です。
同じサイズに統一して展覧会ごとに発行しているので、本棚にきれいに並びます。今回はNo.011になり、バックナンバーも美術館で販売しています。


開催会場:草間彌生美術館
開催期間:2023年4月29日(土・祝)~ 2023年9月18日(月・祝)
開館日:木・金・土・日曜日および国民の祝日
休館日:月・火・水曜日(祝日を除く)
開館時間:11:00〜17:30
観覧料金:一般 1,100円(税込) 小中高生 600円(税込)  ※未就学児は無料
  入場は日時指定の完全予約・定員制(各回90分)です。(チケット販売サイトはこちら
  当館では、毎月1日10:00に翌々月分のチケット販売を開始します
  (外国人の鑑賞者も多く、会期中の11:00の回は全て予定枚数終了になっています)



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

国立新美術館「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」2023年08月15日 16時00分10秒

六本木の国立新美術館で「テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ」が開催されています。
国立新美術館

TATE(テート)は、英国政府が所有する美術コレクションを収蔵・管理する組織で、ロンドンのテート・ブリテン、テート・モダン、テート・リバプール、テート・セント・アイヴスの4つの国立美術館を運営しています。

本展は、英国・テート美術館のコレクションより「光」をテーマに作品を厳選し、18世紀末から現代までの約200年間におよぶアーティストたちの、独創的な創作の軌跡に光をあてた展覧会です。

1770年代の絵画に始まり、大気と光の効果を追求したターナー(1775 - 1851年)、風景画の名手コンスタブル(1776年 - 1837年)などロマン派といわれた画家や、モネ、ピサロ、シスレーなど印象派から現代美術まで、異なる時代、異なる地域で制作された約120点の作品を一堂に集めた、テート美術館収蔵作品選りすぐりの展覧会となっています。
テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《光と色彩(ゲーテの理論)—大洪水の翌朝—創世記を書くモーセ》 1843年出品 油彩 / カンヴァス 78.7×78.7cm
 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《光と色彩(ゲーテの理論)—大洪水の翌朝—創世記を書くモーセ》1843年出品
ターナーは、光と色の効果を捉えることに重点を置き、自然界の大気の渦について描いています。この作品ではゲーテの色相環の内、暖色系の色相を表現し、大洪水の後の神と人間との契約を祝福するものとして描いています。

ジョン・コンスタブル 《ハリッジ灯台》 1820年出品? 油彩 / カンヴァス 32.7×50.2cm
ジョン・コンスタブル 《ハリッジ灯台》 1820年出品? 油彩 / カンヴァス 32.7×50.2cm
雲が頭上に落とす暗い影と明るい陽光を浴びる灯台の、光と影の対比が見事に表現されています。

展示風景  鏡の作品は、草間彌生 《去ってゆく冬》 2005年 鏡 / ガラス 180×80.5×80.5
展示風景 草間彌生 《去ってゆく冬》 2005年 鏡 / ガラス 180×80.5×80.5
鏡で構成された立方体には穴が開いていて、この穴を覗くと合わせ鏡のように連続する映像を見ることができます。

ジョン・ブレット 《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》 1871年 油彩 / カンヴァス106×212.7cm
ジョン・ブレット 《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》 1871年 106×212.7cm
ブレッドは画家であると同時に天文学者でもあり、科学的な観点をもって対象にアプローチしています。雲間から海に濯ぐ「天使の梯子(薄明光線)」が輝くように描かれています。

クロード・モネ 《エプト川のポプラ並木》 1891年 油彩 / カンヴァス 92.4×73.7cm
クロード・モネ 《エプト川のポプラ並木》 1891年 油彩 / カンヴァス 92.4×73.7cm
印象派を代表するモネは、自然を直接観察することによって、光が風景に与える影響とその変化を捉えました。

アルフレッド・シスレー 《春の小さな草地》 1880年 油彩 / カンヴァス 54.3×73cm
アルフレッド・シスレー 《春の小さな草地》 1880年 油彩 / カンヴァス 54.3×73cm
印象派の設立メンバーでもあるシスレーは、風景における光の効果に細心の注意を払いました。明るい黄色の帽子が目を惹く人物は画家の娘のジャンヌで、爽やかな春の光が長く伸びた木々に当たり、影を落としています。

