和のあかり×百段階段2022 ~光と影・百物語~ ― 2022年09月05日 20時41分07秒
ホテル雅叙園東京の百段階段で「和のあかり×百段階段2022 ~光と影・百物語~」が開催されています。
百段階段へ行くエレベーターを出ると、山口県柳井市の「柳井金魚ちょうちん祭り」の金魚ちょうちんが展示してあります。
百段階段というのは通称で、1935年(昭和10年)に建てられ目黒雅叙園3号館といわれた、雅叙園で唯一現存する木造建造物です。 百段階段の途中には豪華絢爛な装飾の7つの部屋があります。
下から「十畝(じっぽ)の間」、「漁樵(ぎょしょう)の間」、「草丘(そうきゅう)の間」、「静水(せいすい)の間」、「星光(せいこう)の間」、「清方(きよかた)の間」、「頂上(ちょうじょう)の間」といいます。
この7つの部屋をフルに使って、「日本のあかり」をテーマにした展覧会を開催しています。
今回は「光と影」と「百物語」を展示テーマに、東京都指定有形文化財「百段階段」を彩ります。
百物語では、百番目の怪談が語り終えられた時に本物の怪異が現れるとされます。
今年は、例年の「和のあかり」とは少し雰囲気が違います。展示の中に顔を覗かせる幽霊や妖怪たち。歩みを進めるうちにその気配が増えていきます。99段の階段を登ったその先には・・・・・
十畝(じっぽ)の間
漁樵(ぎょしょう)の間
静水(せいすい)の間
星光(せいこう)の間
清方(きよかた)の間
頂上(ちょうじょう)の間
1階の回廊にも「竹あかり」が展示してありました。
一般チケット1,500円プラス370円の1,870円で、柏木美術鋳物研究所製 「まよけ猫鈴」付チケットを販売していたので、そちらを購入して貰った「まよけ猫鈴」です。
チリチリンと良い音で鳴ります。
会場のショップでも380円で売っていました。紐の色が数パターンあって選べます。
10円しか安くならないのに、チケットとセットの場合は紐の色が選べません(赤だけのようです)。会場で買えばよかった。紅白の紐の方がよかったな~ 残念!
「和のあかり×百段階段 2022 ~光と影・百物語~」開催概要
開催期間:2022年7月2日(土)~2022年9月25日(日)
鑑賞時間:11:30~18:00 (最終入館17:30)
入場料金:一般1,500円、学生800円、未就学児無料
当日券あり。オンライン限定セットチケット各種あり。オンラインでも日時指定はありません。
公式オンラインチケットはこちら。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
百段階段 「ニッポンのあかり 未来のひかり」 ― 2021年07月07日 19時00分55秒
ホテル雅叙園東京(旧:目黒雅叙園)の「百段階段」で、夏の風物詩となっている「和のあかり」展が今年も開催されています。
今年のテーマは「ニッポンのあかり 未来のひかり」です。
「百段階段」とは、ホテル雅叙園東京の前身である目黒雅叙園3号館にあたり、1935(昭和10)年に建てられた当館で現存する唯一の木造建築です。 過去には食事を楽しみ、晴れやかな宴が行われた7つの部屋を、99段の長い階段廊下が繋いでいます。
2000(平成21)年に東京都の有形文化財に指定されました。
日本ならではの感性と技術によって生み出される「和のあかり」が、東京都指定有形文化財「百段階段」の7つの部屋を彩ります。
エレベーター前の作品は、伊勢型紙から丁寧に刷りとられた和柄模様を真鍮板にエッチングし、円筒状にした型をそのままの状態で使用して製作した、内照式オブジェ「籠染灯籠」です。
会場入り口の手前通路には伏谷商店の名古屋提灯が並びます。
伏谷商店では伝統的な提灯はもちろんのこと、現代のくらしの中にも映えるデザインのランプシェイドなど、常に進化した提灯を創り続けています。
百段階段の7つの部屋の内、一番下の部屋「十畝の間(じっぽのま)」です。この部屋は「森のあかり」がテーマになっています。
「十畝の間」の天井画など美術品の中で、色鮮やかながら優しい光を放ちます。
内側から発光された光は、 幾何学的に折られた面にあたり、同時に陰翳をつくり、やわらかいあかりへと変化します。
折り紙を組み合わせることにより創られた作品は、扇子や、屏風、風呂敷のように使わない時は畳んで収納できるという、日本の暮らしに根付いたテクノロジーを継承したものです。
今日は七夕です。
「漁樵の間(ぎょしょうのま)」の入り口には自由に書いて吊り下げられる「短冊」が置いてあります。
「漁礁の間」の欄間には、色鮮やかな彩色木彫板に七夕の様子が描かれ、笹飾りも展示されています。
願い事を書いた短冊は、残念ながら笹飾りにではなくこちら↓に結び付けることになります。
7月3日(土)から始まって、3日目の5日(月)のアサイチで行ったのですがすでにこんなに短冊が吊り下げられていました。
七夕の日には、古くから神木とされた梶(かじ)の葉に和歌をしるし、願い事をしていたということです。
この部屋の中の空間アートは、「かぐや姫の記憶」がテーマになっています。
熊本県山鹿市で毎年2月の金曜・土曜に開催されている「山鹿灯篭浪漫・百華百彩」で使われる傘などが飾られています。
かんざし作家「榮 -SAKAE-」さんの作品です。
漁礁の間の世界観から、かぐや姫をテーマに「蓬莱の玉の枝(ほうらいのたまのえ)」を創作したということです。
「草丘の間(そうきゅうのま)」は「風のあかり」がテーマです。
いけばなの、古流かたばみ会 副家元の大塚理航さんの作品です。
火箸風鈴、小田原風鈴、鋳物風鈴、真鍮風鈴、南部鉄風鈴、江戸風鈴など伝統的な風鈴が風に揺れています。
「静水の間(せいすいのま)」のテーマは「ガラスのあかり」です。
江戸切子、薩摩切子、琉球ガラスなど、ガラス製品による光の表現が見事に構成されています。
江戸切子、薩摩切子、琉球ガラスなど、ガラス製品による光の表現が見事に構成されています。
「玻璃匠 山田硝子」(東京都墨田区)の江戸切子です。
