鴻池朋子 ちゅうがえり Tomoko Konoike FLIP ― 2020年08月01日 09時07分05秒
東京都中央区京橋にある「アーティゾン美術館(旧 ブリヂストン美術館)」で、鴻池朋子の展覧会「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり (Tomoko Konoike FLIP)」が開催されています。
「ジャム・セッション」は、今年1月に開館したアーティゾン美術館のコンセプト「創造の体感」を体現する展覧会です。 アーティストと学芸員が共同して、石橋財団コレクションの特定の作品からインスパイアされた新作や、コレクションとアーティストの作品のセッションによって生み出される新たな視点による展覧会を構成します。 過去から現代、次代へ向けての架け橋となるプロジェクトを目指し、今後、毎年一回開催する予定です。
そのシリーズ第1回に、鴻池朋子さんが迎えられました。
鴻池朋子(こうのいけ ともこ)は、1960年秋田県生まれで、1985年に東京芸術大学美術学部 絵画科 日本画専攻を卒業しました。
玩具会社での企画デザインや、インテリア雑貨店の企画室に勤めて雑貨や家具のデザインを手がけたのち、1998年より絵画、彫刻、パフォーマンス、アニメーション、絵本などの様々なメディアを用いて、現代の神話(動物が言語を獲得するまでの物語)を、地形や場とのサイトスペシフィック( Site-specific )なトータルインスタレーションで表現し、人間学/動物学、おとぎ話、考古学、民俗学などと学際的に対話を重ねて、エネルギーと芸術の問い直しを試みている美術家です。
「瀬戶内国際芸術祭2019」で、2019年6月から2020年2月まで香川県高松市の離島、大島に展示された《 皮トンビ 》。
大島にある国立ハンセン病療養所の裏山で長く閉ざされていた山道を切り開いて設置されました。
大島の西には、桃太郎伝説の鬼ヶ島とされる女木島、南には屋島の戦いで知られる屋島、東には小豆島があります。
《 皮トンビ 》 2019 牛革、アクリル、クレヨン 4m×12m (部分)
森の中に置かれた《 皮トンビ 》は、カミーユ・コローの作品をインスパイアする作品です。
カミーユ・コロー 《 オンフルールのトゥータン農場 》 アーティゾン美術館蔵
『鴻池朋子は、絵画、彫刻といった従来の美術技法の他に、旅という時間と移動、歌や語りという音声言語、玩具や手芸などという身近な生活の行為や手立てをメディアとして、狩猟採集という人間の文化の「原型」というものを再考し、芸術の根源的な問い直しを続けてきました。』
(『 』内はアーティゾン美術館館長「ごあいさつ」より引用)
展示会場に入ると、視覚、聴覚、嗅覚、触覚という五感に迫ってくる迫力が感じられます。
《 オオカミ皮絵キャンバス 》 2016年 牛皮 水彩 カンヴァス
《 赤熊 》 2020年 シナベニヤ 水性ステイン
《 後の部屋 》 2009年 オオカミの毛皮
鴻池朋子が作品に使うのは、モンゴルで害獣として年間何万頭も殺される狼や、日本でも害獣駆除で狩猟されたヒグマやエゾシカ、アザラシなどの毛皮です。
北海道に古くからある毛皮のなめし工場と付き合いがあり、そこの社長さんが送ってくれるということです。
クールベの《 雪の中を駆ける鹿 》。 この鹿は漁師に追われているのか、狼に狙われているのか。対作品とされる絵(個人蔵・ニューヨーク)では、銃で撃たれて雪上に横たわっている鹿が描かれているということです。
ギュスターヴ・クールベ 《 雪の中を駆ける鹿 》 アーティゾン美術館蔵
襖絵とスロープ円空間周辺に、クールベの絵画、石や毛皮などの触覚の森、影絵、遠吠え音が響きます。
中央にある滑り台は実際に滑ることが出来ます。滑り台を滑ると、遠のいていく展示物と迫りくる襖絵が新たな感覚を呼び起こします。
《 襖絵 》 2020年 インスタレーション
《 山ジオラマ 》 2013年
《 ドリームハンティンググラウンド 》 2018年 カービング壁画 シナベニヤ 水彩 364cm×910cm
TOKYO2020公式アートポスターの原画です。
ポスターでは少女の絵の右下に、横に展示されているハチの絵が組み込まれています。
回転軸に備えられた車輪が回る影絵の作品です。昆虫や動物たちが楽しそうに走り回ります。
アーティゾン美術館蔵は旧名「ブリヂストン美術館」でした。展覧会の依頼が来た時、鴻池朋子さんに最初に浮かんだイメージは、タイヤの丸い輪っかが地面を蹴って走っている光景だったといいます。
《 影絵灯篭 》 2020年 インスタレーション
刺しては縫うものがたり 「物語るテーブルランナー」プロジェクト
鴻池朋子さんが展覧会で各地を旅するようになり、行く先々の自然や人との出会いから生れた、個人の物語を手で縫うプロジェクトです。個人的な話を語った本人が、鴻池さんの下絵を型紙として手芸でランチョンマット大の作品を制作しています。国内や海外で制作された230点程の作品の中から展示しています。それぞれの物語はカードケースの中に収められて、自由に読むことが出来ます。
