彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術 ― 2025年07月30日 20時40分20秒
東京都中央区京橋にあるアーティゾン美術館で、「彼女たちのアボリジナル・アート オーストラリア現代美術」展が開催されています。
アボリジナル・ピープルとは、オーストラリア大陸と一部の周辺島嶼の先住民を指します。イギリスを中心とするヨーロッパ人達による植民地化の以前から、オーストラリア大陸やその周辺諸島に居住していた先住民の子孫達です。
2024年に開催された第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展で、アボリジナル作家の個展を展示したオーストラリア館が国別参加部門の金獅子賞を受賞するなど近年、アボリジナル・アートが注目されています。
本展では、当館所蔵作家4名を含む7名と1組による計52点の女性作家の作品を通して、アボリジナル・アートに脈々と流れる伝統文化の息づかいを感じ取ると同時に、イギリスによる植民地時代を経て、どのように脱植民地化を実践しているのか、そしてそれがいかにして創造性と交差し、複層的で多面的な現代のアボリジナル・アートを形作っているのか考察しています。
展示風景 エミリー・カーマ・イングワリィの作品
42個のガラスからなるこの作品は、オーストラリアのウラン資源採掘と、それによって引き起こされる環境汚染をテーマにしています。
ガラスには微量のウラン酸化物が含まれ、紫外線を当てると緑色に蛍光(発光)します。
イワニ・スケース 《えぐられた大地》(部分) 2017年 ウランガラス(宙吹き) 石橋財団アーティゾン美術館
マリィ・クラーク 《故郷を纏(まと)う》(部分) 2016年 葦、ヒインコの羽根 作家蔵(ヴィヴィアン・アンダーソン・ギャラリー)
「ポッサムスキン・クローク」は、オーストラリア南東部の寒冷地帯に住む人々がかつて着用していた外套を指します。成長と共に毛皮が継ぎ足され、亡くなるとそれに纏われて埋葬されたということです。
ポッサムはオーストラリアに住む樹上有袋類で、その毛皮を使っています。
マリィ・クラーク 《ポッサムスキン・クローク》 2020-21年 ポッサムの毛皮 ヴィクトリア国立美術館
28cm角のアセテート紙に印刷された顕微鏡写真には、クラークの地元の河川に自生する葦の細胞が写っています。葦は、この地域のアボリジナルの装飾具の材料として、かつて利用されていました。
マリィ・クラーク 《私を見つけましたね:目に見えないものが見える時》(部分) 2023年 顕微鏡写真・アセテート 作家蔵(ヴィヴィアン・アンダーソン・ギャラリー)
オーストラリアに自生するティーツリーから作られた未完成の槍の束が壁に固定され、座面が取り外された古い木製の椅子に束縛されています。よく見ると、槍には1800年代初頭に家族の元から連れ去られた、タスマニア・アボリジナルの子供たちの名前が焼き付けられています。
ジュリー・ゴフ 《1840年以前に非アボリジナルと生活していたタスマニア出身のアボリジナルの子どもたち》 2008年 木製椅子・焼けたティーツリーの枝 オーストラリア国立美術館
展示風景 マーディディンキンガーティー・ジュワンダ・サリー・ガボリの作品
開催会場:アーティゾン美術館 6階・5階展示室
開催期間:2025年6月24日[火]‒9月21日[日]
休館日:月曜日(7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日、8月12日、9月16日
開館時間:10:00‒18:00(毎週金曜日は20:00まで) ※入館は閉館の30分前まで
観覧料金:一般 ウェブ予約チケット 1,800円 窓口販売チケット 2,000円
大学生/専門学校生/高校生 無料 要ウェブ予約
※入館時に学生証か生徒手帳を提示
中学生以下 無料 ウェブ予約不要
障がい者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名 無料 ウェブ予約不要
※入館時に障がい者手帳を提示
日時指定予約制ですが、予約枠に空きがあれば美術館窓口でもチケットを購入できます
この料金で同時開催の展覧会も観覧できます
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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