カミーユ・ピサロ 《水先案内人がいる桟橋、ル・アーヴル、朝、霞がかった曇天》 1903年 油彩 / カンヴァス 65.1×81.3cm
カミーユ・ピサロ 《水先案内人がいる桟橋、ル・アーヴル、朝、霞がかった曇天 1903年 油彩 / カンヴァス 65.1×81.3cm
ピサロも印象派の重要なメンバーでした。本作は、港の波立つ水面に映るどんよりとした朝の光を捉えています。

ウィリアム・ローゼンスタイン 《母と子》 1903年 油彩 / カンヴァス 96.9×76.5cm
ウィリアム・ローゼンスタイン 《母と子》 1903年 油彩 / カンヴァス 96.9×76.5cm
描かれているのは画家の妻アリスと、その子供ジョンです。一つの窓から差し込む柔らかな光は、母子とドアと暖炉の一部を照らし、緻密な光の描写に細心の注意が払われています。
どこかフェルメールを思わせる、美しい絵画です。

ワシリー・カンディンスキー 《スウィング》 1925年 油彩 / 板 70.5×50.2cm
ワシリー・カンディンスキー 《スウィング》 1925年 油彩 / 板 70.5×50.2cm
私の好きな画家のひとり、カンディンスキーの作品です。
「絵画は音楽のように抽象的であるべきだ」という考えを持つカンディンスキーは、芸術、建築、デザインの革新的な学校「バウハウス」で教鞭をとったことでも知られています。カンディンスキーにとって色彩は、芸術を伝統的な表現から解き放つために不可欠な物でした。

ペー・ホワイト 《ぶら下がったかけら》 2004年 紙 / 糸 サイズ可変
ペー・ホワイト 《ぶら下がったかけら》 2004年 紙 / 糸 サイズ可変
本作品は、482本の糸とスクリーン印刷された紙片から構成され、天井からぶら下げるモビール・インスタレーションとなっています。その影が生み出すのは、大空を飛ぶ鳥の姿でしょうか。

展示風景
ゲルハルト・リヒター 《アブストラクト・ぺインティング(726)》 1990年 油彩 / カンヴァス 251×351cm
ゲルハルト・リヒター 《アブストラクト・ぺインティング(726)》 1990年 油彩 / カンヴァス 251×351cm
リヒターにとって光は中心的なテーマです。リヒターは、1960年代に写真のイメージを絵画で描き移した「フォト・ペインティング」を発表し、注目を集めるようになりました。

ピーター・セッジリー 《カラーサイクルIII 》 1970年 アクリル / カンヴァス 184.1×182.9cm
ピーター・セッジリー 《カラーサイクルIII 》 1970年 アクリル / カンヴァス 184.1×182.9cm
コンピューターによって制御された光の点滅は一切の規則性を排除し、その中に一定の秩序を見出そうとする観客の欲求をも排除し続けるのです。

ピーター・セッジリー 《カラーサイクル III 》 1970年 アクリル / カンヴァス 184.1×182.9cm
ピーター・セッジリー《カラーサイクル III》 1970年 アクリル/カンヴァス
セッジリーは、一貫して色と光を探求してきた作家として知られています。本作品では、それぞれ異なる色の円が同心円状に重ねられた画面に、プログラミングによって一定の時間で変化する光が当てられています。同心円の光と色はさまざまに変化します。

デイヴィッド・バチェラー 《ブリック・レーンのスペクトラム 2》 2007年 ライトボックス / スチール製の棚 / アクリルシート / 蛍光灯 / ケーブル / プラグボード 761.5×90×31cm
デイヴィッド・バチェラー 《ブリック・レーンのスペクトラム 2》 2007年 ライトボックス / スチール製の棚 / アクリルシート / 蛍光灯 / ケーブル / プラグボード 761.5×90×31cm
色とりどりのライトボックスを積み上げた背の高い柱型の作品は、ロンドン東部のブリック・レーン・エリアの、飲食店などの照明やサインを思い起こさせます。