「琉球ガラス」の味わい深い手触りと、南国ならではの色合いは、1,300℃の窯とガラス職人の感性によって生み出される、沖縄ならではの文化です。
「星光の間」へと続く階段は、宇宙空間をイメージした「未来のひかり」で照らし出されていました。
「星光の間(せいこうのま)」のテーマは「紙のあかり」です。
熊本県山鹿市の「山鹿灯篭踊り」で使われる山鹿灯篭です。
紙を漉く技術を応用したあかり作家として活動する、高山しげこさんの作品「漉き紙の灯り」です。
山形県の月山和紙を使用するあかり作家、せいのまゆみさんの作品です。
「清方の間(きよかたのま)」のテーマは「木のあかり 土のあかり」です。
陶芸家 猿田壮也さんの作品です。自然の中で作陶する味わい深い作品は多くのファンを持ちます。
照明作家 谷俊幸さんの作品です。
虫籠や行灯などを竹のみでつくり、 日用品の中に様々な模様を描きながら編みこむ、静岡県に伝わる伝統工芸「駿河竹千筋細工」の技法を用いた作品です。
竹ひごを熱しながら曲げ、 竹の輪に組み込みながら制作された、繊細な逸品です。
ひょうたんランプ作家 北島拓弥さんの作品です。
2010年に庭で初めてのひょうたん栽培をし、20個ほどの収穫となり、その年の冬から本格的にランプを作り始めたということです。
百段階段最上階、「頂上の間(ちょうじょうのま)」のテーマは「金魚のあかり 未来のひかり」。
山口県柳井市の「柳井金魚ちょうちん祭り」は、柳井の民芸品である「金魚ちょうちん」をモチーフにした夏の一大イベントです。お盆等で帰省された方々を、ふるさとの民芸品でお迎えするものです。
フェルト金魚作家 矢萩ひかるさんは、羊毛フェルトをメインに金魚作品のみ制作している金魚作家さんです。
展示作品のほんの一部ですが、紹介してみました。
「和のあかり 百段階段2021 ニッポンのあかり 未来のひかり」開催概要
開催期間:2021年7月3日(土)~9月26日(日)
休館日:会期中無休
開催時間:11:30 - 18:00(最終入館17:30)
※土曜日及び、7月22日・23日・8月8日~13日・9月19日は 20:00迄(最終入館19:30)
※8月21日(土)は17:00迄(最終入館 16:30)
入場料金:一般¥1,200 学生¥600 ※要学生証呈示 未就学児無料
※チケットは当日窓口販売もありますが混雑状況によって制限される場合があります。
※日時指定チケットの他に、グッズ付きチケット、人数限定スペシャルチケット、ペアチケット、などお得なチケットも公式オンラインチケットで販売しています。
※東京都に4度目の緊急事態宣言が発出される見込みの為、会期や時間等は変更される場合があります。
最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
私もちょっと疲れました。
江戸崎の雛まつり 「雛のつるし飾り」 ― 2021年02月08日 18時20分30秒
ホテル雅叙園東京(旧目黒雅叙園)の百段階段で開催されている展覧会「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」の後期展示として、つるし飾りをはじめとした桃の節句の装飾が展示されています。
今回の展示では、茨城県稲敷市江戸崎で毎年2月上旬から「えどさき笑遊館」をメイン会場に町内各所で開催されている「江戸崎の雛まつり」から、「江戸崎つるしびなの会」の人たちによって作られた「つるし飾り」が、百段階段の「頂上の間」全体を使って展示されています。
桃の節句の雛壇の両脇に、はぎれで作ったぬいぐるみをつるす「つるし雛」は、江戸時代に始まったといわれています。
現在では、無病息災、良縁を祈願して、雛壇の両脇につるし飾りを吊す習慣となっていますが、当時は雛人形はとても高価なもので庶民にはなかなか手に入らない物でした。そこで、お母さんやおばあちゃん、叔母さん、近所の人たちが皆で少しずつ、女の子の幸せを願って小さな人形を作り持ち寄って「つるし雛」を作ったといわれています。
皆の想いがいっぱい込められた「つるし雛」は赤ちゃんの大事なお守りとしてとても大切にされたということです。 めでたしめでたし
一つ一つが女の子の健やかな成長と幸せな一生を願って作られ、「桃飾り」とも呼ばれる百を超える飾りにはそれぞれ謂れ(いわれ)や言い伝えがあります。桃飾り=百(もも)飾りでもあるんですね。
その一部をピックアップしてみました。
「這い子人形」 這えば立て、立てば歩めの親心 子の健やかな成長を願って。
「だるま」 昔から七転び八起きとして、福を招く縁起物とされていました。また、赤い色には魔よけの意味があります。
「三番叟(さんばそう)」 三番叟は伝統芸能の1つで、縁起が良く、おめでたい出し物。足拍子には農事にかかわる地固めの、鈴ノ段では種まきを思わせる所作があり、五穀豊穣を願い、「食べ物に困らないように」との祈りが込められています。また、無病息災、家内安全、商売繁盛などの祈りも込められています。
「さる(猿っ子) 」 さる(去る)にかけて、「病が去る」・「災いが去る」という意味がこめられています。
「犬(いぬ)」 犬のお産が軽いことにあやかり、「子宝・安産・健康」に恵まれますように、との願いを込めて。また、子守り・厄除けにあやかれるともいわれます。
「兎(うさぎ)」 赤い目に魔除けと護身(病気を退治できる)の霊力があり、神の使いといわれます。優しく素直で言い争いをしないけれど、「芯のある優しい人になれる」との言い伝えがあります。
「俵ねずみ」 大黒様の使いといわれる「ネズミ」は、金運に恵まれるといわれます。「俵」は五穀豊穣をあらわし、食に不自由しないようにと願い飾られます。
「梟(ふくろう)」 森の知恵者といわれ、知恵に恵まれる。「不苦労」と書き、「苦労を免れる」ともいわれています。また、「福朗」とも書き、「福々しい体で福を招きますように」という願いが込められています。
「鳩(はと)」 「神の使い」、または「平和の象徴」といわれる縁起のよい鳥。また、「鳩はむせない」ことから、赤ちゃんがお乳をよく飲み、元気に成長しますようにと願って飾られます。
