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フェイ(Faye) バラ2021年08月17日 10時43分54秒

フェイ(Faye)
フェイ(Faye) バラ
作出年:2011年 作出国:イギリス(マチュウス ) 系統:フロリバンダ [ F: Floribunda ]

フェイ(Faye) バラ

サントリー美術館 開館60周年記念展 「ざわつく日本美術」2021年08月17日 17時17分17秒

東京ミッドタウンにあるサントリー美術館が、開館60周年記念展 「ざわつく日本美術」を開催しています。
「ざわつく日本美術」。ちょっと変わったタイトルです。
絵画、彫刻、陶磁器などの美術品を見た時に、「えっ?」「おっ!」「うわぁ…」などと感じたことはないでしょうか?
本展では、そうした「心のざわめき」を起点に、思わず「心がざわつく」ような展示方法や作品を通して、「この作品のどこにざわつくのだろう?」と掘り下げつつ日本美術作品を紹介しています。

本展は6つの章で構成され、「うらうらする」、「ちょきちょきする」、「じろじろする」、「ばらばらする」、「はこはこする」、「ざわざわする」という、展示テーマを見ただけでもざわついてしまう、今までに見たことも無いユニークな切り口で作品を紹介しています。

サントリー美術館 開館60周年記念展 「ざわつく日本美術」
「心ざわつく」作品としてプロローグに展示された《尾上菊五郎》です。
明治8年(1875)頃に発売された5代目尾上菊五郎の役者絵ですが、浮世絵を見慣れていた当時の人々にとってはあまりにもリアルだったために受け入れられず、不評に終わったといいます。
本作には当時最先端の印刷技術「砂目石版(すなめせきはん)が用いられています。
表面をあえてざらざらにした版面に写実的な肖像を転写することで、独特の陰影表現が生まれています。


第1章 うらうらする

いつもは正面や表面を向いて展示される作品をひっくり返すと、思いがけない顔に出会えます。
そうした「裏の顔」は時として、作品の秘めた本性をも教えてくれます。

重要文化財 《色絵五艘船文独楽形鉢》 有田 一口 江戸時代 18世紀
五隻のオランダ船の文様をうつわの内外に配した作品で、底裏に「寿」の一文字が記されています。
裏側が反射して見えるように展示されています。
当時の人々が、海を越えて宝物を運んでくるオランダ船を「宝船」に見立てて尊んだことを踏まえると、この「寿」字は、本作の吉祥性を象徴的に表しているとも考えられます。

《吉野絵椀》 江戸時代 18~19世紀
一見すると真っ黒でそっけない椀ですが、ふたを開けると全くの別物に変化します。

《能面 小面》 是閑吉満 桃山時代 16~17世紀
のっぺりとした能面の裏側を見ると、凹凸(おうとつ)の激しさや荒々しいノミ跡に思わず「あっ」と驚かされます。
裏面左上の焼印には「天下一是閑」と記されています。この焼印は、豊臣秀吉から「天下一」の称号を授かった、面打の名人・是閑吉満(ぜかんよしみつ)が用いたものといわれています。


第2章 ちょきちょきする

いま目の前にある姿が、その作品の制作当初の姿とは限りません。美術品にはしばしば、「切断」された歴史があります。

《舞踊図》 六面 江戸時代 17世紀
本作は現在は一人ずつ額装されていますが、本来は六曲屏風であったと推測されています。
繋がっていた6人の女性の絵が「ちょきちょき」されてしまったんですね。

重要文化財 《佐竹本・三十六歌仙絵 源順》 伝 藤原信実 画 伝 後京極良経 書 一幅 鎌倉時代 13世紀
本作はもともと、平安時代に選ばれた和歌の名手36名の画像に、各人の和歌を書き添えた上下2巻の巻子(かんす)の一部でした。
巻子が歌仙ごとに「ちょきちょき」されて、掛軸に改装されています。

薩摩切子 《紅色被筆筒》(手前)と 《紅色被栓付瓶》 江戸時代 19世紀
手前の作品は円筒形をしていますが、奥の作品と重ねるとぴったりと重なります。
奥の作品と同じ形だったものが、上の部分が壊れてしまったか何かの理由で切り落とし、円筒形の筆筒として仕立て直したものと思われます。


第3章 じろじろする

本章では、細かすぎて見えない部分や剥落していて見えない部分、はたまた「心の目」でしか見えない部分まで、すみずみまで凝視したくなるような作品を紹介しています。

《鍍金龍文螺鈿説相箱》 一双 江戸時代 19世紀
細かい装飾が各所にちりばめられた説相箱(仏教の法会に必要な品々を納める箱)です。
ルーペの向こうに見えるのは、輪繋ぎ文を透かし彫りした金属板の下にオーロラ色の輝きを放つ螺鈿細工です。

