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国立西洋美術館「キュビスム展 美の革命」2023年11月05日 11時41分41秒

上野の国立西洋美術館で「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展 ― 美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」が開催されています。
国立西洋美術館「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」

会場入り口にはイラストレーター WALNUT さんが描いた大きなパネルが展示してあります。フォトスポットしてもかわいいですね。
国立西洋美術館「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」

チラシです。
国立西洋美術館「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」

20世紀初頭、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックという2人の芸術家によって生み出されたキュビスムは、西洋美術の歴史にかつてないほど大きな変革をもたらしました。その名称は、1908年にブラックの風景画が「キューブ(立方体)」と評されたことに由来します。
キュビスム(仏: Cubisme; 英: Cubism)は、キュビズム、キュービズム、立体派などとも言われます。
国立西洋美術館「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」
フランスのジョルジュ・ポンピドゥー元大統領によって構想され、1977年に開館したポンピドゥーセンターは、パリの中心部にある複合文化施設です。中核を占める国立近代美術館・産業創造センターは世界屈指の近現代美術コレクションを誇り、キュビスムの優品を数多く収蔵しています。

本展では、ポンピドゥーセンターからキュビスムの重要作品が多数来日し、そのうち50点以上が日本初出品です。主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など約140点を通して、20世紀美術の真の出発点となったキュビスムの豊かな展開とダイナミズムを紹介しています。

【 1 キュビスム以前̶その源泉 】
19世紀後半から20世紀初頭、ポール・セザンヌ、ポール・ゴーガン、アンリ・ルソーは、キュビスムの誕生にあたって重要な役割を果たしました。

ポール・セザンヌ  《ポントワーズの橋と堰》 1881年 油彩 / カンヴァス 国立西洋美術館蔵

ポール・ゴーガン 《海辺に立つブルターニュの少女たち》 1889年 油彩 / カンヴァス 国立西洋美術館蔵(松方コレクション)

【 2 「プリミティヴィスム」 】
プリミティヴィスムとは直訳すれば原始主義です。原始的なものに対する関心、趣味、その研究、影響などを意味します。絵画や陶器にタヒチのモチーフを取り入れたゴーガン、アフリカ民芸から影響を受けたピカソが代表的なプリミティヴィスムの作家といわれています。

パブロ・ピカソ 《女性の胸像》 1907年6–7月 油彩 / カンヴァス ポンピドゥーセンター/国立近代美術館・産業創造センター蔵
注) 以降、ポンピドゥーセンター/国立近代美術館・産業創造センターは「MNAM-CCI」と略記します。

ジョルジュ・ブラック 《大きな裸婦》 1907年冬 – 1908年6月 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

【 3 キュビスムの誕生 ― セザンヌに導かれて 】
ブラックは、セザンヌが制作した地として知られるレスタックに4回滞在し、セザンヌに応答する作品を描きました。その過程で、彼の作品はキュビズムの始まりを告げる新たな表現へと大きく変化します。

ジョルジュ・ブラック 《レスタックの高架橋》 1908年初頭 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

【 4 ブラックとピカソ ― ザイルで結ばれた二人(1909–1914) 】
1908年頃、ブラックとピカソは毎日のようにお互いのアトリエを訪ねるほど交流を深めました。ブラックは「私たちはザイルで結ばれた登山者のようでした」と回想しています。

ポンピドゥーセンターを代表するピカソの傑作といわれる絵画です。
パブロ・ピカソ 《肘掛け椅子に座る女性》 1910年 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

ジョルジュ・ブラック 《ヴァイオリンのある静物》 1911年11月 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

会場風景

【 5 フェルナン・レジェとフアン・グリス 】
キュビスムは、新しい表現を求める若い芸術家たちの間に瞬く間に広がり、多くの追随者を生み出しました。中でもレジェとグリスの二人はキュビスムの発展に欠かせない芸術家であるとされています。

フアン・グリス 《ヴァイオリンとグラス》 1913年 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

フェルナン・レジェ 《縫い物をする女性》 1910年 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

【 6 サロンにおけるキュビスム 】
若いキュビストたちは、年一回開催される公募による大規模な展覧会(サロン)で多くの作品を発表し、話題となりました。彼らは今では「サロン・キュビスト」と呼ばれています。

アルベール・グレーズ 《収穫物の脱穀》 1912年 油彩 / カンヴァス 国立西洋美術館蔵

【 7 同時主義とオルフィスム ―  ロベール・ドローネーとソニア・ドローネー 】
ロベール・ドロネーと妻のソニア・ドロネーはフランスの化学者ミシェル=ウジェーヌ・シュヴルールによる「色彩の同時対照の法則」(1839年)に依拠しながら色彩同士の対比効果を探求し、「同時主義(ミシェルタネイスム)」という独自の概念を打ち立てました。
「オルフェウス的(詩的)キュビスム」の発明者といわれ、「オルフィスム」という名称が生まれました。

