YAYOI KUSAMA MUSEUM「宇宙からの音響」 ― 2025年05月30日 09時40分13秒
東京都新宿区にある草間彌生美術館(YAYOI KUSAMA MUSEUM)で、草間彌生の芸術の根源ともいえる「病」に着目した展覧会「宇宙からの音響」が開催されています。(8月31日迄)
来館者は殆どが外国人です。草間彌生は日本人よりも、外国の人たちに多く受け入れられているようです。
幼い頃から幻覚や幻聴に悩まされてきた草間彌生にとって、精神疾患はその創作活動に多大な影響を及ぼしています。
1957年の渡米後は、水玉や網目などの無限に反復するパターンですべての存在を覆いつくし、自らもその世界へと埋没していく「自己消滅」の儀式ともいうべき作品群に取り組みます。
水玉、網目模様は今では草間彌生を象徴するアイデンティティとなっています。
チラシの図柄は《ピンク・ドッツ――星の墓場で眠りたい》 1993-94年 アクリル・キャンバス 388×1042.4cm (部分)
本展では初期から現在に至るまでの多様な作品群および関連資料を展示し、草間彌生の、宇宙の果てまでも増幅していく豊饒なる創造力の所産を観ることが出来ます。
会場に入ると、身長4メートルの巨大な《ヤヨイちゃん》と《トコトン》が迎えてくれます。
草間彌生(YAYOI KUSAMA) 《ヤヨイちゃん》 《トコトン》 2013年 ミクストメディア
400×100×260cm / 240×320×130cm
足元もかわいいですね。
4階の部屋はテーブルや書棚、テレビなどが設置された居住空間を構成しており、開催当初は全体が純白の部屋でした。
来館者が入室時に色とりどりの水玉シールを受け取り、思い思いに貼り付けて作品を完成させるという、鑑賞者参加型インスタレーションです。
「たとえば、身体じゅうに水玉をつける。それから、バックもすべて水玉模様にしてしまう。それがセルフ・オブリタレーション(自己消滅)。あるいは、馬に水玉をいっぱいつけて、バックも水玉にすると、馬のフォルムが消えて水玉と同化してしまう。馬の塊が永遠なものに同化していく。そうすると、私自身もオブリタレイトする。」(草間彌生『無限の網-草間彌生自伝』 2012年)
この部屋は会期を通して鑑賞者の手によって水玉で埋め尽くされ、次第に部屋が「消滅」していきます。
草間彌生(YAYOI KUSAMA) 《オブリタレーション ルーム》 2002年-現在 家具・白色ペイント・水玉ステッカー サイズ可変
1966年のヴェネツィア・ビエンナーレで、ジャルディーニ会場の芝生に大量のミラーボールを敷き詰め、世界的注目を集めることになった作品《ナルシスの庭》です。
瀬戸内海に浮かぶ現代アートの島・直島にある「ベネッセアートサイト直島」のアート・ギャラリー「ヴァレーギャラリー」では、建築家・安藤忠雄が設計した建造物とコラボレーションして展示されています。
当館では屋上に展示され、《ナルシスの庭》の向こうに新宿の街並みを見ることが出来ます。
草間彌生(YAYOI KUSAMA)《ナルシスの庭》 1966年/2025年 ステンレス 各φ18cm
エレベーターの中もミラー張りで、たくさんの赤い水玉が浮かんでいました。
鏡は「自己消滅」へと至る、無限の反復と増幅を生み出す装置として、草間彌生の作品の中で多く使用されています。
草間彌生美術館の企画展は、2017年10月から始まった開館記念展から15回目を数えますが、展覧会図録はサイズが統一されているので、書棚にきれいに並びます。
図録のデザインは《ピンク・ドッツ――星の墓場で眠りたい》。 ピンクのドットで目がチカチカします。
草間彌生(YAYOI KUSAMA)「宇宙からの音響」開催概要
開催会場:草間彌生美術館(YAYOI KUSAMA MUSEUM)
開催期間:2025年4月24日(木)~ 8月31日(日)
開館日:木・金・土・日曜日および国民の祝日
休館日:月・火・水曜日(祝日を除く)
開館時間:11:00〜17:30
※日時指定予約制 毎月1日10:00(日本時間)に翌々月分のチケット販売を開始
観覧料金:一般 1,100円 小中高生 600円 未就学児無料
チケットは公式チケットサイト(こちら)へ
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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