「鶴(つる)」 鶴は“千年長生きする”と伝えられ、長寿や健康への祈りが込められています。また、その美しい姿から、目にすると心が豊かになる縁起物としても知られています。
「亀(かめ)」 亀は“万年生きる”と伝えられ、長寿と健康にあやかりを願う縁起物です。また、亀の一歩一歩たゆみない努力、そこから生まれる「幸せな人生」への願いが込められています。
「蛙(かえる)」 「変える」「返る」「帰る」とも書くことができ、「福かえる」、「家に帰る」「若返る(健康・長寿)」など、様々な語呂合わせがあります。さらに、卵をたくさん産むことから「子宝に恵まれる」、雨が降る前や降り始めに鳴くことから、 雨を呼び豊作をもたらしてくれるとも言われています。
「金魚(きんぎょ)」 金魚のように「華麗に瑞々しく、悠々と人生を渡れるように」との願いが込められています。さらに、金魚はたくさんの卵を産むことから、多産祈願に通じる縁起の良い魚ともいわれます。
「蝶(ちょう)」 三々九度の雄蝶雌蝶(おちょうめちょう)の縁起物。また、女の子が蝶のように「可憐に可愛らしく成長しますように」と願って。
「柿(かき)」 福や幸せを“かき”取ると言われます。また、柿は「長寿の木」・「厄払いの木」とも言われ、栄養価が高く滋養があることから子供の健やかな成長を願って飾られます。
「南瓜(かぼちゃ)」 滋養のある食材です。シンデレラの馬車のように幸せを運んでくれますように。(江戸崎のかぼちゃは街の自慢の作物だそうです)
「唐辛子(とうがらし)」 虫除けの効果があることから、可愛い娘とお雛様に悪い虫がつかないように、との意味があります。
「しあわせ巾着、巾着 (きんちゃく)」 将来の夢をいっぱい巾着に詰めて幸せな人生を歩むように、との願いが込められています。また、巾着にお金が溜まり、「お金に困ることがないように」という意味もあります。
「布団(ざぶとん)」 座布団のまわりで赤ちゃんがハイハイをして遊ぶ。早くお座りができますように。
「草履(ぞうり)」 早くあんよができますように。また、健脚健康になり、働き者になれるお守りとして。
「三角、三角火打 (さんかくひうち)」 昔、「薬袋」は三角の形をしていました。この「三角」の形に、“病気に無縁でありますように”との願いが込められています。おめでたい「富士山」の形も表しています。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」開催概要
開催会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」
開催期間:2021年1月1日(金・祝) - 3月14日(日)
休館日:2月1日(月) ※展示替えのため
※1月1日~31日までは打掛を(終了しました)、2月2日~3月14日までは桃の節句の装飾を展示
開催時間:12:30~18:00(最終入館17:30)
観覧料金:一般 ¥1,000 学生 ¥500 (要学生証呈示) 未就学児無料
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
江戸崎のひな祭り「雛のつるし飾り」@百段階段 ― 2021年02月03日 11時02分50秒
今日は立春です。 124年ぶりに2月3日が立春になりました。
立春を過ぎると「お雛さま」を飾り始める家庭は多いと思いますが、ホテル雅叙園東京(旧目黒雅叙園)の百段階段でも昨日2月2日から雛飾りの展示が始まりました。
これは、「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」というイベントの後期展示として開催されているものです。
百段階段のエントランスには豪華絢爛な打掛と、「雛祭りのつるし飾り」が展示されています。
『 「雛のつるし飾り」とは、桃の節句の雛壇の両側に、はぎれで作ったぬいぐるみをつるす風習で、全国でも珍しく、「伊豆の稲取地方」「九州の柳川地区」「山形の酒田地区」などが有名で、江戸時代から伝えられてきたとされています。 日本の伝統手芸で、お裁縫好きな女性の手で親から子、子から孫へと受け継がれて来た「お細工物」を、つるし飾りにしたものです。初節句にも親類縁者が手作りして贈ったとされています。 』 (『 』内はえどさき笑遊館ホームページより)
百段階段の「頂上の間」一面に華やかな江戸崎の「つるし飾り」が並びます。
茨城県稲敷市江戸崎では、毎年2月の上旬から「えどさき笑遊館」をメイン会場に「江戸崎の雛まつり」が開催されます。
「江戸崎つるしびなの会」の協力により作られた「つるし飾り」が、歴史ある百段階段の「頂上の間」を飾っています。
花やうさぎなどの動物、本や座布団などの身近なものを古布やちりめんの布などで作り、それを紐で繋げたお飾りです。
その中心となる「雛飾り」は、創業明治44年、東京・浅草橋で無形文化財の技術を継承する人形作家の老舗「原孝洲」のお雛さまです。
「十畝の間」に展示されている「ねずみの嫁入り」です。
皆、すごくうれしそうな表情です。
「ねずみの嫁入り」という昔話がありましたね。
鼠(ねずみ)の夫婦がその娘に天下一の婿をとろうとして、太陽がこの世で一番だと思い申し出ると、太陽は、雲に出あうと照らせないから雲がいいという。雲に申し出ると、風に吹きとばされてしまうから風がよいという。だが風は築地(ついじ=泥土をつき固めて作った塀)にあえば無力だという。そこで築地に頼むと鼠に穴を掘られてかなわないといったので、結局同じ仲間の鼠を選んだというお話し。
その他、桃の節句のお飾りが百段階段のいたる所に展示されています。
こちらも「原孝洲」の雛人形です。
津軽の伝統的な郷土人形、下川原焼(したかわらやき)の縁起ものです。
この企画「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」は、250枚の日本画と建築意匠に囲まれた百段階段の絢爛豪華な装飾の中から、健康や長寿、富貴といった縁起もの(吉祥)に関わる意味や願いを込めて制作されたものを100点選び出して紹介するというものです。