幅4メートルにもおよぶロベール・ドローネーの《パリ市》は、ポンピドゥーセンターを象徴する大作のひとつです。本邦初公開となります。
ロベール・ドローネー 《パリ市》 1910–1912年 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI
展示風景

ソニア・ドローネー 《バル・ビュリエ》 1913年 油彩 / マットレス・カバー MNAM-CCI

【 8 デュシャン兄弟とピュトー・グループ 】
デュシャン兄弟がパリ郊外のピュトーに構えたアトリエには、サロン・キュビストの芸術家たちが1911年頃から毎週日曜日に集い、彼らは「ピュトー・グループ」と呼ばれました。

マルセル・デュシャン 《チェスをする人たち》 1911年12月 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

レイモン・デュシャン = ヴィヨン 《座る女性》 1914年 ブロンズ MNAM-CCI

【 9 メゾン・キュビスト 】
1912年、サロン・ドートンヌに「メゾン・キュビスト(キュビスムの家)」が展示され、キュビスムを建築や室内装飾へと展開する試みがなされます。

【 10 芸術家アトリエ「ラ・リュッシュ」 】
モンパルナスの集合アトリエ「ラ・リュッシュ(蜂の巣)」には、フランス国外から来た若く貧しい芸術家たちが集うようになり、最先端の芸術活動であったキュビスムを吸収しながら、独自の前衛的な表現を確立していきます。

コンスタンティン・ブランクーシ 《 眠れるミューズ》 1910年 磨かれたブロンズ MNAM-CCI

マルク・シャガール 《白い襟のベラ》 1917年 油彩 /リネンのカンヴァス MNAM-CCI

アメデオ・モディリアーニ  《女性の頭部》 1912年 石灰石 MNAM-CCI

【 11 東欧からきたパリの芸術家たち 】
キュビスムの運動には、ロシアやウクライナといった東欧出身の芸術家が多く関わっていました。

レオポルド・シュルヴァージュ 《カップのある静物》 1913年 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

【 12 立体未来主義 】
ロシアでは、フランスのキュビスムとイタリアの未来派がほぼ同時期に紹介され、この二派から影響を受けた「立体未来主義」が展開しました。

 ナターリヤ・ゴンチャローワ 《帽子の婦人》 1913年初頭 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

【 13 キュビスムと第一次世界大戦 】
1914年に勃発した第一次世界大戦では、フランス人芸術家の多くが前線に送られた一方、非交戦国スペイン出身の画家や女性画家が大戦中のキュビスムを担いました。

パブロ・ピカソ 《若い女性の肖像》 1914年7–8月 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

アルベール・グレーズ 《戦争の歌》 1915年 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

【 14 キュビスム以後 】
戦争が終結して間もない1918年末、アメデ・オザンファンとシャルル・エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルジュビエの本名)は、キュビスムを乗り越え、機械文明の進歩に対応した新たな芸術運動として「ピュリスム(純粋主義)」を宣言しました。
ル・コルジュビエは、この「機械の美学」を建築へと応用し、その建築物17件は「ル・コルビュジエの建築作品 - 近代建築運動への顕著な貢献 -」として世界遺産に登録されており、日本の国立西洋美術館(当館)も含まれています。

ル・コルビュジエ 《静物》 1922年 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI

パブロ・ピカソ 《輪を持つ少女》 1919年春 油彩、砂 / カンヴァス MNAM-CCI

ジョルジュ・ブラック 《ギターと果物皿》 1919年 油彩 / カンヴァス MNAM-CCI,

※各章の説明の多くは展覧会場に掲示の説明文より要約引用しています。

展覧会公式図録はA4変形、336ページで3500円(税込)です。出品作品約140点をフルカラーで収録し、日仏の研究者による充実のテキスト群でキュビスムの豊かな展開とダイナミズムを紹介しています。


「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展 ― 美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」開催概要
開催会場:国立西洋美術館 企画展示室
開催期間:2023年10月3日(火)~ 2024年1月28日(日)
休館日:月曜日(2024年1月8日(月・祝)は開館)、12月28日(木)~12月31日(日)、1月9日(火)
開館時間:9:30~17:30  毎週金・土曜日は9:30~20:00  ※入館は閉館の30分前まで
観覧料金:一般2,200円、大学生1,400円、高校生1,000円
  ※中学生以下は無料。 
  ※心身に障害のある方及び付添者1名は無料。 
  ※一般以外は要証明
  ※11月14日(火)~11月26日(日)は高校生無料観覧日(ただし11月20日(月)は休館)。学生証を提示。
  ※観覧当日に限り本展観覧券で常設展も観覧できます。
料金について詳細はこちら
ポンピドゥーセンター公式サイトはこちら。(日本語インフォメーションもあります)

本展は2024年3月20日(水・祝)~7月7日(日)、京都市京セラ美術館に巡回します。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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