SUPER CRAFT TREE ― 2012年06月11日 23時59分53秒
天望台への出発ゲートがある4階入口フロアに展示されている「SUPER CRAFT TREE」。
アートディレクターはインテリアデザイナーの橋本夕紀夫氏。
高さ3.5m、幅22mの壁面に12のテーマによる作品が並べられている。
「心柱(しんばしら)×竹細工」
心柱とは、奈良の法隆寺や栃木の日光東照宮にみられる、五重塔の中心部にある柱の事。
東京スカイツリーでは、塔の中央に直径8m長さ375mの鉄筋コンクリートの円筒を作っている。上の方は塔本体と離れていて、クッションの役目をするオイルダンパーで本体とつないでいる。これにより、地震や強風時の揺れを最大で半分に減らすことが出来るという。
この心柱が持つしなやかな強さを竹細工の繊細で強靭な形状で表現している。
「そり×漆(うるし)」
東京スカイツリーのシルエットは、伝統的日本建築の造形美にみられる「そり」や「むくり」を意識したデザインになっている。
日本刀の様な美しい「そり」のカーブを、伝統工芸のつややかな「漆」の質感によって表現している。
「とけこむ×簾(すだれ)」
東京スカイツリーの鉄骨構造は、下町の景観にとけ込んだデザインを目指している。それは、光や風、音や景色などを生活の中に取り入れ、自然と調和する日本古来の建築思想にも通じる。
街並みを透かす鉄骨組みのデザインを風情ある「簾」で表現している。
「おもてなし×提灯(ちょうちん)」
この地域は、江戸と呼ばれた時代から今日まで、隅田川を挟み歴史や文化が交錯する。
日本の「おもてなし」の心を、伝統工芸の「提灯」によって表現している。
「継承×染小紋(そめこもん)」
日本の伝統を受け継ぎながら新たな技術と融合する東京スカイツリー。
伝統と先進を象徴する2つの文様で作られた「染小紋」の二重螺旋は、継承と融合の理念を未来へと受け継いでいくDNAを表現している。
「積層×磁器」
東京スカイツリーに受け継がれた数々の伝統の技と、多技に渡る最新技術の積層を、一つ一つ丁寧に手作りしてバランスよく積み上げた「磁器」で表現している。
「△から○へ×組子(くみこ)」
東京スカイツリーの断面は、下部が三角で上に行くにしたがって円形に変化する。
さらに「そり」や「むくり」によって、眺める場所や角度によって多彩な表情を見せてくれる。
この△から○への建築断面の変化を「組子」で表現している。
「ライジングサン×金箔」
新しい日本の象徴として誕生し、東の空から昇る朝日をうけて金色に光輝く東京スカイツリーの姿を「金箔」によって表現している。
「つなぐ×飾り結び」
東京スカイツリーの名称は、この木の下に人々が集い、心を寄せ合うことを願って名付けられたという。
世界中から人々が集い、日本と世界を結ぶ新たな文化を咲かせるという想いを、日本伝承の飾り結びで表現している。
「粋(いき)と雅(みやび)×江戸切子」
東京スカイツリーの1日毎に変わる2つのライティング、「粋」と「雅」。心意気の「粋」は隅田川をイメージした水色で、美意識の「雅」は優美な江戸紫の光で彩っている。
伝統工芸の江戸切子の透明で繊細なディティールを、「粋」の淡い青と「雅」の江戸紫の幻想的な光によって染め上げている。
「跳躍×バネ」
下町から発進する最新技術の象徴、東京スカイツリー。
この地域には、下町に根付き、引き継がれ、そして次世代を担う日本の技となる町工場の技術が数多くある。今や世界ブランドとなっている「バネ」によって、東京スカイツリーと共にこの地域が「跳躍」する姿を表現している。
竹細工や漆塗り、和紙、簾、提灯、染小紋、磁器、組子、金箔、飾り結び、江戸切子、バネなど、日本の、特に江戸の伝統技術が散りばめられた作品です。
4階に行くとすぐに展望台への列に並んでしまいがちですが、並ぶ前にぜひじっくりその繊細な技術を鑑賞してみてはいかがでしょうか?
通路ですので、もちろん入場券が無くても見ることが出来ます。
コメント
_ 小川 ― 2012年06月12日 17時58分29秒
いろいろと有難うございます。『粋』と『雅』。素晴らしいです。引き継がれていくのですね。納得です。
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