1月には「打掛」が展示されていましたが、2月2日からは一部展示替えがされ、「つるし飾りをはじめとした桃の節句の装飾」が展示されています。
以前の展示については下の項目からご覧ください。
※ 吉祥模様の打掛 (1月20日)
※ エレベーターの唐獅子牡丹 (1月21日)
※ 一富士二鷹三茄子 (1月22日)
※ 松・竹・梅 (1月23日)
※ 吉祥に関わる「植物」 (1月25日)
※ 吉祥に関わる「鳥や動物など」 (1月26日)
※ 吉祥モチーフの建築意匠 (2月1日)
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」開催概要
開催会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」
開催期間:2021年1月1日(金・祝) - 3月14日(日)
休館日:2月1日(月) ※展示替えのため
※1月1日~31日までは打掛を(終了しました)、2月2日~3月14日までは桃の節句の装飾を展示
開催時間:12:30~18:00(最終入館17:30)
観覧料金:一般 ¥1,000 学生 ¥500 (要学生証呈示) 未就学児無料
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
百段階段の吉祥モチーフ ― 2021年02月01日 10時43分20秒
ホテル雅叙園東京(旧:目黒雅叙園)で「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」というイベントが開催されています。
この企画は、250枚の日本画と建築意匠に囲まれた百段階段の絢爛豪華な装飾の中から、健康や長寿、富貴といった縁起もの(吉祥)に関わる意味や願いを込めて制作されたものを100点選び出して紹介するというものです。
※ 吉祥模様の打掛 (1月20日)
※ エレベーターの唐獅子牡丹 (1月21日)
※ 一富士二鷹三茄子 (1月22日)
※ 松・竹・梅 (1月23日)
※ 吉祥に関わる「植物」 (1月25日)
※ 吉祥に関わる「鳥や動物など」 (1月26日)
とアップして来たので、今日は建築意匠から吉祥モチーフを探してみました。
「草丘の間」から見える「十畝の間」の屋根の「懸漁(けぎょ)」です。
「懸漁」とは神社やお寺の屋根の破風(はふ)部に取り付けられる装飾板ですが、木造の建築物を火から守るための火伏せのまじないの意味も持ちます。水に関係するものを装飾木彫りとし、ここでは蓮(ハス)の花が採用されています。
「草丘の間」の廊下の高欄(こうらん)には鯉が彫られています。中国には鯉は龍になるとの伝説があり、出世魚として尊ばれています。
窓などの格子を補強するために四隅につける板を「隅板(すみいた)」といいます。
小さな縁起ものですが、末広がりの扇型になっています。
「隅板」は装飾としても大きな意味を持ちます。
一つひとつをよく見ると、羽を広げた蝙蝠(コウモリ)の形になっています。
西洋では不吉なイメージの強い蝙蝠ですが、中国では幸運を招くとされ、吉祥モチーフとして採用されてきたといいます。
厳寒に耐える常緑樹であり、竹、梅とともに「歳寒三友(さいかんさんゆう)」とも呼ばれる吉祥画材の「松」のデザインが隅板になっています。
「清方の間」です。写真左の隅板は「桜の花びら」を模しています。
新型コロナウィルス感染防止対策として障子が開けられていますが、障子を締め切ると、厄除けの意味を持つ「松皮菱(まつかわひし)」が表れます。
組子「変わり麻の葉」です。
古来より仏像の装飾などに使われてきた六角形の幾何学模様です。
麻は成長が早くまっすぐに伸びることから、健やかな成長と魔よけの意味を込め、産着などにも用いられてきました。
「十畝の間」の組子障子です。上の方、長押(なげし)は黒漆研ぎ出しという螺鈿細工で装飾されています。
組子はこちらも「麻の葉」がデザインされています。
障子の下の部分、幾何学模様のように見えるこの模様は「卍(まんじ)」を表しています。
「卍」は、インドのヴィシュヌ神の胸の旋毛(つむじ)を起源とする瑞兆の相とされています。
「清方の間」入口には組子で富士山が描かれています。
「草丘の間」入口は横長の楕円が二つ繋がる、瓢箪(ひょうたん)を模した組子になっています。
蔦が盛んに伸び、そこから鈴なりに実が生る瓢箪は子孫繁栄の象徴でもありました。
「草丘の間」、升つなぎの組子障子です。
無病息災や子孫繁栄の願いが込められ、「ますます」繁栄につながるともいわれています。
「静水の間」の組子障子は「胡麻柄亀甲(ごまがらきっこう)」です。
胡麻の実は栄養豊富であることから不老長寿や健康祈願を意味します。亀甲は亀の甲羅を表す吉祥模様です。亀は鶴と共に長寿の象徴として知られています。
「静水の間」には超絶技巧で作られた組子が並びます。これは右上と左下で模様が異なる複雑な技術です。
右上は「二重麻の葉」、左下は「俵亀甲(たわらきっこう)」です。成長と魔除けの願いが込められた麻の葉と、長寿吉祥の象徴、亀甲が表わされています。
「草丘の間」の床柱で使われている「槐(えんじゅ)」の木です。
昔の中国では官位が上がると庭に槐を植え、その数が出世のステータスシンボルとされていたといいます。日本では魔除けとしてこの木でお面を作る風習が残っており、また、「延寿(えんじゅ)」に通じることから長寿を意味するおめでたい木とされています。
「十畝の間」です。天袋や地袋の引手を見ると、菊の形になっています。
菊は長寿の象徴の花で、日本では天皇・皇后や国の機関の紋として菊の紋が使われています。
「清方の間」の天袋と地袋には瓢箪型の引手が使われています。
瓢箪は子孫の長久を願う吉祥モチーフです。こんな所にも職人たちの粋な遊び心を垣間見ることができます。
「漁礁の間」の床の間の下部、床框(とこがまち)には「雷紋」が描かれています。