アルフレッド・シスレーの《 森へ行く女たち 》と共に展示されています。
《 古木フレーム 鹿 ペンスクラッチ 》 2018年
絵本「みみお」原画 2001年 鉛筆 紙
《 狼頭巾 》 2015年 鉛筆 紙
どこからともなく聞こえてくる「ドラえもんの歌」・・・
《 映像 北の長持唄 ドラえもんの歌 カレワラ 》 2017-2018 森吉山(秋田県)
インタビュー、リサーチ、行動、人間をはじめとする生物との対話、構想、試行錯誤・・・鴻池朋子さんの作品には幅広い体験に基づいた、人間の文化の「原型」が見えてくるのです。
展示作品には作品名や技法・材質などの表示は一切ありません。
会場の空気をそのまま五感で感じ取ることが出来ます。お近くの方はぜひ足を運んで「鴻池朋子の世界」を体感してください。
「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×鴻池朋子 鴻池朋子 ちゅうがえり (Tomoko Konoike FLIP)」開催概要
開催会場:アーティゾン美術館 6 階展示室
開催期間:2020年6月23日[火] - 10月25日[日] (コロナ禍により会期が変更されています)
休館日:月曜日(8月10日、9月21日は開館)、8月11日、9月23日
開館時間:10:00 - 18:00 (祝日を除く毎週金曜日は20:00まで /当面の間、中止)
※入館は閉館の 30 分前まで
入館料:一般 WEB予約1,100円 当日窓口販売1.500円
大学生・専門学校生・高校生は無料ですが日時指定の予約が必要
中学生以下 無料、予約も必要なし
障がい者手帳をお持ちの方と付き添い1名 無料ですが日時指定の予約が必要
※ウェブ予約チケットは各入館時間枠の終了10分前まで販売
※当日チケットはウェブ予約チケットが完売していない場合のみ販売
※この料金で同時開催の展覧会3会場を全て観覧できます
チケット詳細は公式サイトにて確認して下さい。
現在アーティゾン美術館では本展の他に5階展示室で「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展 日本館展示帰国展 Cosmo- Eggs| 宇宙の卵」、4階展示室で「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 新収蔵作品特別展示:パウル・クレー」、「石橋財団コレクション 特集コーナー展示 印象派の女性画家たち」が開催されています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
伊豆の踊子(Izu no Odoriko) バラ ― 2020年08月01日 19時01分54秒
古典×現代2020ー時空を超える日本のアート ― 2020年08月02日 10時05分29秒
六本木にある国立新美術館で「古典×現代2020ー時空を超える日本のアート」展が開催されています。
当初3月11日から6月1日まで開催の予定でしたが、コロナ禍の影響で6月24日から8月24日に会期が変更されています。
「古典×現代2020ー時空を超える日本のアート」展では、150年以上前(江戸時代以前)に日本で作られた絵画や仏像、陶芸、刀剣などを、現代で活躍する8人の作家がインスパイアした作品と対になるように組み合わせて、1組ずつ8つの展示室で構成しています。
仙厓×菅木志雄
禅僧、画家である仙厓義梵(せんがい ぎぼん)の「円相図」の○から、美術家の菅木志雄(すが きしお)が、インド仏教に由来する「空」の思想に迫ります。
花鳥画×川内倫子
花や虫、鳥などに目を向けて描いた伊藤若冲など昔の画家たち。花鳥画に表れた、命あるもの、移ろいゆくものへの深い愛着と感受性は、写真家の川内倫子(かわうち りんこ)の仕事にも通じるものがあります。
円空×棚田康司
木の特徴をじっくりと見極め、作品を生みだす僧の円空(えんくう)と、彫刻家の棚田康司(たなだ こうじ)。二人は木の形や性質に逆らわないで、自然の形を活かした像を一本の木から彫り出します。
刀剣×鴻池朋子
動物の皮を縫い合わせて動物や風景を描いた、美術家の鴻池朋子(こうのいけ ともこ)。動物の皮に神話的イメージを施した《皮緞帳》に、武器、または切る道具であった刀剣が光ります。
仏像×田根剛
日光菩薩立像と月光菩薩立像。建築家の田根剛(たね つよし)は祈りと光の空間を創りあげました。
北斎×しりあがり寿 (しりあがり ことぶき)
葛飾北斎の代表作〈冨嶽三十六景〉とともに、これに着想を得たパロディ〈ちょっと可笑しなほぼ三十六景〉。浮世絵版画の傑作と、奇想天外な現代風刺画が並ぶことで、時代を超えた笑いの創造力が伝わってきます。とにかく面白い!