重要文化財 《病草紙断簡「不眠の女」》 一幅 平安時代 12世紀
画面全体は明るいのですが、時刻は真夜中です。日本の古美術では、闇そのものを描かず、灯台の火などによって夜を暗示するのが通例だといいます。
小さな灯火に照らされて闇夜に浮かぶ、不眠という病に苦しむ女性の、心のわびしさが胸に迫ります。


第4章 ばらばらする

離れてみてはじめて、お互いが大切な存在であることに気づく・・・、それは作品の場合も同じかもしれません。
身も蓋もない発想ですが、本来セットであるはずの作品を、あえてばらばらに並べてみると、いったい何が見えてくるでしょうか。

「いったいどんな作品の 蓋(ふた)?」という質問と一緒に展示されています。
答えは下の写真、「徳利」です。
《菊秋草蒔絵徳利》 二合 江戸時代 17世紀
徳利には珍しく、蓋が付いています。小さなつまみを花芯に見立て、平蒔絵によって菊花文が描かれています。

重要文化財 《桐竹鳳凰蒔絵文台・硯箱》 一具 桃山時代 17世紀
硯箱の蓋を開けると卵型の水滴があります。小さな羽根が付いているため、鳳凰の卵を意図したものと思われます。
右側に置かれた硯箱の蓋を硯箱にのせると、文台の鳳凰と硯箱の鳳凰が見つめあい、愛の結晶として卵が産まれた、という物語が展開しています。


第5章 はこはこする

大切な美術品を外部の衝撃から守る箱は、大きさや形、材質がさまざまです。また箱には、美術品の価値を左右する文字が記されることもあります。
本章では、作品展示の際には不要になってしまうと思われている「箱」の世界を紹介しています。

鎌倉時代の兼好法師による随筆《徒然草》を、江戸時代に絵画化した全20巻の大作です。
この箱は倹飩箱(けんどんばこ)というタイプで、蓋を外すと5段の引き出しに絵巻が4巻ずつ収納されています。

《徒然草絵巻》 海北友雪 二十巻の内、第八巻 江戸時代 十七世紀
この第八巻には、紐を持ったまま箱を目の前に戸惑っている男性が描かれています。箱の取り扱いにも難しい約束事があったんですね。


第6章 ざわざわする

一見地味に感じられたり、難しいと思われがちな日本美術のなかには、思わず「心がざわつく」ような作品がたくさんあります。
美術品だからといって「美しい」と感じなければならない理由はありません。美術品には、私たちのさまざまな「心のざわめき」を受け止めてくれるような懐の深さがあります。

《放屁合戦絵巻》 一巻 室町時代 文安6年(1449)写 (部分)
半裸の男たちが屁を放ち、その威力を競い合っています。一瞬「えっ?」と目を疑うような光景です。
汚いけど・・・・・おもしろいですね。

《輪花縁氷コップ》 一口 大正~昭和時代 20世紀
この作品に紫外線(ブラックライト)を当てると、コップの部分が緑色の蛍光色に光ります。
微量のウランを含むウランガラスで出来ています。ウランと聞くだけで「ざわざわ」しますね。
昔は紫外線ランプというものはありませんでしたが、夜明け前の空が青色のときには空に紫外線が満ちているので、この時にウランガラスが蛍光を放つのを見て「ざわざわ」していたようです。


図録(カタログ)も「ざわつく図録」になっています。
たとえば、《舞踊図》では「ちょきちょき」して自分で六曲屏風を作る工作ページがあります。
もちろん、6人の絵をばらばらにちょきちょきして一人づつ額装しても構いません。
見るのも楽しくなる「ざわつく図録」です。


開館60周年記念展 「ざわつく日本美術」開催概要
開催期間:2021年7月14日(水)〜8月29日(日)
休館日:火曜日  ※8月24日(火)は18:00まで開館
開館時間:10:00〜18:00
  ※金・土曜日および7月21日(水)・22日(木・祝)、8月8日(日・祝)は、20:00まで開館
  ※いずれも入館は閉館30分前まで
入館料:一般 1,500円、大学・高校生 1,000円、中学生以下 無料
   ※チケットは当日美術館窓口でも購入できます。 
   ※オンラインチケット、各種割引については公式ホームページをご覧ください。



最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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