雷紋は稲妻の象徴とされています。、雷雨は万物を潤すもとであり、なたその形は絶えることなく長く続く様子を表すことから吉祥模様とされています。
また、畳縁には同じ大きさの円を重ねて繋いだ文様、「七宝繋ぎ」が描かれています。
「星光の間」の床の間の畳縁にある模様は「大紋高麗縁(だいもんこうらいべり)」という、雲形や菊が織り出された縁です。
過去には親王や大臣は大紋高麗縁、公家は小文高麗縁と定められていたということです。
ホテル雅叙園東京・百段階段にある建築意匠から吉祥モチーフを集めてみました。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」では、これら「吉祥」に関わる絵画や建築意匠を100点選び、やさしい解説付きで案内しています。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」開催概要
開催会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」
開催期間:2021年1月1日(金・祝) - 3月14日(日)
休館日:2月1日(月) ※展示替えのため
※1月1日~31日までは打掛を、2月2日~3月14日までは桃の節句の装飾を展示
開催時間:12:30~18:00(最終入館17:30)
観覧料金:一般 ¥1,000 学生 ¥500 (要学生証呈示) 未就学児無料
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
百段階段の吉祥絵画「鳥や動物など」 ― 2021年01月26日 20時20分20秒
ホテル雅叙園東京(旧:目黒雅叙園)で「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」というイベントが開催されています。
今回の企画では、250枚の日本画と建築意匠に囲まれた百段階段の絢爛豪華な装飾の中から、健康や長寿、富貴といった縁起もの(吉祥)に関わる意味や願いを込めて制作されたものを100点選び出して紹介しています。
※ 吉祥模様の打掛 (1月20日)
※ エレベーターの唐獅子牡丹 (1月21日)
※ 一富士二鷹三茄子 (1月22日)
※ 松・竹・梅 (1月23日)
※ 吉祥に関わる「植物」 (1月25日)
とアップして来たので、今日は吉祥に関わる「鳥や動物など」が描かれた美術品をアップします。
「静水の間」の天井画、池上秀畝(いけがみしゅうほ)の「鳳凰」です。
鳳凰(ほうおう)は、得の高い天子が世を納める時に姿を現すと考えられていた、想像上の瑞鳥です。雄を鳳、雌を凰というそうです。梧桐(あおぎり)に棲み、霊泉を飲み、飛べば群鳥が従う鳥王とも呼ばれました。
「十畝の間」の床の間の下、床框(とこがまち)にも鳳凰が描かれています。
鳳凰の他にも「龍」が描かれていますが、どちらも時の経過とともに螺鈿(らでん)がうっすらとその輪郭を残すのみとなっています。時の流れを感じさせます。
ホテル雅叙園東京のシンボルマークでもある龍(りゅう)は、水中にすみ、雲を起こして空中を飛翔し、雨を呼ぶ霊力があるとされる想像上の動物です。進取や飛躍の気に富んだおめでたい瑞獣として尊ばれています。
「十畝の間」の天井画、荒木十畝(あらきじっぽ)画「五位鷺」です。
五位鷺(ごいさぎ)の「五位」は官位の「五位」を示しています。醍醐天皇から「五位」の位を賜ったという故事に由来します。
荒木十畝「雁」です。
美しい姿で隊列を成して飛翔する鴈(がん/かり)は、柴田勝家や真田家の家紋にも使われるなど吉祥の鳥として武人にも親しまれていました。
荒木十畝「山鳥」です。
雉(きじ)などの尾の長い鳥は鳳凰に通じるものとして縁起がかつがれます。
百段階段の天井に描かれている、川手青郷(かわてせいごう)画「叭々鳥」です。
叭々鳥(ははちょう)はムクドリ科の鳥で、飛ぶ時に翼に八の字の斑が見えるためその名が付いたといわれます。吉祥鳥とされ、水墨花鳥画の主題として流行しました。
「草丘の間」の天井画、磯部草丘(いそべそうきゅう)の「千鳥」です。
千鳥(ちどり)と波を合わせた「波千鳥」は文様としても広く知られ、「ともに荒波を乗り越えていく」という意味から、夫婦円満や家内安全などの想いが込められています。
「静水の間」にある、長嶋華涯(ながしまかがい)画「鶯」です。
鶯(うぐいす)は「春告鳥」とも呼ばれ、春を知らせる縁起の良い鳥です。鮮やかな椿の赤と鶯の緑の対比が印象的な絵です。
池上秀畝(いけがみしゅうほ)画「鶴」です。
末広がりで縁起の良い形とされる扇に描かれた「鶴(つる)」です。
鶴はその優美な姿が画題として好まれ、瑞鳥(ずいちょう)、千鶴(せんかく)とも呼ばれ亀と共に長寿の象徴とされています。
私たちにとって身近な鳥や動物たちも吉祥の象徴として描かれています。
「草丘の間」にある磯部草丘(いそべそうきゅう)画「鳩」です。
愛と平和の象徴とされる「鳩(はと)」ですが、全国の八幡宮では鳩を神の使いと考え、吉祥をもたらす鳥として大切にされてきました。
磯部草丘(いそべそうきゅう)画「雀」です。
日本全国どこでも見られるごく一般的な鳥ですが、雀(すずめ)は厄をついばむ、災難を食べつくすとして家内安全の象徴といわれています。
「静水の間」にある、長嶋華涯(ながしまかがい)画「燕」です。
藤の花と共に燕(つばめ)が描かれています。
燕は鶯と同様に春を告げる瑞鳥です。燕は害虫を食べる益鳥とされ、海の彼方にある理想郷、常世の国を往来するとも信じられ、縁起の良い鳥とされています。
「静水の間」に描かれている、長嶋華涯(ながしまかがい)画「栗鼠と葡萄」です。
栗鼠(りす)は多産である鼠(ねずみ)に似ていることから子孫繁栄を象徴する動物として尊ばれました。たくさんの実をつける葡萄(ぶどう)も子孫繁栄を意味することから、栗鼠と葡萄の組み合わせは吉祥画題とされました。「武道(ぶどう)」を「律す(りす)」につながるという語呂合わせで、武家社会でも好まれたということです。