乾山×皆川明
尾形乾山(おがた けんざん)は、斬新な造形感覚を発揮して作陶に励む、江戸時代に乾山焼という陶器を生みだした陶芸家です。ファッションデザイナー皆川明(みながわ あきら)の、用と美の世界を融合したデザインがコラボします。
蕭白×横尾忠則
美術家の横尾忠則(よこお ただのり)は、1970年代から曾我蕭白(そが しょうはく)に魅了され、何度もオマージュを捧げてきました。古今東西の美術や、画家個人の経験、社会の集団的記憶に由来するさまざまなイメージを、特定の時代や空間に縛ることなく表現しています。
昨日「鴻池朋子 ちゅうがえり Tomoko Konoike FLIP」で紹介した、鴻池朋子さんは本展にも出品しています。
鴻池朋子(こうのいけ ともこ)は、「切る道具」としての刀剣に立ち返り、動物の皮に神話的イメージを施した《 皮緞帳 》に、平安時代以降に制作された太刀や刀、短刀を組み合わせたインスタレーションを構想しました。
動物の皮でつくられた緞帳(どんちょう)には、キツネやリスやヘビなどの動物が細かく描かれています。
本来は一枚続きで展示されていたものを今回は裂かれたように二つに分け、中央に間を開けています。その間を顔が描かれた振り子が大きく行き来します。
鴻池朋子 《皮緞帳》 2015年 8m×24m 高橋龍太郎コレクション (部分)
鴻池朋子 《 己の前に立ちあらわれるすべての純潔、すべての無知、すべての清楚を手あたり次第に踏みにじること 》 2001年 紙に鉛筆、水彩 作者蔵
本展の図録は、図録本体のみの通常版(販売価格:税込2,500円)と、実際に作品が展示された様子を記録した「展覧会ドキュメント」と通常版をケースにおさめたセット版(税込3,800円)の2種類があります。
通常版が264ページ、展覧会ドキュメントが88ページと、かなり見ごたえのあるものになっています。
「古典×現代2020ー時空を超える日本のアート」開催概要
開催会場:国立新美術館 企画展示室2E 東京都港区六本木7-22-2
開催期間:2020年6月24日(水)ー 8月24日(月) コロナ禍のため会期が変更になりました
休館日:毎週火曜日
開館時間:10:00ー18:00 ※入場は閉館の30分前まで
観覧料:一般1,700円 大学生1,100円 高校生700円
※中学生以下は入場無料。
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。「日時指定券(無料)」1枚につき、障害者手帳をお持ちの方1名と付添の方1名がご入場できます
注意!本展の入場は事前予約制(日時指定)となっています。「日時指定観覧券」、無料の方も「日時指定券(無料)」の申込が必要です。
チケット(無料も含む)購入はこちら。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
アンソニー・メイアン(Anthony Mailland) バラ ― 2020年08月02日 10時40分40秒
鴻池朋子 Concerto Angel & Mother Forest ― 2020年08月03日 11時42分42秒
アーティゾン美術館での「鴻池朋子 ちゅうがえり (Tomoko Konoike FLIP)」、国立新美術館での「古典×現代2020」から「刀剣×鴻池朋子」とアップしてきましたが、一昨日アップした「鴻池朋子 ちゅうがえり」の会場で作品を観ているうちにふと頭に浮かんだのが、「ミューザ川崎」というシンフォニーホールのエントランス広場で見かけたパブリックアートです。
以前から気になっていて写真には撮ってあったのですが、作品名や作者を書いた銘板を探しても無かったのでそのままになっていました。
昨日もう一度行ってみました。
「ミューザ川崎」はJR川崎駅からペデストリアンデッキで直結の、オフィスビル(セントラルタワー)と文化・商業施設(シンフォニーホール)からなる複合施設です。
鴻池朋子 《Concerto Angel & Mother Forest (コンチェルトエンジェル & マザーフォレスト)》 2003年 アルミニウム
黒い色のオブジェが《 Concerto Angel (コンチェルト エンジェル)》で、白いオブジェが《 Mother Forest (マザー フォレスト)》です。