リズ・ローズ 《光の音楽》 1975年 白黒の16ミリフィルムをビデオプロジェクターで展示 / モノラル音声 / 25分
リズ・ローズ 《光の音楽》 1975年 白黒の16ミリフィルムをビデオプロジェクターで展示 / モノラル音声 / 25分
インスタントレタリングやスクリーントーンで知られるレトラセット社の書体をフィルムストリップに貼り付け、スクリーン上に抽象的な線として映し出し、プロジェクターでその線を音声に変換して読み取っています。室内に流れる音楽は画面に映される線と線の間にある空間に対応したもので、見えるものと聞こえるものの間に、直接の指標となる関係を生み出しています。鑑賞者参加型のインスタレーションになっています。


オラファー・エリアソン 《星くずの素粒子》 2014年 ステンレス・スチール / 半透明のミラー / ワイヤー / モーター / スポットライト 直径170cm
オラファー・エリアソン 《星くずの素粒子》 2014年 ステンレス・スチール / 半透明のミラー / ワイヤー / モーター / スポットライト 直径170cm
オラファー・エリアソンは、特定の環境下で光と色がどのように知覚されるかを考察している作家です。
半透明の作品はミラーボールのように回転して輝き、その光は拡大された星くずの素粒子、もしくは爆発した星の残骸のような模様を壁に映し出します。


本展の図録はA4変形256ページで、日本経済新聞社から発行されており、楽天ブックスでも購入することができます。税込3,300円です。最近図録の値段が高くなったので困っております。
テート美術館展 図録

テート美術館の7万7000点超に及ぶ収蔵品の中から厳選した絵画や写真、インスタレーションなど約120点が一堂に会する本展は、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドでも開催された世界巡回展で、10月26日(木)から大阪中之島美術館に巡回します。
印象派以前から現代までの約200年間におよぶ芸術の流れを理解することができる、お勧めの展覧会です。


開催会場:国立新美術館 企画展示室2E
開催期間:2023年7月12日[水]-10月2日[月]
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00−18:00  毎週金・土曜日は20:00まで  入場は閉館の30分前まで
観覧料金:一般 2,200円  大学生 1,400円 高校生 1,000円 (全て税込)
  ※中学生以下(学生証または年齢のわかるものが必要)は入場無料
  ※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

甲斐荘楠音の全貌 東京ステーションギャラリー2023年08月11日 15時43分01秒

開館60周年記念として京都国立近代美術館で開催されていた展覧会「甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性」が、東京ステーションギャラリーで開催されています。
東京ステーションギャラリーの前を通るたびに観よう、観ようと思っていたのですがチャンスが無く、27日で会期が終わってしまうので、昨日観に行きました。
甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性
甲斐荘楠音(かいのしょう  ただおと、1894年〈明治27年〉12月13日 - 1978年〈昭和53年〉6月16日)は、大正時代の日本画家で、映画人・演劇人でもあります。
甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性
主に女性像を描き、その作風はそれまでの日本画にはなかったグロテスクともいえる独特な画調で人間の生々しさを描いています。
甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性
↑展覧会チラシは2種類あります。並べてみました。

本展は、画家として、映画人として、演劇に通じた趣味人として・・・さまざまな芸術を越境する「複雑かつ多面的な個性をもった表現者」である甲斐荘の妖艶な絵画作品はもとより、スクラップブック・写真・写生帖・映像・映画衣裳・ポスターなど、甲斐荘に関する作品や資料のすべてを等しく展示して、その仕事の全貌を顧みる展覧会になっています。
絵画はもちろんのこと、甲斐荘が携わった時代劇衣裳が東映京都撮影所で近年再発見されたことを受け、映画「旗本退屈男」シリーズで市川右太衛門が袖を通した絢爛豪華な衣裳とポスターなどがずらっと並ぶ展示は圧巻です。


図録表紙に使用されている絵画は《春》 1929年 絹本金地着色/二曲一隻 屛風 95.9×151.4cm メトロポリタン美術館蔵。
甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性
ニューヨークのメトロポリタン美術館が所蔵する作品で、日本での一般公開は本展が初めてとなります。「あやしい」だけではない、甲斐荘の朗らかでロマンティックな「陽」の一面を象徴する名作です。