長嶋華涯(ながしまかがい)画「蛙」です。
蛙(かえる)は、卵をたくさん産むことから子宝や繁盛の象徴として信仰されて、「帰る」「還る」「変える」などとさまざまな語呂合わせにも通じます。
「星光の間」の天袋に描かれている、板倉星光(いたくらせいこう)画の「蝶」です。
百段階段入口のエレベーターの扉にも蝶(ちょう)が描かれていますが、蝶は長寿を象徴するといわれています。
「星光の間」の欄間絵、板倉星光(いたくらせいこう)が描いた「蟷螂」です。
葡萄の絵の傍らに蟷螂(かまきり)が描かれています。蟷螂は出世を寓意するといわれ、また、中国の故事から勇気ある虫ともいわれています。
「星光の間」の襖絵に、板倉星光が「鶉」を描いています。
鶉(うずら)は、安らかさを象徴する鳥といわれています。
鶉は室町時代には観賞用に飼育されていたといいます。鳴き声を日本語に置き換えた表現(聞きなし)として「御吉兆」などがあり珍重されたとされ、その吉兆の声で士気を高めるため、籠に入れた飼育状態のまま戦場に持ち込まれたこともあったといいます。
八宝菜などに入ったウズラの卵は、口の中に幸せを呼び込みます。
ホテル雅叙園東京・百段階段にある「吉祥の鳥や動物など」を集めてみました。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」では、これら「吉祥」に関わる絵画や建築意匠を100点選び、やさしい解説付きで案内しています。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」開催概要
開催会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」
開催期間:2021年1月1日(金・祝) - 3月14日(日)
休館日:2月1日(月) ※展示替えのため
※1月1日~31日までは打掛を、2月2日~3月14日までは桃の節句の装飾を展示
開催時間:12:30~18:00(最終入館17:30)
観覧料金:一般 ¥1,000 学生 ¥500 ※要学生証呈示 未就学児無料
施設内は階段での移動となります。車椅子、シルバーカー、ベビーカーなどは利用できません。
会場は和室のため、靴を脱いでの見学となります。(素足を避け、靴下などを着用)
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
百段階段の「松竹梅」 ― 2021年01月23日 14時41分50秒
ホテル雅叙園東京(旧:目黒雅叙園)で「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」というイベントが開催されています。
今回の企画では、250枚の日本画と建築意匠に囲まれた百段階段の絢爛豪華な装飾の中から、健康や長寿、富貴といった縁起もの(吉祥)に関わる意味や願いを込めて制作されたものを100点選び出して紹介しています。
※ 吉祥模様の打掛 (1月20日)
※ エレベーターの唐獅子牡丹 (1月21日)
※ 一富士二鷹三茄子 (1月22日)
とアップして来たので、今日は慶事・吉祥のシンボル「松竹梅」に関わる美術品をアップします。
「松竹梅」は日本では祝い事の席で謡われたり、引出物などの意匠にも使われてきました。中国の文人場で好まれる「歳寒三友」が日本に伝わったものです。
「漁礁の間」にある柱、樹齢約300年、直径約60㎝の巨木に深く掘り込まれた尾竹竹破(おたけちくは)原画、盛鳳嶺(さかりほうれい)彫刻による「漁礁問答」という彫刻作品の一部です。
「松」は、風雪や厳寒に耐えて緑を保ち大木になることから長寿の象徴とされています。
同じく、尾竹竹破(おたけちくは)原画、盛鳳嶺(さかりほうれい)彫刻による木彫りの天井画です。
廊下の窓の隅板(格子組を補強するために四隅に付ける力板)にも松が描かれています。
「静水の間」の天井に描かれた、池上秀畝(いけがみしゅうほ)「扇と松」です。
下から上に向かって大きく広がる扇の形は末広がりを意味し、縁起の良い形とされています。
百段階段では、おめでたい扇面画が148枚も描かれています。
同じく池上秀畝の「扇と筍」です。筍(タケノコ)が竹と一緒に描かれています。
筍は繁殖力が強く、子孫繁栄の力があるとされています。昭和の終わりごろまでは目黒は筍の産地として有名だったそうです。
下は、「星光の間」の欄間(らんま)に描かれた板倉星光(いたくらせいこう)画「筍」です。
竹は幹がまっすぐで堅く、中は中空で隠す所がなく、葉も常緑であることから吉祥文様として好まれてきました。
尾竹竹破(おたけちくは)原画、盛鳳嶺(さかりほうれい)彫刻による木彫りの天井画です。「漁礁の間」にあります。
こちらも尾竹竹破(おたけちくは)原画、盛鳳嶺(さかりほうれい)彫刻による木彫りの天井画で、「紅梅」です。
早春に他の花に先駆けて咲く梅は古来より風流人に愛されてきました。松、竹とともに厳しい冬に耐える植物として尊ばれ、吉祥画題の代表格とされています。
また、梅は「好文木」の異名を持ち、学問の神様として祀られる菅原道真も梅を好みました。
荒木十畝(あらきじっぽ)の天井画「梅」です。
「草丘の間」の天井に描かれた、磯部草丘(いそべそうきゅう)画の「梅と鵲」です。
鵲(カササギ)は、七夕伝説で織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)の愛の掛け橋となる縁起の良い鳥とされています。
ホテル雅叙園東京・百段階段にある「松・竹・梅」を集めてみました。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」では、これら「吉祥」に関わる絵画や建築意匠を100点選び、やさしい解説付きで案内しています。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」開催概要