コンチェルト エンジェルは、音楽のイメージを親しみやすいキャラクターで表現しており、マザー フォレストのリスやチョウやてんとう虫の彫刻は、人々が座ることで完成するインタラクティブな作品です。
ベンチの奥の植え込みにちょこんと見える赤いキノコは、中を覗いてみるとどうやらスピーカーになっているようです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
モナ・リザ(Mona Lisa) バラ ― 2020年08月03日 13時03分56秒
六本木ヒルズのカルガモ親子が帰ってきました ― 2020年08月04日 17時40分50秒
六本木ヒルズの毛利庭園には毎年カルガモの親子がやって来て、ここで働く人や観光客に癒しを与えてくれていました。
しかし7月21日に、公道へ出てしまったカルガモ親子を麻布警察署の警官が捕まえて高速道路下の川に運んでしまったので、毛利庭園のカルガモ親子は姿を消していました。
今日毛利庭園に行ってみると、なんと!カルガモの親子がいるではありませんか。
子ガモは1羽だけですが、元気に毛利庭園の環境の良い水辺を泳いでいて、親ガモはしっかりと子ガモの後に付いて見守っています。
子ガモちゃん、魚か何かを自分で捕まえたようです。
警戒心のカケラも無く、足元までスイスイと泳いできてくれました。かわいいですね。
私にはカルガモの個体の識別能力が無いので、この親子が警官に連れ去られたカルガモかどうかは残念ながら分かりません。
今日もご覧いただき、ありがとうございました。
ホワイト・クリスマス(White Christmas) バラ ― 2020年08月04日 19時13分57秒
ピラルクのアマゾン煮 ― 2020年08月05日 10時37分50秒
7月17日にオープンした「カワスイ 川崎水族館」で「ピラルクのアマゾン煮」というのを売っていたので買ってきました。
ピラルクは、世界最大級の淡水魚として有名で、体長4m以上、体重200㎏の記録があります。
進化において1億年間ほとんど姿が変わっていないと考えられ、生きた化石とも言われています。
主に南米のアマゾン川流域に分布し、生息地では重要な食用魚としてアマゾン先住民により古来から漁が行われてきたといいます。
パッケージを開くと、カラフルなピラルクが現れます。裏面にはピラルクや生息地などに関する情報が楽しいイラストと共にいろいろ書かれています。
ピラルクは白身魚のようで、食感は鶏のささみに似ています。ココナッツミルク煮になっていて、トマト、タマネギ、パプリカなどが入っています。特に美味しいというものではありません。(不味くはないです。普通に食べられます)
価格は税抜で1,300円。1,300円も出せばもっと美味しいものが食べられると思うのですが、まあ、お土産価格ですから・・・
「カワスイ 川崎水族館」は、JR川崎駅前の商業施設「川崎ルフロン」の9階と10階にオープンした水族館です。
「世界の美しい水辺」をテーマに、近くを流れる多摩川からアジア、アフリカ、南米アマゾンの熱帯雨林まで、世界の様々な環境に暮らす生きものを最新の照明・音響・映像技術を駆使して展示しています。
商業施設ビルの中にあるので、巨大水槽は作れません。
巨大水槽のように見えますが、200度の巨大スクリーンにアマゾンカワイルカや世界のクジラなど水族館では見れない動物たちをCGで再現したものです。スクリーンの近くに行くとイルカが近寄ってきてあいさつしてくれます。
水槽内の生物の名前や解説は表示されていません。
なので、小さな子供が水槽横の表示を見て「あっ、お母さん、これデンキウナギだよ!」などという光景は見られません。
小さな「QRコード」があるので、それをスマホで読み込んでスマホ画面に表示するようになっています。大人同士のカップルならそれでいいのでしょうが、親子で名前を調べながら楽しむにはちょっと難があるようです。
世界の水辺をテーマにした水族館なので、水族館だか動物園だかよく分からない展示になっています。
この時は見られませんでしたが、コアラもいるようで・・・
オフィシャルショップも水族館と動物園のお土産が混在していて、見ているだけでも楽しめます。
「カワスイ 川崎水族館」の詳細はカワスイ公式サイトをご覧ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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