図録はA4変型判、312ページで、全作品のカラー画像に加え、充実のエッセイ群や甲斐荘の携わった映画作品リストなど、貴重な資料も収録しています。
税込3,300円は少し高いですが、最近は図録の価格もこのくらいにまで値上がりしています。312ページはかなりの重量があり、内容もそれに見合った充実したデータ量になっています。


甲斐荘楠音の全貌―絵画、演劇、映画を越境する個性」開催概要
開催期間:2023年7月1日(土) - 8月27日(日)
休館日:月曜日[8/14、8/21は開館]、7/18(火)
開館時間:10:00 - 18:00 ※金曜日は20:00まで開館 ※入館は閉館30分前まで
観覧料金:一般1,400円 高校・大学生1,200円 中学生以下無料
  ※障がい者手帳等持参の方は入館料から100円引き(介添者1名は無料)
  ※学生の方は生徒手帳・学生証を提示してください



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

岡本太郎記念館「令和の蔵出し」2023年07月29日 10時42分51秒

東京都港区南青山にある「岡本太郎記念館」で、開館25周年記念「令和の蔵出し」展が開催されています。

岡本太郎記念館に行くと、いつもベランダから顔を覗かせて出迎えてくれる《太陽の塔》が、私は好きです。
ベランダから覗き込む「太陽の塔」

1946年に中国への兵役から復員した岡本太郎ですが、岡本一平・かの子・太郎の一家が永く暮らし一家でヨーロッパへ旅立った港区青山の旧居も、パリで描いた作品も、戦火のためすべてを焼失してしまっていました。 
岡本太郎は、友人の坂倉準三の設計で、この地に新たにアトリエを建てました。 ル・コルビュジェの愛弟子だった坂倉準三は、太郎の求めに応じ、ブロックを積んだ壁の上に凸レンズ形の屋根をのせてユニークな建物を造り、1996年に84歳で亡くなるまで、岡本太郎のアトリエ兼住居として使用されていました。
岡本太郎記念館
岡本太郎記念館は、岡本太郎の養女(実際には公私にわたるパートナー)である岡本敏子さんの手により、岡本太郎没後2年余りの1998年5月、アトリエ兼住居をそのまま展示室として開館しました。

今回の展示では当館が所蔵する未完成作品やマルチブル作品(量産を目的に作られた美術作品)、素描、下絵、未発表彫刻の原型など、太郎史に刻まれる貴重な資料の中から未公開の作品を柱に、一挙に「蔵出し」をしています。
岡本太郎の創作の秘密や制作過程が見えてくる、貴重な展覧会になっています。

岡本太郎は縄文時代の文化にも多大な興味を示してきました。エントランスに置かれているのは《縄文人》という作品です。
岡本太郎 《縄文人》 1982年 ブロンズ 岡本太郎記念館蔵

1階サロンです。 応接や打ち合わせに使われていたスペースで、大きな掃き出し窓が庭との一体感・連続感を演出しています。
岡本太郎記念館
下の写真左端、《手の椅子》に飾られている写真が岡本敏子さんです。
岡本太郎記念館

サロンの奥にあるアトリエです。 1954年以降の岡本絵画はすべてここから生まれました。
岡本太郎記念館

2階にある2つの部屋が絵画などの展示室になります。
岡本太郎記念館

幅5.5mの大きな絨毯も展示されています。
岡本太郎 《群青》 1969年 絨毯 岡本太郎記念館蔵

題名不詳 制作年不明 陶器


建物入口のドアノブです。ユニークですね。

庭には芭蕉、シダ類、雑草が自然のままに生い茂り、そのなかに彫刻が置かれて、彫刻と植物が渾然一体となっています。



開館25周年記念「令和の蔵出し」開催概要
開催会場:岡本太郎記念館(東京都港区南青山6-1-19)
開催期間:2023年7月13日(木)~2023年11月26日(日)
休館日:火曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12/28~1/4)及び保守点検日。
開館時間:10:00~18:00(最終入館17:30)
観覧料金:一般¥650  小学生¥300



最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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