開催会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」
開催期間:2021年1月1日(金・祝) - 3月14日(日)
休館日:2月1日(月) ※展示替えのため
※1月1日~31日までは打掛を、2月2日~3月14日までは桃の節句の装飾を展示
開催時間:12:30~18:00(最終入館17:30)
観覧料金:一般 ¥1,000 学生 ¥500 ※要学生証呈示 未就学児無料
施設内は階段での移動となります。車椅子、シルバーカー、ベビーカーなどは利用できません。 会場は和室のため、靴を脱いでの見学となります。(素足を避け、靴下などを着用)
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
一富士二鷹三茄子@百段階段 ― 2021年01月22日 12時44分44秒
ホテル雅叙園東京(旧:目黒雅叙園)で「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」というイベントが開催されています。
今回の企画では、250枚の日本画と建築意匠に囲まれた百段階段の絢爛豪華な装飾の中から、健康や長寿、富貴といった縁起もの(吉祥)に関わる意味や願いを込めて制作されたものを100点選び出して紹介しています。
※ 吉祥模様の打掛
とアップして来たので、今日はおめでたい「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」に関わる美術品をアップします。
「一富士二鷹三茄子」は、夢、特に初夢に見ると縁起が良いとされるものを、めでたい順に並べた句といわれています。
その語源については諸説ありますが、
1) 駿河国(するがのくに=静岡県中央部)の諺で、駿河の名物を順にあげたとする説。
江戸時代の国語辞書『俚言集覧(りげんしゅうらん)』に、駿河の名物を「一富士二鷹三茄子四扇五煙草六座頭」と書かれているといいます。
2) 徳川家康があげた駿河の国の高いものの順位とする説
一に富士、二に愛鷹(あしたか)山(足高山)、三に初茄子の値段といったことに由来するといいます。
3) 富士は高く大きく「不死」「無事」につながり、鷹は良い運をつかみ取るまたは「高」から立身出世、茄子は「(大願を)成す」に通じ、実がたくさん生ることから子孫繁栄など、それぞれ縁起の良い物とする説
などがあります。
百段階段の「富士・鷹・茄子」を集めてみました。
一、「富士」
橋本静水(はしもとせいすい)の天井画、「富士山」です。 「静水の間」にあります。
鏑木清方(かぶらききよかた)の欄間絵です。「清方の間」控えの間にあります。
今はホテル雅叙園東京と目黒駅を結ぶ「行人坂(ぎょうにんさか)」は江戸時代には富士山を望むのに絶好の場所だったということです。
「清方の間」入口の組子細工の富士山です。左下に二本の線が残されていますが、かつては舟が表わされていたのではないかといわれています。
館内装飾の美術品ではありませんが、会期中の特別展示品「粋彩切子ぐい呑み逆さ富士」です。
江戸時代からの伝統の切子(きりこ)を施し仕上げは全て手磨きで行われたぐい呑みです。
真上から見ると花火の模様になり、逆さまに置くと富士山になります。
二、「鷹」
荒木十畝(あらきじっぽ)の天井画「クマタカ」です。 「十畝の間」にあります。
磯部草丘(いそべそうきゅう)の天井画「大鷹」です。
武勇や正義の象徴であり英雄を表すモチーフの大鷹が太陽を背にして、さらに威風堂々とした姿で描かれています。 「草丘の間」にあります。
三、「茄子」
百段階段の一番下の方、階段途中の天井に描かれた、奥村玲瓏(おくむられいろう)画「茄子」です。
ホテル雅叙園東京・百段階段にある「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」を集めてみました。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」では、これら「吉祥」に関わる絵画や建築意匠を100点選び、やさしい解説付きで案内しています。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」開催概要
開催会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」
開催期間:2021年1月1日(金・祝) - 3月14日(日)
休館日:2月1日(月) ※展示替えのため
※1月1日~31日までは打掛を、2月2日~3月14日までは桃の節句の装飾を展示
開催時間:12:30~18:00(最終入館17:30)
観覧料金:一般 ¥1,000 学生 ¥500 ※要学生証呈示 未就学児無料
施設内は階段での移動となります。車椅子、シルバーカー、ベビーカーなどは利用できません。
会場は和室のため、靴を脱いでの見学となります。(素足を避け、靴下などを着用)
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
「百段階段の百の縁起もの」 ホテル雅叙園東京 2 ― 2021年01月21日 10時23分10秒
ホテル雅叙園東京(旧:目黒雅叙園)で「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」というイベントが開催されています。
「百段階段」は、1935(昭和10)年に建設され当時は宴会場として利用されていた建物が、当館で現存する唯一の木造建築として残されて保全活動が行われています。
2001年に国の登録有形文化財に、そして2009年には東京都有形文化財に指定されています。
今回の企画では、250枚の日本画と建築意匠に囲まれた百段階段の絢爛豪華な装飾の中から、健康や長寿、富貴といった縁起もの(吉祥)に関わる意味や願いを込めて制作されたものを100点選び出して紹介しています。
昨日は展示されている吉祥模様の打掛をアップしましたが、今日は1階のエントランスから3階の百段階段入口に上るエレベーターの紹介です。
このエレベーターには唐獅子、牡丹、蝶が描かれています。
これらの装飾は、貝殻の内側(虹色光沢を持った真珠層の部分)を切り出した板状の素材を、漆地や木地の彫刻された表面にはめ込む手法、「螺鈿細工(らでんざいく)」で創られています。
螺は貝、鈿はちりばめることを意味します。
エレベーター内部から見た、ドア側の装飾です。
ドアに向かって右側には唐獅子と牡丹が描かれています。
獅子は百獣に君臨する王といわれ、勇猛さや威厳の象徴でもあります。 百花の長といわれる牡丹との組み合わせで「唐獅子牡丹」として描かれます。
奥には見事に咲く牡丹が描かれています。牡丹は富貴の象徴とされる花です。
獅子と牡丹の関係は、仏教では獅子は文殊菩薩(もんじゅぼさつ)に従い牡丹の花を食すとか、能楽では牡丹の咲き乱れる間を獅子が跳ね舞い千秋万歳(せんしゅうばんぜい)を寿ぐなど、多くの場面で説かれています。
ドアに向かって左側です。エレベーター天井の照明が反射してしまっていますが、螺鈿細工がキラキラと輝きます。
3階、百段階段入口から見たエレベーターのドアです。
1階のドアにも描かれていましたが、蒔絵で表された蝶が舞い飛んでいます。
蒔絵(まきえ)は、漆器の表面に漆で絵や文様、文字などを描き、それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を「蒔く」ことで器面に定着させる技法です。
蝶は中国語で八十歳を意味する「耋(てつ)」に音が通じることから長寿を象徴し、牡丹との組み合わせで「富貴長寿(ふうきちょうじゅ)」を表します。
「耋(てつ)」は「老」の下に「至」と書きます。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」開催概要
開催会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」
開催期間:2021年1月1日(金・祝) - 3月14日(日)
休館日:2月1日(月) ※展示替えのため
※1月1日~31日までは打掛を、2月2日~3月14日までは桃の節句の装飾を展示
開催時間:12:30~18:00(最終入館17:30) 観覧料金:一般 ¥1,000 学生 ¥500 ※要学生証呈示 未就学児無料
施設内は階段での移動となります。車椅子、シルバーカー、ベビーカーなどは利用できません。
会場は和室のため、靴を脱いでの見学となります。(素足を避け、靴下などを着用)
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
「百段階段の百の縁起もの」 ホテル雅叙園東京 ― 2021年01月20日 10時23分00秒
ホテル雅叙園東京(旧:目黒雅叙園)で「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」というイベントが開催されています。
東京都の有形文化財に指定されている「百段階段」は、ホテル雅叙園東京の前身である目黒雅叙園3号館にあたり、1935(昭和10)年に建てられた当館で現存する唯一の木造建築です。
"昭和の竜宮城"と呼ばれた当時の目黒雅叙園の建物の特徴は、装飾の破格な豪華さにあります。
今回の企画では、250枚の日本画と建築意匠に囲まれた百段階段の絢爛豪華な装飾の中から、健康や長寿、富貴といった縁起もの(吉祥)に関わる意味や願いを込めて制作されたものを100点選び出して紹介しています。
平日ならば平常時でも広い館内は閑散としていて、人と密になることはまず無いホテル雅叙園東京の、日本画に囲まれた館内や滝があり鯉が泳ぐ庭園を散策するのは、私にとっては癒しになります。
百段階段やレストラン、ショップなどを利用すれば駐車料金が3時間無料になるので、車で行けば移動時に感染することもありません。
百段階段は7つの部屋を99段の階段廊下で繋いでいますが、平日で開場直後なので、どの部屋に行っても私一人か、稀に他に一組(1人か2人)しかいない状態でした。
入場時の手指の消毒と検温も徹底しています。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」は1月1日から3月14日まで開催されていますが、百段階段の吉祥モチーフの紹介のほかに、1月1日~31日までは打掛を、2月2日~3月14日まではつるし飾りをはじめとした桃の節句の装飾を展示する予定です。
今日は打掛の展示をアップします。
会場入り口にも打掛が展示されています。
鶴や松・竹・梅、牡丹など、煌びやかな吉祥柄が全体にちりばめられた、豪華絢爛な打掛です。
「草丘の間」に展示されている打掛です。部屋の欄間と天井には磯部草丘(1897-1967)による四季山水画が描かれています。
「頂上の間」の広い空間にも吉祥柄の打掛が展示されています。
日本が世界に誇れる伝統芸術です。
「初春の文化財見学 百段階段の百の縁起もの」開催概要
開催会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財 「百段階段」
開催期間:2021年1月1日(金・祝) - 3月14日(日)
休館日:2月1日(月) ※展示替えのため
※1月1日~31日までは打掛を、2月2日~3月14日までは桃の節句の装飾を展示
開催時間:12:30~18:00(最終入館17:30)
観覧料金:一般 ¥1,000 学生 ¥500 ※要学生証呈示 未就学児無料
施設内は階段での移動となります。車椅子、シルバーカー、ベビーカーなどは利用できません。
会場は和室のため、靴を脱いでの見学となります。(素足を避け、靴下などを着用)
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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